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『水に侵される可能性のない原子力発電所』の原則を守れ
(福島第一原発の事故が、想定をはるかに超える津波があらゆる施設を破壊した事により、重大事故になってしまった点について)
IAEA報告書のこの事故に関する記述の核心部分にはこう書かれています。
「以後、原子力発電所は『乾燥状態』が持続しうる場所に建設されるべきである、可能ならば。」
「可能ならば」という言葉には多少驚きを禁じ得ません。
実際に水に侵されやすい場所に原子力発電所を建設すれば、社会的にも経済的にも大変な事態を引き起こす事は、私たちが今実際に日本において見ている通りのはずです。
『水に侵される可能性のない原子力発電所』の原則は現実のものにしなければなりません - 「可能ならそうすべき」ではなく「この点については譲れない」と。
これからの2年間の原子力産業のあり方とその規制の重要性は、いくら強調してもしすぎるという事はありません。
例えば、IAEAの会合に出席したロシア代表は、原子力発電はロシアでは継続されると発言しました。ロシア代表はまた、将来起こりうる事故に対応するため、動力源を必要としない安全装置の開発の必要性も強く主張しました。
このアイディアは武器に転用可能なプルトニウムを発生させず、無害化までに長い年月を必要とする核廃棄物を出さず、他の動力を必要としない安全な原子炉についてのものです。
もっともこうした計画が加圧水型、沸騰水型原子炉などと比較して非常に優れているとしても、それを実現するための態勢は準備されているのでしょうか?
それに福島やチェルノブイリやスリーマイルの原子炉を、邪魔な物としてひとまとめに処分できるというのでしょうか?
ドイツやスイスがすでに行ったように、世界が原子力発電に終止符を打てば、原子力発電設備に関わる巨大なマーケットは消えてなくなります。
そしてマーケットの消滅とともに、関連産業の利潤もより少ないものとなります。
けれども、一般の人々が
「原子力産業は的確に規制されている」あるいは
「最も優れた技術が実用化されている」
と言って安心させられる事が無いのであれば、人々はいったいどんな理由で原子力産業の持続や拡大を支持するというのでしょう?