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小泉氏の恩を仇で返した人物とは?
郵政同様、電力会社の『独占』も日本経済の成長の足かせ
あらゆる状況から考えて、東京を『失う』訳にはいかない安倍政権
エコノミスト 1月30日
日本の首都東京における最大の政治的イベントである東京都知事選挙において、足した年齢が148歳になる2人のいったんは引退を決意した人が決定的な役割を担っているという現実は、少々奇妙に思えるかもしれません。
2人のうちのひとりは小泉純一郎氏です。
小泉氏は2001年~06年首相を務めましたが、カリスマ性があり、退任する時点においても尚人気が高かったという点においても、日本の首相の中で極めて珍しい存在でした。
その彼が政治の舞台に戻ってきました。
首都として世界最大の人口を抱え、世界で最も裕福な都市の今後の行き方に、大きな影響を与えようとしているのです。
小泉氏は首相当時、『勇猛な人物(ライオンハート)』として知られていましたが、現在でもその才能について何一つ失ってはいないようです。
長年光の当たる場所からは離れていましたが、自らも所属する政権与党の自由民主党の原子力推進政策に疑問を呈するため、昨年秋再び表舞台に戻ってきました。
小泉氏は自由民主党が後援する東京都知事選の最有力候補に対し、2月9日の投票日にもう一人の前首相、細川護煕氏の当選が果たされるよう応援に乗り出し、選挙戦を白熱したものに変えました。
細川氏は今年1月22日、東京都知事への彼の立候補を正式に表明しましたが、小泉氏が応援することを明らかにしたことにより、その存在が際立つ結果となりました。
細川氏自身はそれまで40年間続いてきた自民党の一党支配に初めて終止符を打った、初の自民党『以外』の首相に就任しましたが、贈収賄に関する疑惑が持ち上がり、辞任せざるを得なくなりました。
細川氏は政界から身を引き、以後は陶器の制作に専念する日々を送っていました。
細川氏の立候補に対し、安倍政権の甘利経済産業大臣は冷笑を持って報いました。
細川氏の先祖は幕藩体制時代の大藩の藩主でしたが、同じ武士階級出身の甘利氏は次のように揶揄しました。
「殿、ご乱心…」
小泉氏が首相に返り咲いた安倍氏の政権の方針に異議を唱える現在の状況は、歌舞伎の一幕に似ているかもしれません。
2006年、小泉氏は首相後継者として安倍氏を選びました。
しかし首相の座に座った途端、安倍氏は小泉氏が進めた郵政民営化に反対して自民党を去った議員たちを再び迎え入れるという行為でもって、その信認に応えたのでした。
小泉氏は恩を仇で返した安倍首相に対し、政治家はどうあるべきかを再度指導するため、政治の舞台に戻ってきた可能性もあります。
「小泉さんは自分を軽々しく扱うことは許せない、そういうタイプの人なのです。」
同じく東京都知事選挙に立候補している宇都宮健二氏がこう語りました。
しかし、福島第一原発の事故を受けて小泉氏が脱原発に転向したことは、本心からの方針転換のようです。
昨年フィンランドへの視察旅行において、彼は、地下に埋められた放射性廃棄物が、100,000年もの間危険な状態が続くということを知って愕然としました。
地震が多発する日本の国土の中に、放射性核廃棄物を『安全に』地層処分することなど「不可能なのです」。
日本の政治家としては珍しい経済自由主義者である小泉氏は、電気事業を独占して他社を徹底的に排除しようとする日本の電力会社に、あえて挑戦する道を選んだ可能性もあります。
郵政事業の同様、公益企業は政治家と官僚との癒着によって今日なお、日本経済の中枢に存在し続けています。
ここに来て引退したはずの大物政治家化が再びその存在を際立たせていることは、現在の首相にとって頭痛の種であるに違いありません。
小泉氏は一般市民の自民党支持層に圧倒的人気があり、安倍政権の原子力発電の積極推進姿勢に疑問を持つ自民党支持層を惹きつける可能性があります。
小泉氏が勝利すれば、細川氏は福島第一原発の事故を起こしていながら、世界最大の柏崎刈羽原子力発電所を再稼働させようとしている東京電力の計画を、同社最大の株主として中止に追い込むことが可能になります。
「あらゆる状況から考えて、安倍政権は東京を『失う』訳にはいかないのです。」
東京にあるテンプル大学のジェフ・キングストン教授がこう語りました。
自民党はこれまで小泉氏と正面から対決することを避け、専ら細川氏の年齢と過去の経歴を攻撃し続けてきました。
これに対し細川氏は1月末、自身の健康に対する懸念を一掃しました。
細川氏は原子力発電に依存する電力体系を終わらせることを誓うと同時に、かけられるだけ金をかけて開催しようとしている2020年の東京オリンピックについて、計画の簡素化と運営の効率化を公約しました。
細川氏を迎え撃つのは厚生労働大臣の経験がある舛添要一氏です。
しかし舛添氏には2010年、突然自民党を離党した経歴があります。
しかし自民党は推すべき人物を擁立することが出来ず、自民党はしぶしぶではあっても彼を支持するほかありませんでした。
16人の候補者中、舛添氏は抜群の知名度を誇ります。
日本最大の労働組合である連合も舛添氏支持に回りました。
原子力発電関連の労働組合の意向を反映したものと見られます。
自民党は今回の東京都知事選挙を、現在そのすべてが停止している日本国内の原子炉に関する、国民による審判の場にしたくはありません。
予想に反し、この点については脱原発候補の一方の代表である社会派弁護士の宇都宮健児氏も同意見です。
ただしそれは、宇都宮さんが本当は脱原発を支持していないという事ではありません。
宇都宮氏は国内の全原子炉の廃炉を、心から願っています。
しかし東京都知事選の争点にすべき課題を、一つに絞り込むことは困難であるとも語っています。
宇都宮さんは国民の間で拡大する一方の貧富の格差、都民にまんべんなく住む場所を提供すること、そして首都直下型地震に対する正しい備えを行う事も、同様に大切なことだと語りました。
こうした問題に目をあえて触れようとしないのであれば、宇都宮氏の考えでは、細川氏も小泉氏も、そして他の候補者も変わるところは無いということになります。
http://www.economist.com/news/asia/21595017-and-one-them-lionheart-himself-blasts-past?zid=306&ah=1b164dbd43b0cb27ba0d4c3b12a5e227
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【 2014年1月の傑作宇宙写真 】《後編》
アメリカNBCニュース 1月31日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)
チリにある欧州南天文台のパラナル天文台のVLT調査望遠鏡がとらえた、ラグーン星雲の最新写真、1月22日に公開されました。
ガスとちりによって作られるこの巨大な雲からは、強烈に明差を持つ新星が次々と作り出されています。
この写真は、ESO望遠鏡を用いて大々的に行われている11分野に渡る調査のひとつに過ぎません。(写真上)
NASAのテッラ衛星に搭載されているマルチ角度イメージング分光放射計により1月16日に撮影された、カリフォルニア州コルビーの山林火災の様子です。この山林火災では1,863エーカーが焼失、3,700人が避難する事態となりました。(写真下・以下同じ)
NASAのシュピッツァー宇宙望遠鏡を使って撮影されたこの写真に写っているのは、1,500光年の彼方にあるオリオン星雲です。
赤外線が放射されている部分は赤い着色されていますが、40光年の幅があります。
NASAのワロップス打ち上げ基地から、国際宇宙ステーションに物資を輸送するため打ち上げられたオービタル・サイエンス社のアンタレス・ロケット。
1月8日に公開されたハッブル宇宙望遠鏡を使った、長時間露出写真。
宇宙空間について、これまでで最大の被写界深度を実現しました。
アベル2744として知られている集団が、最前面に見えます。
この写真には35億年前に発せられた、数多くの光がとらえられています。
アベル2744は宇宙空間をゆがめる重力レンズの働きをします。
そして最も遠いものは120億年前の発せられた光です。
それはビッグバンからまだ、さほどの時間が経過していない頃なのです。
サンドッグスとは光が大気中のアイス・クリスタルに反射する事によって、太陽の周囲に見える輝点のことです。
このサンドッグスは1月5日の凍てつくような日、ノースダコタ州ビスマルクの北方で撮影されたものです。