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【 安倍首相の周辺で相次ぐ国家主義的発言、アメリカ側は同盟関係の悪化を警告 】《前篇》

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所要時間 約 7分

西側先進諸国の対中国戦略を理解できない安倍政権、その周囲のアメリカ批判は『理不尽な言いがかり』
中国の対日宣伝戦術に、格好の材料を与え続ける安倍首相とその側近

マーティン・ファクラー / ニューヨークタイムズ 2月19日

安倍03
これまで日本をアメリカの対アジア政策の要として重要視してきたオバマ政権ですが、最近になって相次いだ安倍首相率いる右派政権の、首相側近による挑発的な国家主義的発言により、急速な関係悪化が懸念される事態となっています。

オバマ政権はこれまで、アジア太平洋地区において中国の急速な台頭に対抗するため、日本の経済力、そして軍事的存在感を強めようとする安倍政権の方針を歓迎してきましたが、ここに来てアメリカ大使館が行った反論が、関係がぎくしゃくし始めた日米関係に、今後一層の懸念をもたらすことになりました。

これらの発言は第二次世界大戦時の日本の史実についての認識を改めさせようとするものですが、改めて中国、韓国からの批判を招くことになりました。
安倍首相は日本を、国民ではなく国家の権利を優先する国に変えようとしており、愛国心の育成に熱心であり、第二次世界大戦時の日本についての見方を変えさせようとしています。

アメリカ政府による直接の批判のひとつは自民党の国会議員であり、安倍首相の側近でもある衛藤晟一氏がYuTubeに動画を投稿し他ことから始まりました。
動画の中で衛藤氏は、安倍首相が靖国神社を参拝したことについて『失望の意』を表明したオバマ政権を批判したのです。

安倍首相02
靖国神社は戦没者を慰霊するための施設ですが、第二次世界大戦終了時にA級戦犯とされた戦時指導者も合祀されており、日本の首相による参拝は毎回物議を醸しており、戦争中日本の支配を受けた韓国と中国は反発を強めています。
「失望したのは日本の方だ。」
YouTubeの動画の中で衛藤氏はこのように語りました。
アメリカとの関係の外交的なダメージを与えないよう内閣が指示し、19日にはこの動画は削除されました。

「なぜアメリカは日本をもっと大切にしないのだ?」
衛藤氏がYuTubeに掲載した動画の中で、こう付け加えました。

安倍首相が第一次世界大戦直前のイギリス・ドイツの関係になぞらえた、アジア太平洋地区における緊張状態の中で、アメリカ政府と日本の現政権との間のボタンのかけ違いが発生しています。
アメリカの戦略としては、中国と直接的な対決姿勢を取ることは避けつつ、日本と韓国が緊密な連携を取り合うことによって、アジア太平洋地区における中国の横暴は許さないという体制を築くはずでした。
ところが日本は歴史認識に関する問題、領有権に関する問題を次々と悪化させ、アメリカの戦略は大きくほころぶことになりました。

日本が20世紀初頭に行った大日本帝国による韓国の直接支配についての謝罪すら撤回するのではないかと危惧する韓国政府に対し、安倍政権は誠意ある対応を行っていない、アメリカの政府関係者はこのような不満を漏らしています。

日中紛争01
アメリカ政府はさらに、安倍首相がアジアにおける日本の地位を確立しようとしているにもかかわらず、日本は過去の所業についての反省などしていない、軍国主義国家だという中国の宣伝戦略を有利にしかねない日本側の対応について憂慮を深めています。

安倍首相の靖国参拝について、アメリカ大使館が異例の批判を行ったことについては、こうした事情が背景にあると、アナリストたちは分析しています。

これに対し日本側は、東シナ海の尖閣諸島の領有権を巡る問題について、アメリカが日本を支持する明確に姿勢を示さない点に苛立ちを明らかにしています。
同時に日本政府の当局者は、安倍首相が沖縄の米軍基地の移転問題について、自ら難しい局面の打開に動いた努力について、オバマ政権が充分に評価していないと不満を述べています。

「安倍首相の中では不満が高じています。」
慶応義塾大学の日米関係の専門家である細谷雄一氏がこう語りました。
「安倍首相は、日米同盟を強化するために政治的努力を続けてきたことに対し、アメリカ側から充分な敬意を受け取っていないと感じています。」

東京裁判02
今年2月、アメリカにとって許すことのできない発言がありました。
日本の公共放送であるNHKの経営委員に安倍首相自身が任命した右翼思想の小説家、百田直樹氏が、演説会場で次のように語ったのです。
第二次世界大戦後の東京裁判は、アメリカが行った東京大空襲、広島、長崎への原爆投下という 『大量虐殺』の事実を隠ぺいすることが目的であった。

この発言に対し、アメリカ大使館は『理不尽な言いがかりである』と反発しました。

安倍首相が任命した数名を含む経営委員会によって新たに選出されたNHKの会長が
「戦争中の従軍慰安婦の問題について、日本だけがことさらに批判を受けるべきではない。アメリカ軍も同じようなことをやっていたのだから。」
と発言し、アメリカ政府が眉を吊り上げたことがありましたが、百田氏の発言はこれに続くものでした。
世界においては、日本の場合占領地域の数万人の女性に対し組織的かつ強制的に、兵士に対する売春を行わせたのに対し、他の国の軍隊の場合は占領地区の民間の売春施設を利用したという点において異なる、という歴史家による見方が大勢を占めています。

〈 後篇につづく 〉

http://www.nytimes.com/2014/02/20/world/asia/nationalistic-remarks-from-japan-lead-to-warnings-of-chill-with-us.html
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「日本を取り戻す」というスローガンは、第二次世界大戦終了時、連合軍の占領政策によって民主主義国家に『されてしまった』日本を、再び一部の日本人の手によってかつての国権主義国家(国民の権利より、国家の権力機構の都合を優先する国家)に戻そうとする動きだと理解していますが、この記事を読み、その事を再確認する思いです。

私は日本国憲法について、当時世界大戦によって肉親や大切な人を殺された数限りない人々の、二度と戦争はごめんだという願いが成文化されたものだと考えています。

それを占領軍が勝手に押しつけたと主張する人間に対しては、いったい歴史の何を見ているのだ?と質問したくなります。

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ほんとうの「今」を知りたくて、アメリカCNN、NBC、ABC、CBS、英国BBC、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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