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彼らを「利己的」と非難する、国民は国家に道具として使われるために存在すると考えている政治家たち
今政治の世界で、僕たち自身の人生に大きな影響を与える何かが起きている!
今この時点で僕たちがしなければならないことは、民主主義を守ることです!
ジャスティン・マッカリー / ガーディアン 9月17日
▽ 溝井さん 20歳 大学生
私は祖母が福島に住んでいたので福島第一原子力発電所の事故が起きたとき、政府の決断が私たちの生活にどれほど大きな直接的な影響があるか痛感したことを今でも忘れません。
その時私は高校生でしたが、政治に関心を持つ同級生は一人もいませんでした。
昨年初めて抗議集会に参加した時、私は自分と同じように感じている若い人たちがたくさんいることを知りました。
日本国憲法、特に国際紛争を解決する手段として戦争の放棄をうたう第9条は、私たちが大切にしなければならないものです。
過去70年間、日本は海外で戦争の名の下に人を殺すことをしませんでした。
戦争で死んだ日本人もいません。
これは特筆すべきことです。
しかし集団的自衛権が現実になってしまえば、日本人が戦争で死ぬ確率は一気に高まってしまいます。
私たちはみんな、自分の意見を公の場で明らかにする権利を持っています。
共感する者同士が集まり、色々とアイディアを出し合う権利も持っています。
それがほとんど毎晩私たちが国会議事堂前に集まる理由です。
私たちのことを利己的だという人たちは、戦争に行かされることも含め、国民は国家に道具として使われるために存在すると考えているようです。
彼らの頭の中では道理がすっかり逆になっています。
人々のために存在すべきもの、それが国家であるはずです。
日本では一般的に言って、若い人々が政治に関心を持っていないという指摘に同感です。
学校にいた当時のことを思い浮かべると、政治について話すことができる友達などはいませんでした。
しかし最近になり私は自分の考えを率直に述べるようになってから、安全保障関連法案に関連して今政治の世界で起きていることに大きな懸念を持っている人々がたくさんいることに気がついたのです。
▽拓也さん 16歳 高校生
「僕が10代の若者を中心とした反戦グループに加わり活動を始めたのは、今政治の世界で僕自身の人生に大きな影響を与える何かが起きている、そう感じたからです。
安全保障関連法案が議会を通過すれば政治的な理由だけでなく、経済的な理由でも、どんな理由をつけてでも日本が戦争に参加することは容易なことになってしまいます。
そうなれば僕自身はもちろん、学校の友人たちも影響を受けることになります。」
「僕は家族に影響されたのでもなく、公的な立場にいる人に触発されたわけでもありません。
僕自身が参加すべきだと考えたのです。
父は政治について話をする人で、僕を励ましてくれましたが、母は心配しています。
母は僕たちがしていることが少し危険だと考えているようです。
僕の年齢で公の場で政治活動に関わると、将来の就職活動に差し障りがあると半ば脅すように言う人たちがいます。
正直なところ、政治活動の有無について尋ねられなければならないような就職活動をこれから2、3年のうちに行うことにはならないと思います。
ですがもしそのことについて尋ねられたら、僕は正直に答えるつもりです。
それでもし就職できなければ、そうした企業はいずれにせよ僕向きではないのだと考えます。」
「安全保障関連法案が成立した後も、この運動は終わりません。
だって問題は一つだけじゃないでしょう?
安倍政権が行っている様々なことには僕は不安を持っています。
僕には未だ選挙権が無いので、こうした抗議行動に参加することが自分の感じていることを表現するための唯一の方法なのです。
▽ ひかるさん 16歳 高校生
僕は6月に初めてのデモに参加しましたが、政治的な目ざめはもっと前、2011年3月の福島第一原子力発電所の事故の後のことです。
僕は福島で起きたことについて、家族と話し合いました。
姉はすでに原発に反対する市民活動を行っていて、僕を原子力発電に反対する抗議活動に誘いました。
僕を迎えてくれたのは同じ年代の人々で互いに共感しあうことができたため、僕もきちんとした形で参加することにしました。
安全保障関連法案について初めて耳にした時、僕は心配せずにはいられませんでした。
自分にも直接関係あることだと感じました。
もしこの法律が成立した場合、現実になる可能性があることについて考え続けました。
僕たちのことを短絡的だとあげつらう人々がいます。
でも日本を戦争に参加させたいと考える人はいるのでしようか?
安全保障関連法案をは支持している人たちだって、自分では戦争には行きたく無いはずです。
戦争になることを望んでいる人などい無いはずです。
だから自分がしていることが、利己的だとか短絡的だなどとは全く考えていません。
友人たちは僕のことを少し変わったやつだと思っていたようですが、そのうちの何人かはこう声をかけるようになりました。
「君はいいことをしてるね。」
今この時点で僕たちがしなければならないことは民主主義を守ることです。
いかなる決定であっても、その前に十分な議論をする必要があります。
両親の影響もありましたが、僕はいつもビートルズが大好きでした。
そして僕はジョン・レノンの大ファンです。
日本の歌手忌野清志郎からも、大きな影響を受けました。
http://www.theguardian.com/world/2015/sep/16/japanese-anti-war-protesters-challenge-shinzo-abe
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ビートルズやジョン・レノンが大好きだというところは同じですが、高校時代の自分と比べ彼らの考えが実にしっかりしていることに驚きました。
私の高校生時代は未だベトナム戦争が終わっておらず、残虐な事件が相次いだこの戦争を一刻も早く終わらせるべきだとは思っていましたが、戦争について考え抜いたこともありませんでしたし、まして公の場で意見を言ったこともありませんでした。
当時の自分と引き比べ、SEALDsの若者たちの勇気には頭が下がります。
許せないのは、自分と意見が違うからといって彼らを利己的だなどと揶揄したり、ネットの裏に自分の姿を隠したまま彼らを誹謗中傷する人間たちです。
SEALDsの若者たちをなんとか応援していきたいと思うのは私だけでしょうか?
ご存知の通りイギリスの民主主義というのは13世紀のマグナカルタ(日本の鎌倉時代、彼らは世界で初めて国王に『国民の権利』を認めさせました)に始まり、清教徒革命、名誉革命(立憲君主制を成立させた無血革命)と何百年もの時間をかけて作り上げられてきました。
彼らは数百年の間血を流し続けて民主主義を育ててきたわけですが、日本は第二次世界大戦で数百年分に相当する人間の血を流し、戦後、民主主義を始めたはずです。
日本に本当に民主主義を根づかせるためには、SEALDsの若者たちの存在もまた重要な要素だと思います。
引き続きSEALDsの若者たちの姿を伝える記事をご紹介したいと思います。
【 なぜ彼らは戦争を欲するのか?! 】《6・最終回》の掲載については、しばらくお待ちください。
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【 今週の報道写真から 】
アメリカNBCニュース 9月10日〜17日
(掲載されている写真は、クリックすれば大きな画像をご覧いただけます)
9月10日栃木県小山市、身の回りの品物を持って冠水した道を進む男性。(写真上)
9月12日、アメリカ、カリフォルニア州サンアンドレアで山林火災にバックファィアの処理をする消防士たち。(写真下・以下同じ)
9月13日、ニューヨークのUSオープン・テニス会場、スイスのロジャー・フェデラーとセルビアのジョコビッチの試合前のコート。
9月13日、トルコから乗ってきたゴムボートが転覆し、ギリシャのレスボス島の沖合100メートルほどの海を赤ちゃんを抱えて必死に泳ぐシリア難民の男性。
9月16日、セルビアとの国境を越えてクロアチア領内を進むシリア難民。ハンガリーが国境を封鎖したため、EU圏への新たな脱出ルートを求める難民の第一陣がこの日、クロアチアにやってきました。
9月16日、セルビアとの国境でハンガリーの警官隊と衝突し、子供を抱いて走る男性。
http://www.nbcnews.com/news/week-in-pictures/week-pictures-sept-10-17-n429436