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【 ヒロシマ : ありのままを描き残すよう、あの場にいた人々が求めているのです 】《前篇》

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所要時間 約 6分

70年前の恐怖と悪夢、その光景を甦らせる89歳の男性
被爆したのは19歳の時、以来苦悩することが日常的になってしまった人生

アルジャジーラ 8月6日

広島04 悪夢のような記憶を抱え込んだまま人生の大半を過ごしてしまった人間が、宮川圭吾さんが同じような経験を前に進むための力の源に変えている事実を見たら驚くに違いありません。
彼はそのエネルギーの源となった70年前の出来事について、事務的な口調で語りました。
19歳の時から苦悩することが日常的になってしまった人生についても…

彼の描く絵は今、一層力強さを増しています。
それは彼がキャンバスの上に表現することを決心するまで、50年もの間心の中に閉じ込められていました。

「誰もが、その事を自分の心の奥深く閉じ込めてきました。」
宮川さんが展示室の中で自分の作品に囲まれながら、こう語りました。
「こんなうわさがありました。もし結婚すれば、目も無く鼻も無い障害者の子供が生まれるだろうと…」
「当時あらゆる種類のうわさが飛び交っていました。父は居場所を転々とし、母は被ばくの事実について説明するとき毎回話が違っていました。私はどうしたらよいのか解らず、結局何もしゃべらないようにしていました。」

宮川啓吾氏 被爆体験という最もつらい経験を絵に描くよう宮川さんを説得したのは、いちばん古くからの友人でした。
「私には同級生の中に5、6人の非常に親しい友人がいました。彼らは私に『君は絵を描くことができる。君の体験を後世に残す必要がある。それができる人は広島にはもうほとんど残っていない』と。」

原爆が投下された時、宮川さんは広島市の郊外で自転車をこいでいました。
宮川さんはゆるんだ自転車のチェーンが彼の命を救ったエピソードについて語ってくれました。
宮川さんはチェーンのゆるみを直そうとして、桜の木の脇に自転車を止めました。
この桜の木が原爆がさく裂した最悪の瞬間、宮川さんを守ってくれたのです。

「私は雷が落ちたのだと思いました。最初に強烈な光線が見え、次に言いようのない音が聞こえ、そして体が宙に浮きました。そして気を失ったのです。」

「意識を取り戻したとき、最初に耳に入って来たのは人々のあわただしい足音、そして辺り一帯に溢れる騒音でした。何があったのか全く分かりませんでしたが、自分自身を見てみると怪我をして、出血していることに気がつきました。何が何だかわからぬまま、私は周囲にいた人々と一緒に走りだしました。」

ヒロシマ02 やがて宮川さんは廃墟となった自宅に戻り、そこで家族と再会しました。
原爆が投下された後広島市内では火災が3日間続きましたが、その間宮川さんの一家は雨ざらしの生活を強いられました。
火事が収まると、宮川さんは行方不明の2人のおじを探すために、廃墟と化した広島市中心部に入りました。
「どこが道路なのかわからないありさまで、太田川の川辺に沿って歩いて行くのが唯一見当をつけるための方法でした。私たちのうちの3人はボートに乗って進みました。広島市内に入ると、驚くほど多くの数の死体が川に浮かんでいました。

私の頭の中はその光景を見て混乱しました、ここでいったい何が起きたのだろうと?
「浮いている死体の頭部が次々ボートにぶつかりました。そしてオールを水の中に入れて漕ごうとすると沈んでいた死体が引っかかって浮かび上がってきました。ボートを前進させることなどとてもできる状況ではありませんでした。」

広島02 宮川さんは道路わきに置かれた水槽に、いくつもの死体が折り重なっていることに気がつきました。
人びとは焼けただれた自分の体を水槽に入れて冷やそうと絶望的な試みを行い、そのまま息絶えてしまったのです。

〈 後篇に続く 〉
http://www.aljazeera.com/blogs/editors-blog/2015/08/hiroshima-japan-atomic-bomb-painter-keigo-miyagawa-150805155310433.html
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昨年2015年は第二次世界大戦終了70周年であると同時に、広島と長崎において歴史上初めて原爆という核兵器が使われて70年が過ぎた年でもあり、世界中のメディアに広島、長崎に関する記事が数多く掲載されました。
昨年8月にも一部ご紹介しましたが、掲載しきれなかった分を今ご紹介しています。
翻訳していて改めて思うのは、核兵器廃絶を訴えておられる広島、長崎の方々の主張が、人間として如何に真っ当なものであるかという事です。

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【 1月25日の報道写真から 】

アメリカNBCニュース 1月25日

day11 猛吹雪が襲った2日後のニューヨークの朝。(写真上)

ドイツ、ハノーファー、マシュ湖に張った薄い氷に移る自分の顔を見つめるカモメ。(写真下・以下同じ)
day12 2015年1月、イスラエル軍とハマス率いるパレスチナ側との戦闘で破壊された建物の窓から外を眺めるパレスチナ人の少年。
day13 スペイン、マドリッド市内のティオピオ公園を散策する人々。ここはマドリッドの夜景を眺める絶好のポイントとして、地元の人びとがよく訪れる場所です。
day14 http://www.nbcnews.com/slideshow/monday-pictures-january-25-n504121

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ほんとうの「今」を知りたくて、アメリカCNN、NBC、ABC、CBS、英国BBC、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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