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【 あれから2年、そしてこれから40年…目には見えない、無味無臭の敵との戦い 】

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所要時間 約 10分

ほんとうに『進展』は見えているのか?

デイヴィッド・マクニール / ザ・インデペンダント(英国) 3月6日

4号機付近
ここでの戦いはロボット、最高水準の技術、そしてこの地上で最も進んだフィルタリング装置を駆使して続けられています。
この戦いが終わるころ、世界は21世紀の半ばを折り返していることになります。
チェルノブイリ以降最悪の原子力災害となった福島第一原発の事故の後、この場所で原子炉の廃炉と汚染除去作業に従事する男たちは、全ての行程はほぼ計画通り、順調に進んでいると語りました。

福島第一原発の内部を視察する数少ない機会を与えられたジャーナリストたちは、きわめて高い放射線を放出する使用済み核燃料の取り出し作業がいよいよ開始され、現在『進行中』であるとの説明を受けました。
福島第一原発が巨大地震、そして津波と立て続けに発生した自然災害により大事故を引き起こして以来2年が経ちますが、発電所内できわめて速いペースで貯まり続ける放射能汚染水を保管する場所がどんどんなくなりつつあり、東京電力は頭を抱えています。

さらには発電所内には安全に作業を行うには、放射線量が高すぎる場所が何箇所もあります。
3号機周辺では1時間当たり1,710マイクロシーベルトの放射線が検出されており、これをまともに浴びれば急性放射線障害を引き起こしてしまいます。
さらには福島第一原発の現場で働く作業員の確保が、難しくなっているという指摘もされるようになりました。
さらにはメルトダウンを起こした3基の原子炉については、溶けた核燃料の位置や状況については、まだ推測の位置を出てはいないのです。

4号機付屋
「たとえ数々の難しい状況があるとしても、我々はそのひとつひとつを確実に処理し、事態を前進させていくつもりです。」
福島第一原発の新所長である高橋毅氏がこう語りました。
彼は同時に『福島第一原発の事故について懸念する、世界中の人々に対し』謝罪しました。
高橋所長は6基の原子炉を持つ福島第一原発の廃炉を安全に終わらせるには、これから約40年程かかるだろうと見ています。

「原子炉1、2、3号機周辺の放射線量は非常に高くなっています。これは原子炉内部で核燃料が溶けてしまっているからだと考えられます。」
「4号機の原子炉建屋を除き、1、2、3号機の原子炉建屋内の放射線量はきわめて高いものです。」
非常に毒性の高い燃料棒を1,530本抱え込んだままの、破壊された4号機の原子炉建屋については、一部から文字通り東日本全域を壊滅させるほどの事故の可能性が指摘されていますが、高橋所長は巨大地震が発生しても、建屋の安全は確保できる、と語りました。

この場所を昨年視察したアメリカのロン・ワイデン上院議員(民主党)は、再度巨大地震がこの場所を襲えば、4号機原子炉建屋は倒壊する恐れがあり、そうなれば、放出される放射線の量は2年前の比ではないと警告しました。

また村田光平前スイス大使の警告はもっと深刻なものでした。
4号機が地震で事故を起こせば、『地球規模で壊滅的被害を与える』可能性があると警告したのです。
「なぜこの問題が日本国内では取り上げられないのか、理解できません。」
村田氏はこう述べています。

4号機付屋完成予想
記者団が訪れたこの日、高橋所長は、4号機使用済み核燃料プールについては補強工事が完了し、万が一3.11と同程度の巨大地震が襲っても、倒壊の恐れは無くなったと主張しました。
記者団は4号機原子炉建屋に隣接して建設された、巨大な鉄骨を持った構造物を見せられました。
現場にいた技術者が、この構造物には最終的に巨大クレーンが設置され、4号機最上階にある使用済み核燃料プールから使用済み核燃料を取り出すことになると説明を行いました。
高橋所長が、今年11月にはその作業が開始されると語りました。

鉄骨が折れ曲がった姿をさらしていた3号機の原子炉建屋は現在、灰色のパネルによって部分的に覆われています。
それでもなお、水素爆発による破壊の痕跡は明らかです。
原子炉建屋に隣接して2本の無人クレーンが設置され、最上階にある破片などを取り除く作業を行っています。
3号機の使用済み核燃料プールにも約500本の核燃料が保管されています。
そして近くにある共用プールには、別に6,300本の核燃料が保管されています。

「3月16日、初めてこの場所にやって来た時、家族は私のことが心配だったようです。」
建設会社の部長である43歳の平山淳氏がこう語りました。
「私が現在の状況について家族に説明したところ、少し安心したようです。」
平山氏は福島第一原発で働くことは、自分自身の決断によるものだと語りました。
「私はこの環境で働くことについて、何の問題も感じていません。」
平山氏は来月、ここを去ることになっていますが、彼の累積被ばく線量は日本政府が定めた年間20ミリシーベルトを上回ってはいないと強調しました。

「放射線には色も臭いも無く、何も感じないため、しばらくこの環境で働いていると慣れてしまって、何も感じなくなるのは確かです。」
契約企業のひとつである鹿島建設(株)福島第一原発建設事務所長の小林宏茂氏(45歳)が、現場での慣れについてこう認めました。
「それはここで腹楽労働者に共通の心理です。だからこそ私たちは、彼らに対して健康上の脅威が常に存在することを繰り返し啓蒙し、注意を喚起するようにしています。」

汚染水タンク
原子炉1号機から3号機の溶けた核燃料に対しては毎日数百トンの水を絶え間なく送りこみ、再び熱を持たないようにしていますが、それを除去することについて技術者たちにはまだ具体的なプランはありません。
敷地内にはすでに1,000トン以上の汚染水を蓄えたタンクが930以上立ち並び、その数は現在も増え続けています。
現場の技術者によれば、ひとつのタンクは2日半でいっぱいになります。
現在東芝が建設した巨大なフィルタリング装置が、汚染水から62種類に及ぶ放射性物質を取り除くべく、稼働の準備が進められています。

敷地の外側では、2011年3月以降住民が居なくなってしまった町、そして村が時の中で凍りついたままになっています。
警察が検問所を設け、許可された人間以外が20キロ圏内の指定避難区域内に入り込まないよう警戒を続けています。
海も汚染されたまま、何百人というこの付近の漁業関係者は毎日時間だけを消費しています。
160,000人を超えるかつてのこの地の住民の補償問題は、未だに解決していません。

「私たちの務めは、この場所を少しでも元の姿に近いものに戻すことです。住民の方々が再び安心して暮らせるように。」
小林さんがこう語りました。

http://www.independent.co.uk/news/world/asia/two-years-on-the-deadly-battle-to-save-fukushima-from-an-invisible-odourless-enemy-goes-on-8523247.html?origin=internalSearch
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福島県浪江町、グーグル・ストリートビュー、かつての住民のため現地へ

アメリカNBCニュース 3月27日
(写真をクリックすれば、大きな画像をご覧いただけます)

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つぶれてしまった家、捨てられた店、空っぽの道…
2年前、隣接する福島第一原発で事故が発生し、福島県浪江町の人々は全員この町から避難しなければならなくなりました。
以来、誰も訪れることもなかったこの町は、何もかもがそのままの姿を留めているようにも見受けられます。

3月27日水曜日、グーグルが撮影車をこの町に送り込み、かつての住民の人々は部分的ではあってもその目で町の様子を確かめられるようになりました。

かつての住民たちの多くから、町の様子を知りたいという要請を受けた馬場町長がグーグルに要請を行い、今回の撮影が実現しました。

町内に入ることについての規制は若干緩和されたとはいうものの、浪江町内の放射線量は未だに高いままで、21,000人の町民の帰還は実現してはいません。

グーグルに投稿されたビデオメッセージの中で、馬場町長は以下のように語りました。
「原子力発電所が事故を起こせばどのような惨状になるのか、世界中の方々にその目でご覧いただきたいと願っています。」

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