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フクシマ、誰もが望まぬ歴史の1ページが刻まれた
最も大切なこと、原子力発電所は災害が襲っても安全を確保できる、そんな偽りはもう言ってはならない
ザ・ニューヨーカー 2012年11月28日
ニュージャージーとデラウェア州州の境界で、コネチカットで、そしてニューハンプシャー州で、いずれも大都市から50マイル(約80キロ)圏内に、問題の多い原子力発電所があることが判明しました。
福島第一原発で巨大事故が進行している間、アメリカ合衆国当局は日本国内にいたアメリカ人に対し、福島第一原発から50マイル圏内に入らないよう、繰り返し警告をしていました。
問題の中で大きいのは、アメリカ合衆国が建国以来たかだか250年近くしか経っておらず、アメリカ大陸の地学的歴史を充分には理解していないことです。
日本では地震学者たちが、869年に発生した貞観地震を基に、当時の福島第一原発の津波対策は不十分であると警告していました。
歴史的事実に鑑みれば、巨大津波は「船に乗って逃げる間も、山を駆け上がって逃げる間も無く」襲う可能性があると警告していました。
ところが東京電力も、福島第一原発も、その警告を無視しました。
そしてその結果、誰もが望まぬ歴史の1ページが刻まれてしまったのです。
スタンフォード大学の研究チームはこのように指摘しています。
「アメリカ合衆国の原子力発電所の危険性もまた、過小に見積もられていると考えられる。」
なぜならアメリカ大陸の歴史は、やっと350年前までしかさかのぼることができないからなのです。
「アメリカ合衆国は、この1,000年間に襲った最大の津波の大きさすら、解ってはいないのです。」
アメリカにとって厄介な問題、それはこの国がその天災の歴史の本の一部分しか理解していない、ということなのです。
何年もの間、その危険性が高まっていることに対する警告が行われた挙げ句、2007年、洪水がニューヨークの地下鉄を襲い、数時間の間不通になりました。
その結局ニューヨーク州交通局は、洪水対策だけで3,400万ドル(約34億円)の支出を強いられることになりました。
しかしこの件はそれだけで完了しました。
「それ以上の公共予算が、地下鉄の災害対策費用として追加されることはありませんでした。」
ニューヨークタイムズが2012年末、報じました。
ニューヨーク交通当局の担当者が以下のように語りました。
「私たちは最小の被害で、予算が認められて幸運でした。私たちは対策を迫られてはいましたが、納税者の皆さんはいざ現実にならないと、なかなか支出には同意してくれませんから。」
オバマ大統領の再選を支持する人々の中には、地球温暖化の問題と取り組んでいる人々がいます。
ニューヨーク市長のマイケル・ブルームバーグ氏は、世界はもっと積極的に、素早くこの問題に取り組むべきであるとする運動の支持者に名を連ねています。
ニューヨーク付近の海面は、20世紀末の10年間で、ほぼ1インチ上昇しました。
そしてこれからその上昇のペースは早まり、これからの10年間でさらに6インチ上昇するものと見られています。
日本国内では、福島第一原発のメルトダウンにより行われている様々な規制が、生活の場の至る所に及んでいます。
生活の中の至る所に『フクシマの影』が見え隠れしているのです。
アメリカ国内では2012年3月、洪水対策について見直しを行い、不測の事態が襲っても原子力発電所内で全電源に至らないよう求める、新たな原子力発電所の安全規則が、原子力規制委員会により策定され、適用されました。
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