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【 生かされなかった広島の教訓 】

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所要時間 約 9分

「日本の悪名高い、そして限度をわきまえない政治・財界・官僚の癒着と隠ぺいが、被爆者の原発に対する抵抗を闇の中に葬った」

グレッグ・ミッチェル アメリカCBSニュース 2011年8月


2011年春、歴史に残る巨大津波が福島原子力発電所を襲い、1945年に長崎に原子爆弾が投下されて以来最悪の原子力災害が日本で発生しました。
8月第一週、原子炉上部の放射線測定値が、それまでの最高の値に達していたことが報告されました。
幅広い地域へ放射線の拡散、そしてそのことへの恐怖は、日本と世界中の人々すべてに、1945年にこの国にいったい何が起きたかを、そしてその後途切れることなく続いている(ただし、たびたび水面下で)核兵器と原子力発電の脅威に向き合わせることになりました。


原爆投下66周年を記念して、8月6日のニューヨークタイムズの記事は原爆の生存者(被爆者)の、今年の新たな行動を取り上げました:反原発運動 - 原子力発電はこれまで日本で必要とされる電力の大きな部分を提供してきました。
一般の人々が暮らす広大な地域が大気中の放射能に被爆してしまい、永遠に汚染されてしまうかもしれない恐怖に適応できる人間(そしておそらくは母親の体内の子供たちも含め)など、世界中にいるはずがありません。


私の同僚ロバート・ジェイ・リフトンはニューヨークタイムズに『広島から福島へ』という題の論説を掲載しましたが、その中でこう指摘しました。
『人はきっとこう尋ねるだろう.....原爆を投下されるという経験をした後で、国が必要とする電力の約三分の一を原爆と同じ核エネルギーを利用して作り出すという、普通ならできない選択。日本人はどうしてそんなことができたのだろう?』
広島と長崎の生存者をはじめ、多くの抵抗がありました。
そこにも否応を言わせないやり方があったのです。
日本の悪名高い、そして決して限度をわきまえることなど無い、政治・財界・官僚の癒着と隠ぺいが。』


毎日新聞は現在82歳になる、長崎原爆被災者協議会の谷口理事長から話を聞き出しました。
話題が福島第一原発のことに転じ、『そこで続く危機的状況は、開きっぱなしの水門に似ている』という話題の間は普通の口調でとぎれとぎれに話していたのに、急に厳しい口調でこう語ったことに留意すべきです。
「核エネルギーと人類は共存できません。」
「わたしたち被爆者は、このことをずっと言い続けてきました。 しかしまだ、原子力発電の使用は表面上『平和利用』という名の下にカモフラージュされ、推進されてきました。いつ自然災害が発生するかなんてことは、誰にもわかりません。原子力事故は起きない、などとは決して言えないのです。」


偶然にも、私は米国と日本で、谷口氏に3度にインタビューをしています。
原爆投下後、数か月たってアメリカ人の撮影クルーによって撮られた彼自身の写真。
うつぶせに床の上に寝かされ、背中全体が真っ赤に焼けただれた姿、その記録のために彼はおそらく今日、被爆者の象徴的なシンボルとなっています。


2011年4月、谷口さんの長崎原爆被災者協議会を含む5つの被爆者団体は、原子力発電にまつわる『安全神話』の崩壊を宣言、これ以上の被爆を防止するために、政府のエネルギー政策の変更を求める声明を日本政府に提出しました。
82歳の谷口さんがいまだに理事を務める原爆被災者協議会が、『原爆の犠牲者に配布されている被爆者手帳と同様の、後になって被ばくしたことを証明できる、そしてまた人々に定期的な健康診断を提供する健康管理手帳を、原発内の作業員と近隣住民に配布することを要求する』声明を政府への送ったことを、毎日新聞が伝えました。


谷口さんはこう指摘します。数多くの被爆者が数十年にわたって、被ばくにより病気になってしまったり、ガンやその他の疾患に苦しんでいることを申し立てた際、政府が援助の手を差し伸べてくれるものとばかり思っていたにもかかわらず、結局は『打ち捨てられて』いたままにされた、と。
毎日新聞の記事は最後にこう問いかけています、
『現在福島で見えない恐怖と戦っている人々も、将来被爆者と同じ扱いを受けることになるのだろうか?』


福島第一原子力発電所の事故は、当然のことのように私に広島、長崎の両都市を訪問した体験を、再び脳裏によみがえらせました。
そしてこの事故以来、私はアメリカ政府の『隠ぺい』についても、調べ始めました。
私は孤立無援に陥ることはありませんでした。
国連研究所の上級顧問ナシュリン・アズィミは、私がニューヨークタイムズ紙に書いた論説文に触れ、こう語りました。
「核の問題に関しては、核兵器から原子力発電に至るまで、日米両政府が協力してこの問題を掘り下げなかったことは、まさに救いがたい程のものでした。」
「広島と長崎を原爆を使って壊滅させた後、自国内にも反対意見があったにもかかわらず、アメリカは核政策の拡大について、ほとんど間違った結論を引き出してしまいました。」


彼女は、私が前述のリフトンと共同執筆した『アメリカにとっての広島』の、苦心して記述した部分を引用しました。
「広島に爆弾を投下した直後、トルーマン政権によって数時間のうちに、被爆者の心を踏みにじるような大衆向け共同キャンペーンが開始されました。
長期にわたる放射線の影響への懸念について、アメリカ人の目をくらませる(のちには日本人の目も)陰謀が行われました。
お抱えの著名なジャーナリスト・メディアなどが動員され、熱心に「原子力時代の幕開け」について宣伝を行い、著者の言葉を借りれば、アメリカは完全に『核の罠』の中に落ち込んでいったのです。」

※なお、CBSの記事中最後に、『この記事において表明された意見は、すべて執筆者の見解によるものです』という注釈が添えられています。

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この記事を訳し終わった時、自分は猛烈に反省せざるを得ませんでした。
被爆者の方々が、どれほど理不尽に扱われ、つらい思いをされて来たのか、今日の今日まで知らずにいたのですから。
被爆者の方々が『語りべ』として、自らの被爆体験を私たちに伝えてくださっていたことは知っていました。
そのことは、日本が再び戦争に走らないため、核兵器が再び使われないようにするために、本当に大切なことだと思い、半ば感謝の念を持ってきました。

しかし、まさか、核エネルギーに関する『隠蔽』が66年も続いていたとは......
この記事が伝えるのは、救われなければならない被爆者の方々が、原子力発電所建設という利害のために、『故意』に打ち捨てられて来たのではないか、ということです。
アメリカ、そして続いて日本が行った隠蔽。
日本の隠蔽は原爆の被爆者のイメージが、決して原子力発電につながらないように、そのためのものだったようです。

被爆者の方々に本当に申し訳ないことをしてきてしまった、今はそんな言葉しか出てきません。

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動画【子グマのレスリングが国立公園内の交通を遮断】

アメリカNBCニュース 9月28日

そうですね、私たちは今夜、この国の国立公園が、スペクタキュラーを楽しむ場所であり続けている事を証明する映像をご紹介します。
国立公園以外の場所で、こんな昼間から、子グマたちがレスリングにたわむれている様子を、他の場所で見る事ができるでしょうか?
ジェフ・モリーヌーさんはハイキングの帰路、この光景に出くわしました。
母グマがさほど遠くない場所からこの様子を見守っていました。
20分程子グマたちはじゃれ合った後で、母グマと一緒に帰っていきました。
実際にこんなシーンが見られるなんて、素晴らしい事です。

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