『進行中の福島の危機』、本当は何が起きているのか《第5回》
汚染水問題、事故直後から今日の状態を、誰もが予見できたはず
いずれ事故は免れない、その場所で1~4号機は稼働していた
『生き残った』原子炉5号機、6号機が証明している事とは…
フェアウィンズ・エネルギー・エデュケイション 10月3日
(ビデオ / 17:00~終了)
これから東京電力が行おうとしている対策は、原子炉・タービン建屋群の地下に、大量の、一日あたり400トンという量の地下水が流れ込んでいることに起因するものです。
東京電力は1~4号機の周り全てに遮水壁を巡らそうとしています。
配管を巡らせて敷地の周囲に冷却溶剤を流し込み、地面を凍結させ、地下水の流れ込みを遮ろうとする計画を実施しようとしています。
この凍土壁は遮水壁と名づけられました。
計画通りに進めることができれば、2.5キロ以上に渡る遮水壁が出来上がることになります。
しかしその遮水壁が、想定通りの効果を発揮するかどうかは保証の限りではありません。
まずこれほど大規模に地中を凍結させるという事業が、実際に行われたことが無いのです。
次に、仮に凍土壁=遮水壁の造成に成功したとしても、底の部分が開いているために将来再び汚染水漏れが発生する可能性があるのです。
そしてその遮水壁も完成までには2年の月日を要し、それまでは現在と変わらず汚染水が太平洋に流れ込む懸念が続くことになります。
凍土壁の問題を検証していて、思い出したことがあります。
私が福島第一原発の事故発生後、その年のうちに出版した著作[福島第一原発 - 真相と展望 (集英社新書)]についてお話したいと思います。
2年前のその時点で、この福島第一原発の敷地の汚染は、充分に予見が可能でした。
なぜなら事故発生直後の4月には、福島第一原発の管理者である東京電力はすでに増え続ける汚染水の問題に直面していたのです。
これら建屋群の地下部分がいずれ浸水してしまうだろうことは、誰にでも予見できたことなのです。
私は上記の著作の中で、建屋群の山側、すなわち水が流れ込んでくる側にゼオライトを敷き詰めた排水溝を掘る必要性について述べました。
私がこうした対策が必要だと判断した理由は、福島第一原発の敷地内に流れ込む地下水を汚染させずにそのまま海に流してしまうこと、すなわち放射性物質が海に流れ出さないようにするためでした。
この原子力発電の地下部分をバスタブだと考えてみてください。
このバスタブには栓がされており、水を排水できないようになっています。
このバスタブに水が貯まり続けているため、東京電力はこれ以上水が入らないよう、バスタブよりも背の高い壁を築こうとしているのです。
私が考える対策は違います。
私はこのような高い壁は作りません、栓を外すのです。
私が考える対策の要点は、水が海に流れ込むのを防ぐことではありません。
要点は、流れ込む地下水を汚染させない事です。
もし2年半前、汚染のひどい建屋群がある場所を迂回するようにゼオライトを敷き詰めた排水溝を作っていれば、福島第一原発の技術者たちは丘陵地帯から流れ込む地下水を、汚染されないまま海に放水することが出来たはずです。
しかし今ではもう手遅れです。
地下水は汚染されてしまいました。
福島第一原発の敷地内で地下水をくみ上げれば、汚染された水があふれ出すことになります。
東京電力が行おうとしている地下凍結による遮水壁、それが想定通りの効果を発揮するかどうか、私たちはその目撃者になることになります。
それでは最後に福島第一原子力発電所の現状について、改めて総合的な観察をすることにしましょう。
今回のお話を始めるに当たり、私は福島第一原発の1~4号機をどこにどのように建造するかの決定を行ったのはアメリカの企業、ゼネラル・エレクトリックとEBASCOという名前の会社の技術者たちであったことをお伝えしました。
そして少し離れた場所に原子炉5号機と6号機があります。
この2基は1~4号機と同じ場所にはありませんね?
海岸線から離れた場所に建造されました。
しかも物理的にも高い場所にあります。
そうです。
東京電力は解っていたのです。
ゼネラル・エレクトリックの1~4号機の設計が誤りであったことを。
1~4号機はまるでカーボンコピーのように同じ場所に作られました。
しかし原子炉5号機と6号機は海岸線から充分離れた場所に、しかも1~4号機と比べ、約3メートル高い場所に建造されました。
その結果、2011年3月、津波が福島第一原発を襲った際、1~4号機と5号機6号機の運命は全く異なったものになったのです。
5号機と6号機については、著しい損傷というものは発生しなかったのです。
つい最近、日本の安倍政権は5号機と6号機についても、廃炉は免れないとする意思表示を行いました。
実際に5号機と6号機の周辺においても高い放射線量が計測されています。
しかしメルトダウンが進行したり、爆発が起きたりはしませんでした。
ほぼ建造された状態を保っており、廃炉などの作業も計画的に進めることが出来るはずです。
日本の技術者たちは1~4号機の誤りに気づいたからこそ、5号機と6号機は海岸線から離れた、もっと高い場所に建造したのです。
〈 完 〉
http://fairewinds.org/media/fairewinds-videos/tour-fukushima-daiichi
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全編を訳し終わり、ガンダーセン氏の慧眼に改めて感服しました。
東京電力による福島第一原発の事故収束・廃炉作業が、世界中から何度も批判されながら、なぜこうも場当たり的な、その場しのぎの対策を繰り返しているか、その理由がわかったような気がします。
「原子炉1~4号機については、そもそもの基本が間違っているのだ…今さら何をしたところで、根本的な解決は不可能なのだ。」
そのような絶望にも似た思いがあるのではないでしょうか?
そのような原子炉はできるだけ早く使用を止めるべきであったはずが、結局は事故を起こすまで会社ぐるみ、いや日本の原子力行政ぐるみ気づかないふりを続けてきたのだと思います。
しかし、5号機、6号機が『生き残った』ことが、何よりも雄弁にその事実を物語っている…
ガンダーセン氏の今回の指摘で、その事がよくわかりました。
そして「2年半前ならまだしも、今はもう手遅れ」という指摘。
日本は「水蒸気の中に浮かぶ島」だという事を思い出しました。
一年中、至る所多量の雨が降る従っていったん土壌が汚染されると、その汚染が際限も無く広がっていくということになってしまう。
このように考えると、日本という国は地震と津波だけでなく、その気象条件からも、「原子力発電をやってはいけない国」なのではないでしょうか。
長い文章におつき合いいただき、お疲れさまでした。
文章中、論理的に誤っていたりすれば、原文では無く、私の翻訳によるものです。
明日21日(月)は新規掲載をお休みします。
よろしくお願い致します。
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【 50年経っても色あせない、ベトナム戦争記録写真の衝撃 】
アメリカNBCニュース 10月16日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)
AP通信のカメラマンたちは、ベトナム戦争の事実を象徴する写真を世に送りつづけました。
このたび出版された写真集『ベトナム 戦争の真実』(AP通信社)にはそうした写真が多数掲載され、未だに大きな説得力を持っています。
たった一枚の写真が、内臓をぎゅっとつかまれたような衝撃を与えることがありますが、この写真集には有名なもの、そうでないものを含め多数掲載されています。
その時、フォトジャーナリストが撮影しながら受けた衝撃が、50年を経た今もそのまま伝わってくるような説得力を持っています。
1966年1月1日、ベトコンのテト攻勢の猛攻撃を逃れ、泥水の貯まった水路に身を隠す家族。(写真上)
自らも目を負傷した衛生兵が、負傷した軍曹の手当てを続けながら、一瞬空を見上げています。1966年1月30日に撮影されたこの写真は翌2月ライフ誌の表紙を飾り、その年のロバート・キャパ・ゴールドメダルを獲得しました。(写真下・以下同じ)
ヘルメットに、手書きで『戦争は地獄だ』と書いたバンダナをまきつけていた兵士。1965年6月。
ベトコンの疑いをかけられた女性が小銃の銃口を押しつけられ、南ベトナム政府軍の兵士に尋問を受けています。1967年11月。
戦場から兵士の遺体を回収するアメリカ軍のヘリコプター。1966年5月。
現地のベトナム人のこどもを救い出すアメリカ兵。1966年8月。
市内の道路に遺棄されたベトコン兵士の射殺遺体、そして足を停めて見つめるサイゴン市民。1968年5月。
重傷を負った兵士に、懸命の蘇生措置を続ける衛生兵。
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