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【 防空識別圏!中国、日本、そしてアメリカ…武力対決しか解決の道はないのか?! 】〈後篇〉

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所要時間 約 7分

南シナ海においても防空識別圏を主張するのか?警戒する近隣諸国
日本と中国は、何よりもまず『戦争の世紀』の到来を防げ

エコノミスト 11月30日

防空識別04
▽紛争の海域

しかし東アジアの緊張は、またそこまでは達していません。
ひとつには日本の平和憲法の存在があり、一切の軍事的侵略行動を禁じています。
一方の中国は自国の成長のためならどんなことでもしますが、だからと言って1920年代、1930年代に日本が行ったような軍事的侵略行動に出ることは無いでしょう。
しかし近隣諸国は、中国の防空識別圏設定の宣言が、南シナ海における『九段線』同様、領土的野心を露わにしたものとして警戒を強めています。
中国の南シナ海の地図には、『(南海)九段線※』と呼ばれる中国の領有権を主張するための9本の線が、海域全体を取り囲むように引かれています。
九段線
※九段線(きゅうだんせん、英語: Nine-dotted Line)、またはU字線、牛舌線(ベトナム語: Đường lưỡi bò)は、南シナ海の領有権問題に関して、1950年代から中華人民共和国がその全域にわたる権利を主張するために地図上に引いている、9本の境界線である( Weblio - http://www.weblio.jp/ )。

おそらくは世界的金融危機が発生した際、中国は自身の成功の物語とアメリカの国力低下について、その意義を過剰に意識した結果、分不相応な自信過剰に陥ったものと考えられ、その結果が近隣諸国との軋轢となって現れました。

南シナ海において紛争の原因となっている岩礁に艦船を派遣し、外国の石油会社の資源調査を中止に追い込み、さらにはアメリカとベトナムの艦船に対し繰り返し嫌がらせを行いました。

こうした行動に対し、アメリカは当時のヒラリー・クリントン国務長官が直ちに批難を行いました。
この反応に中国はいったんは矛を収め、近隣諸国を懐柔する策に方針転換したように見えたのです。

中国の問題に詳しい専門家は、中国は南シナ海における九段線同様、東シナ海においても同様の主張を行うため、防空識別圏を言いだした可能性があると見ています。
専門家は中国が南シナ海においても防空識別圏を主張し、制海権、制空権の行使を行なおうとする挙に出ることを懸念しています。

尖閣01
南シナ海における独占的立場を確立するという野心があるかどうかは別として、中国が東シナ海の現状を受け入れるつもりは無く、状況を変えようと考えていることは明らかです。
そのための防空識別圏なのです。

中国の指導者は今や全員が、日本の航空機を追跡しなければならない理由を口にしています。
中国の艦船は尖閣諸島周辺の日本の海域に侵入しないようにという、日本側の警告を無視し続けています。

▽ 有効な対策はあるのか?

アメリカのジョー・バイデン副大統領が中国を訪問することになっています。
このタイミングは米中双方にとって、歓迎すべきものではないかもしれませんが、訪中は偶然この時期になったものです。

バイデン副大統領と習近平氏は実は互いをよく知る間柄です。
習近平氏は国家主席に就任する以前、バイデン氏の招待でアメリカで5日間を過ごした経験があります。
バイデン副大統領は、韓国と日本も訪問する予定になっています。

防空識別02
東シナ海の危機も南シナ海の緊張も、アメリカ国内においては政治的課題の中心ではありません。
オバマ大統領は国内問題の処理に忙殺されています。

バイデン副大統領は東シナ海・南シナ海ともに、障害を設けることなく自由な航行を保証することにアメリカの関与の在り方を設定する可能性があります。

そして日本と韓国は現在、国際的な視点から見れば実に些細な問題でいさかいを繰り返していますが、その問題にできるだけ早くけりをつけ、協力して中国にあたるようにしなければなりません。

そして中国自身は外交の場において大国としてふさわしい行動をとり、何より近隣諸国からの信頼を得る行動をとる必要があります。
東シナ海の島とは名ばかりの吹きさらしの岩礁の領有権にこだわり、60年以上続いてきた東アジア地区の平和を台無しにするトラブルメーカーであってよいはずがありません。
そして軍事的ホットライン開設に関する日本側の提案を受け入れるべきです。
北京とワシントンとの間にはすでに、このホットラインが敷かれているのですから。

第二次世界大戦04
東アジア地区においては、大国同士何よりもまず安全保障について話し合う仕組み、機構を確立しなければなりません。
もしそうした枠組みが1914年のヨーロッパに存在していれば、その後半世紀の間世界を苦しめた『戦争の世紀』の到来は無かったかもしれません。

〈 完 〉

http://www.economist.com/news/leaders/21590930-chinas-new-air-defence-zone-suggests-worrying-new-approach-region-face
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この記事で特徴的なのは、中国を『トラブル・メーカー』だと規定し、力よりは知恵を使った対応が必要だと解説している点です。
さすが日本で江戸幕府が開府した頃にはすでに市民の権利を宣言し、その後数百年にわたって『国際外交』を続けてきた島国の知恵が横溢しています。

ところが同じ島国でも日本国内では、台頭する軍事大国・中国といった報道のされ方が主流となっており、アベ・イシバ的「力には力で」、「軍事拡張路線の推進」、果ては「核兵器保有は必要悪」という議論までもがまかり通っています。

そうした議論の先に何があったかは、私たち日本人は1920年代~1945年、この国で何が起きたのかを振り返れば容易にわかりそうだと思うのですが、今の世の中、そうでないところがつらいところです。

しかしこの政治状況を放置すれば、日本人は辛いどころでは済まなくなってしまいます。
太平洋戦争前・戦争中の恐怖、暴力、そして死を強要する社会が復活してしまうかもしれません。

毎日ニュースを見ていると腹立たしいことばかりですが、市民ひとりひとりの力で、この国をまっとうな民主主義社会に変えていきたいものです。






 

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