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数々の非道な行為について、充分な検証も反省も行っていない【 軍国主義日本の歴史を美化しようという意図が明白、安倍首相 】国際社会の疑念が確信に[ガーディアン論評]

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所要時間 約 9分

日本の歴代首相の中、安倍首相以外に歴史を書き換えることをあからさまに意図した人物はいなかった
歴史すら都合良く書き換えようとする人物、その認識を深めた各国政府、そして国際世論

ジャスティン・マッカリー / ガーディアン 12月26日

安倍靖国
日本の安倍晋三首相は論争の的となっている、東京都内の戦争の聖地への参拝を行いました。
そして中国からはきわめて厳しい反応を引き出し、アメリカには深い危惧の念を抱かせることになりました。

安倍首相はちょうど一年前に自身として二期目の首相に就任しましたが、当時の小泉首相が7年前に訪問して以来、靖国神社を公式参拝した初の首相となりました。

保守派の権化とも言うべき安倍首相は、第二次世界大戦中日本がアジア各地で行った振る舞いに関し、『自虐的』歴史観を捨て去るべきだと主張し、第一期の首相就任期間に靖国神社を公式参拝しなかったことについて「痛恨の極み」と言い表していました。

予想できたことですが、26日の参拝は中国と韓国から最大級の反発を引出しました。
中国も韓国も靖国神社については、日本の軍国主義の象徴のひとつと考えており、その場所を政治家が参拝するという事は20世紀前半に日本が中国大陸と朝鮮半島において行った数々の非道な行為について、充分な反省も検証も行っていない事を証拠立てるものだと考えています。

「中国政府は、日本の指導者が中国とその他のアジアの被害国の国民の感情を踏みにじり、公然と歴史の公正さと人類の良識に挑戦したその行為に対し、強い憤りを示す」
中国の外務省は声明の中でこのように述べました。

秘密保護法07
中国外務省の秦剛報道官は
「侵略と植民地支配を美化するものであり、国際社会の日本の軍国主義に対する正義の審判を覆そうと企んでいる」
と語り、以下のように付け加えました
「我々は日本の指導者の今回の行動に強く抗議するとともに、深刻に非難します。靖国神社への日本の首相の訪問の本質、軍国主義による侵略と植民地支配を行った日本の歴史を美化しようという意図が現実になったものです。」
中国政府は北京駐在の日本の木寺大使に「強い抗議」を行うことにより、今回の問題に対するより一層強硬な姿勢を明らかにしました。

韓国の報道官を務める劉震竜文化体育観光相は安倍首相が靖国神社を参拝したことについて
「時代遅れの行為」と非難し、次のように続けました。
「日韓関係に深刻なダメージを与えただけでなく、本当アジアの安定と協調のための基盤を根本から破壊してしまいました。」
「近隣諸国の懸念と警告にもかかわらず安倍首相が靖国神社への参拝を行ったことに対し、遺憾の意を持たざるを得ず、かつ怒りを表明せずにはいられません …」

靖国神社は、19世紀後半以来、戦争によって命を落とした約250万の日本人を祀っており、その中には第二次世界大戦後、連合国による裁判によってA級戦犯として有罪判決後に処刑された戦時指導者も含まれています。

アベ 3
安倍首相は中国や韓国の人々の感情を傷つける「意図は毛頭ない」と主張し、記者団に次のように語りました。
「戦犯を崇拝する行為との誤解に基づく批判があるが、政権が発足してから1年間の安倍政権の歩みを報告し、二度と戦争の惨禍で人々が苦しむことのない時代をつくるとの誓い、決意を伝えるために靖国神社に参拝したものです。」
「尊い命を犠牲にされたご英霊に対して、哀悼の誠をささげるとともに、尊崇の念を表し、御霊(みたま)安らかなれとご冥福をお祈りしました。」
「残念ながら首相による靖国神社参拝は大きな政治問題、外交問題になってしまいました。
しかし私は、中国や韓国の人々の感情を無視するつもりはありません。」

日本軍が中国大陸と朝鮮半島を占領していた当時の残虐行為に対しては言及しなかったものの、安倍首相は靖国参拝は過去に対する真摯な反省に基づき行ったものだとして、批判的な世論をかわそうとしました。

「日本は、二度と戦争を行ってはなりません。」
安倍首相はこう語りました。
「これは、過去に対する厳しい反省に基づく私の信念です。」

第二次世界大戦04
安倍首相は中国と韓国からの強い反発を覚悟していましたが、アメリカが異例の深刻な懸念を表明したことは予想外でした。
アメリカ政府は在日大使館のウェブサイトに以下の声明を掲載しました。
「日本は大切な同盟国であり、友好国である。しかしながら、日本の指導者が近隣諸国との緊張を悪化させるような行動を取ったことに、米国政府は失望している。」
「米国は、日本と近隣諸国が過去からの微妙な問題に対応する建設的な方策を見いだし、関係を改善させ、地域の平和と安定という共通の目標を発展させるための協力を推進することを希望する。」( http://japanese.japan.usembassy.gov/j/p/tpj-20131226-01.html

日本の岸田外務大臣は、新任のキャロライン・ケネディ駐日大使に、安倍首相の靖国参拝の意図について電話で説明しました。

しかし今回の参拝は、日本と近隣諸国との間に出来た溝を一層深めることになります。

日本は現在中国との間には尖閣諸島(中国名 : ダイユー諸島)、韓国との間には竹島(韓国名 : 独島)をめぐる領土問題を抱え、双方ともこう着着状態に陥っています。

尖閣・日中艦船
何人かのアナリストは、今回の参拝が安倍首相の国家主義者としての行動に懸念を抱く各国政府や国際世論に、歴史を恣意的に書き換えようとする意図を持つ人物としての懸念をも抱かせることになりました。

上智大学で政治学を専攻する中野孝一教授が次のように語りました。
「安倍氏はおそらく、歴代内閣の中で比較的高い人気を保持している上、靖国参拝については個人の信念の問題であり、一定限度以上の問題にはならないと考えていたと思われます。」

「しかし安倍首相と小泉元首相とは違う、そのことは誰もが知っていたのです。小泉氏は歴史までも書き換えようとする国家主義者ではありませんでした。自分に都合良く歴史を歪曲してしまう、この点に関し、一部の人々が安倍首相に疑問を持ち続けてきました。」

「そしてついに、その答えがはっきりしたのです。」

http://www.theguardian.com/world/2013/dec/26/japan-shinzo-abe-tension-neighbours-shrine
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前回まで翻訳・掲載してきた記事と基本的に同じものですが、この【星の金貨】では日本国内の問題について世界はどう見ているのか、多数派の意見はどうなのか、それを客観的に証拠立てるため、大きな問題については世界の代表的メディアの記事を出来るだけ多く翻訳・掲載するようにしています。

また、数多く翻訳する事で、日本国内のメディアからは手に入りにくい情報が手に入る事もあります。
今回もニューヨークタイムズからは
「「平和と民主主義の大切な価値」を守るため、1945年に平和憲法を起草・制定した人々に対する「深い感謝の念」を表明された天皇陛下( http://kobajun.chips.jp/?p=15782
ワシントンポストからは
「安倍首相は国際社会では、歴史すら書き換えてしまう歪曲主義者として悪名高い存在」( http://kobajun.chips.jp/?p=15805
ザ・インデペンダント(英国)からは
「安倍首相の靖国参拝は、日本の外交戦略にとってはきわめて愚劣な対応」( http://kobajun.chips.jp/?p=15829
という指摘がありました。

2014年は日本にとって難しい課題が山積しています。
気がついたら自由も、平等も、平和も無くしてしまっていた…そんな事にならぬよう、目を見開き、ひとり一人が発信する年にしていきたいものです。





 

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