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【 危険な軍国主義者?それとも日本を『近代化』する改革者?】〈第3回〉

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所要時間 約 7分

従軍慰安婦問題に向き合おうとしない安倍総理の、国連での『女性の権利』演説を世界はどう聞いたか?
安倍首相、自分のための日本?日本のための自分?

サイモン・ティズダル / ガーディアン 12月16日

安倍晋三01
目下のところ、安倍首相の地位は安泰のように見受けられます。
就任から12ヶ月、経済状況には改善が見られ、党首を務める与党自民党は衆参両院で安定多数を占めています。
そして、ここ数年支持率の低迷により短い周期で何度も首相が交代したこれまで比較すると、安倍政権の支持率は不思議なほど安定して高い状態が続いています。

「2013年11月3~4日に実施された世論調査では、安倍首相に対する支持率は68.5%を記録し、首相の人柄に足して否定的な見方をしているのは少数に過ぎない事を表しています。安倍首相への声無き多数派の支持は続いており、それが現実なのです。」
東京の調査機関のアナリストはこう語りました。

数十年間低迷を続けてきた日本経済を改善に向かわせた最初の成功、そして2011年の東日本大震災による甚大な被害は、安倍首相が目論む世界的問題への日本の積極的関与、それを実現するためには何が必要か、その条件を明らかにしました。

そして日米の同盟関係を強化する一方で、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟各国、インド、オーストラリアとも政治、経済、そして軍事面での協力体制を構築することもまた、安倍首相の野心を下支えすることになります。

日米艦船
9月に国連総会で行った演説では、中国の力による影響力の行使は認められないと釘をさす一方で、再生した日本が世界の「平和と安定を守るための力」、それを現実に形にすると誓いました。

中国の尖閣諸島に対する脅威、中国指導部の安倍政権に対する冷淡な態度、そして国内問題から国民の目をそらすために中国政府がいつも行う、国民の愛国心を刺激して他国を攻撃する政策が安倍政権にも向けられたのを受け、安倍首相は力による中国との対決姿勢を選択したのだと日本政府当局者、そしてアナリストなどが指摘しました。

安倍首相は国家としてはそれ程大きな力を持っていない近隣諸国を、中国問題のために巧みに利用しました。
安倍首相は就任以来ASEANに加盟する10カ国を歴訪しましたが、これは日本の首相として前例のない行為です。
12月には東京を会場に、外交関係の樹立40年を記念したアセアン・サミットを主催しました。

同様に硬軟取り混ぜた手法を用い、安倍首相は中国政府の側面に回り込むもう一つの対応を行いました。

世界 7
巨大台風の襲来により甚大な被害を受けたフィリピンに対し気前の良い財政援助に加え、1945年以降最大の規模となる軍隊の派遣、すなわち災害救助のため自衛隊を派遣を命じたのです。

9月、ロンドンオリンピックの招致に成功した英国のブレア首相を真似、アルゼンチンのブエノスアイレスへ飛んだ安倍首相は2020年の東京へのオリンピック開催決定の場に立ち、もう一つの個人的な勝利を収めました。

世界の様々な問題の解決に日本が主導的役割を果たすべきであるとする主張が実現されるためには、安倍首相は広範囲な問題に取り組まなければなりません。

(以下の段落は韓国の従軍慰安婦問題に対する安倍首相の態度を、念頭に置きながら読み進めることが前提のようです : 訳者注)
安倍首相は真意は不明ですが、女性の権利の確保を強く支持する姿勢を見せています。
解決しなければならない『女性の問題』について、姿勢を明確に示しました。
国連での演説のうち、40%はこの問題に関するものでした。
安倍首相は日本を女性が輝く社会に変えていきたいのだと語りました。

安倍国連
「日本は国連女性機関の活動に敬意を払うとともに、その活動に貢献する主要な国家のひとつになるつもりであり、あわせて日本という国を女性が活躍する典型的な国にしていくつもりです。」

初めて首相になった際にその経歴を傷つけられた安倍氏は、かつてに過ちを繰り返すことの無いよう用心深く立ち回り、2015年の任期を全うする不退転の決意でいるようです。

安倍首相は今もって、景気回復こそが最優先事項であると語っています。

しかし日本を変えてしまいたいという強い情熱を持っている男性にとって、様々な制約を設けることは不自然であり、持続することが困難である可能性があります

安倍首相は我慢し続けることが出来るでしょうか?

我慢を続けることを望むでしょうか?

国際的な緊張が再び高まった時、彼は手をあげようとするかもしれません。

中国政府が容赦なく掛け金を釣り上げる挑発的態度に出ても、自制することはできるでしょうか?

日中紛争01
2014年、東アジア地区においては、これが先を見通すことのできない最大の問題なのです。

〈 完 〉

http://www.theguardian.com/world/2013/dec/16/shinzo-abe-japan-pm
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一度書きましたが、年末にNHKのBSで放映された『オリバー・ストーンが語る、もうひとつのアメリカ史』の最後で、オリバー・ストーン監督がこんな趣旨の話をしました。
「歴史に接する際の大切さ、それは同じ過ちを繰り返さないために、事実を真摯に受け止めなければならないという事なのです。」
3回に分けてご紹介したこの記事を締めくくるのに、最もふさわしい言葉だと思いました。

昨年12月の特定秘密保護法の制定以来米国英国のメディアは、安倍首相は自分に都合よく歴史を歪曲する点において「悪名高い」のだという事を伝えました。

自民党の一部議員などは、日本の歴史を冷静に客観的に検証しようとする態度を居丈高に、そして声高に『自虐史観』などと攻撃します。
しかし国際社会においては、そんな彼らの態度こそ問題視されているのだという事を知ることが出来ました。





 

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