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【 立場を利用し、日本の脱原発運動をつぶそうとする人間たち 】〈1〉

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所要時間 約 11分

安倍首相の原発再稼働、再処理計画の推進の背景には、原子力ムラの揺るぎない支持
政府内、議会内、そして地方自治体にも…原子力ムラの強力な諜報網
技術的には『袋小路』、なのに巨額の国家予算がつぎ込まれる高速増殖炉

ダグラス・バーチ、ジェフリー・スミス、ジェイク・アデルスタイン、センター・フォア・パブリック・インテグリティ(公正中立の社会正義 - http://www.publicintegrity.org/ ) / アメリカNBCニュース 3月11日

脱原発デモ 1
河野太郎氏は日本を代表する政党の息子として成長を続けていた当時、「原子力への情熱」ともいうべきものを持っていたと語ります。
国内の多くの政治・経済界の人間同様、彼は原子力を天然資源に恵まれない日本にとっての、戦後の繁栄を支えるための切り札のひとつであり、現代的で、しかも経済的な発電手段であると考えていました。

そして原子力発電が実用化されてから50年の間、この日本国内の原子力発電に対する期待感は、その狭い国土に世界で3番目という、膨大な数の原子炉を建造させる事になりました。

日本政府の担当部局はプルトニウムをベースとする核燃料の再処理システムを作るため、20年の歳月と2兆2,000億円以上の予算を費やしましたが、この規模は国際的なモニタリング・システムによって確認されている限りにおいて、世界最大規模です。

核燃料再処理施設が今年10月、エネルギー資源分野において日本を自立させるとする長期計画のひとつとして、日本の本州最北端の海岸部で動き出す事になっています。

しかし1996年、河野太郎氏が33歳で国会議員に選出されると、彼は六ヶ所村再処理工場について疑念を抱かざるを得なくなりました。

083011
河野氏は科学者に質問を繰り返し、この問題に詳しい評論家などと会合を重ねた結果、高速増殖炉を国内に多数配置するという計画が、技術的に非常に国難が伴う上、稼働を続けるに従い危険な物質が増え続けるという結果につながることが解りました。
その上、実施のためにつぎ込まなければならない莫大な経費と比較し、得られる利益は明らかに少ない事が明らかになったのです。

彼は2008年アメリカ大使館における夕食会の席上、核燃料の再処理計画の実施には莫大な経費がかかるという事実が国民に対し意図的に隠されている、駐日大使にそう語りました。

しかし河野氏とその協力者による六ヶ所村再処理計画に対する反対運動は、かれらが強力な政治勢力と呼ぶグループによって組織的に展開された買収、反対意見の封殺などの工作によってつぶされてしまいました。
原子力産業界と、そこに利害関係を持つ電力業界の有力者たちの組織的な、そして強力な政治力を思い知らされる事になったのです。

核燃料再処理施設が今年10月、エネルギー資源分野において日本を自立させるとする長期計画のひとつとして、日本の本州最北端の海岸部で動き出す事になっています。

しかし1996年、河野太郎氏が33歳で国会議員に選出されると、彼は六ヶ所村再処理工場について疑念を抱かざるを得なくなりました。

六ヶ所村
河野氏は科学者に質問を繰り返し、この問題に詳しい評論家などと会合を重ねた結果、高速増殖炉を国内に多数配置するという計画は、技術的に非常に国難が伴う上、稼働を続けるに従い危険な物質が増え続けます。
その上、実施のためにつぎ込まなければならない莫大な経費と比較し、得られる利益事実は明らかに少ない事が明らかになったのです。

彼は2008年アメリカ大使館の夕食会の席上、核燃料の再処理計画の実施には莫大な経費がかかるという事実が、国民に対し意図的に隠されている、駐日大使にそう語りました。

しかし河野氏とその協力者による六ヶ所村再処理計画に対する反対運動は、かれらが強力な政治勢力と呼ぶグループによって組織的に展開された買収、反対意見の封殺などの工作によってつぶされてしまいました。
原子力産業界と、そこに利害関係を持つ電力業界の有力者たちの組織的な強力な政治力を思い知らされる事になったのです。

誰に聞いても日本の原子力産業の政治支配力、そして政府によるサポートは強力なままです。
それは六ケ所村再処理工場の計画が、技術的な問題のために実現が可能かどうか危ぶまれていても、そのコストが際限も無く膨らみ続け、今や莫大な金額に昇っても変わることはありません。
そして今から3年前の3月、福島第一原子力発電所において3基の原子炉がメルトダウンする事故が発生し、国内の原子炉すべてが停止せざるを得なくなった後も尚、変わることはありませんでした。

河野氏も所属する自民党の党首を務める安倍晋三首率いる現政権は、今年2月国内の一部の原子炉を再稼働させ、さらにはプルトニウムを原料とする核燃料を使った原子炉の新規建設を進める方針であることを明らかにしました。

安倍甘利
安倍首相のこの判断は、一般市民の反対があっても、いわゆる『原子力ムラ』からの支持は揺るぎないものがあるとの判断に基づくものでした。
『原子力ムラ』とは原子力発電によって仕事、収入、そして政治的影響力を手にしている、原子力産業界と電力会社の経営陣、技術者、そして労働界の代表、国の原子力発電関連の監査機関、原子力発電所が立地する県や市町村の議員や首長、これらすべてによる結束の固いネットワークの事です。

河野太郎氏はジョージタウン大学で学士号を取得し、流ちょうな英語を話します。
彼はこの原子力ムラについて「この16年~17年間、ほとんど誰からも見とがめられることなく、こうした行為を続けてきた」
とインタビューの中で語りました。

日本のプルトニウム核燃料再処理計画を推進しようとする側には、与党自民党の議員たちに加え、政府官僚、一部の大手メディアの経営層、銀行、そして学術関係者なども加わっており、計画を阻止しようとする動きを封じ込めてきました。
河野氏が問題点を指摘すればするほど、これら日本のエリートたちは彼に背を向けるようになりました。

722名の国会議員のうち、河野氏が立ち上げに加わった原子力発電に反対する議員連盟に加わったのは、ちょうど60名でした。

CB04
経済産業省の当局者は、六ヶ所村再処理計画の完成は国家財政に寄与する部分が大きいと語りました。
85件の電力会社との合弁事業を行い、自らも原子力発電所を運営する日本原燃の川井吉彦社長は、六ケ所村の施設が計画通りに稼働すれば、使用済み核燃料から再び原子力発電の燃料を創り出すことができ、核燃料を浪費する事無く、きわめて経済的な原子力発電を実現できると主張しました。
2012年、彼は専門誌のインタビューの中でこう語りました。
「現在の原子力発電は、再利用できる核燃料をそのままただ捨てているのです。」

▽ 晩餐会の席での痛烈な批判

2008年の暖かい、雲ひとつない快晴の日の夕方、河野氏はジョージW.ブッシュ元アメリカ大統領のかつてのビジネス・パートナーでもあり長年の友人でもあったトーマス・シーファー駐日大使との晩さん会の席上、日本の『原子力ムラ』が日本の政治機構を腐敗させているという彼の見解を明らかにしました。

2006年2月、ブッシュ政権の下で提唱された国際原子力エネルギー・パートナーシップ(GNEP)構想に鑑み、シーファー駐日大使はこのプランに反対するため立ち上がろうとしていた政治家を特定しようとしていました。
ブッシュが主唱したGNEPは、日本の六ヶ所村再処理施設の大々的展開をも視野に入れたものでした。

1945年にダグラス・マッカーサーと昭和天皇も会談を行った小ぶりのダイニングルームに腰を下ろし、河野氏自身が時代遅れの原子力政策と考えたプルトニウムの広範な利用を目的としたGNEP構想について、なぜ日本の電力貨車と官僚がこの計画に熱心なのか、体系的な声明を試みようとしていました。

脱原発:河野太郎
河野氏による日本の政治に対する批判が満ちた、このアメリカ大使館における前例の無い会談の記録は、2011年にウィキリークスによって一般の人々の目に触れることになりました。

莫大な国費を投入した挙句に技術的に行き詰ってしまっていた核燃料再処理計画について、政界の長老と言われる議員たちがこの問題に触れることを許さなかったため、関係省庁の実務官僚たちによる検証すら行われることがなかった、河野氏がこのように述べました。

河野氏はさらに、日本の国会の慣習の下では委員会のスタッフの任免権も無く、原子力政策を推進する政府機関から派遣された官僚に頼る以外の選択肢は無かった、そんなケースが度々あったと語りました。
そして河野氏が質問をすると、どのような点が問題になったのか、その内容が直ちに所属する政府機関に報告されていたのです。

〈 第2回につづく 〉

http://www.nbcnews.com/storyline/fukushima-anniversary/japans-well-placed-nuclear-power-advocates-swat-away-opponents-n50396
 + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

日本の原子力ムラ、その正体に迫る長編記事です。
日本の官僚機構の暗部について、どのような仕組みになっているのか、そしてそれが国民のためではなく何のために機能しているのか、そこに何がつながっているのかが見えてきます。

昨週は6回に分け3.11の被災者の悲劇についてのエコノミストの記事をご紹介しましたが、今回はその原因を作りだしたものが何であるのかに迫る記事です。
今週中にすべて掲載できるよう、1回あたりの掲載量が多くなるかもしれませんが、重要な示唆が含まれています。
ぜひ全編をお読みくださるよう、お願いいたします。





 

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