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【 原子力発電にさよならを!人間も、地球も、もうこれ以上耐える事は無理 】〈2〉

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所要時間 約 7分

福島第一原発の事故のタイミング、それはまさに『原子力ルネッサンス』が本格的に幕を開けようとしていた時
国内電力の総需要の35%を再生可能エネルギーによってまかなう事は、充分に可能
安倍晋三首相が率いる保守政権は、国民の願いを受けた原子力発電の段階的廃止の政策を無視

アダム・チメンティ / ル・モンド・ディプロマティーク

福島第一原発全景
福島第一原発の事故のタイミング、それはまさに『原子力ルネッサンス』が本格的に幕を開けようとしていた時でした。
世界中で何十機のもの原子炉の建設計画が作られ、福島においてもさらなる原子炉の増設が行われようとしていました。
化石燃料を燃やす変わり、小型原子炉を使って電力を生み出すエネルギー戦略は革命的なものであるとの評価を得ていました。

アメリカのオバマ政権は、福島第一原発の事故後もこの方針の転換を表明してはいません。
アメリカの大手メディアの『顔』の一人であるジャーナリストのダン・ラザーは、人気の高いメディアであるハフィントン・ポストの取材に対し、彼が会ったアメリカ人すべてが、原子力発電はグリーン・エネルギーの最良の選択であるという意見に賛同したと語りました。

こうした発言の背景にあるのは、強力な政治力を持つ原子力ムラに対する抵抗が続いている事、そして民間の保険会社や保証会社が原子力発電は危険性があまりに高い事から契約をしたがらない現状に対し、政府自らが打開に動き出さなければならなくなっている状況です。
これに対しドイツ政府は、多国間での莫大な額の貿易によって成立している最先端の世界経済は、再生可能エネルギーへの大規模投資、そして再生可能エネルギー産業の保護によって成長が可能になるという事を、断固たる決意をもって証明しようとしています。

ドイツ政府の思い切った政策転換については各国政府が容易ならない展開を予想しましたが、結果はそれを裏切る好調なすべり出しを見せています。
多くの評論家などはヨーロッパ最大の経済規模を有するドイツは国内の原子力発電を全廃する変わり、チェコ共和国など原子力発電を行っている近隣諸国から電気を買うはめに陥るだろうと論難しています。

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しかしドイツ発電・水力事業協会の統計、および応用エコロジー研究所が行った別の研究によれば、昨年ドイツの電力会社は役150億キロワットの発電を行いました。

この実績を受け、今年始め、ドイツの環境大臣ピーター・アルトマイヤーは、ドイツが原子力発電の段階的廃止を進めても電力不足に陥る危険性は無いと繰り返し強調しました。
この発言については、メルケル政権による再生可能エネルギーの推進政策を『今世紀最大のプロジェクト』と讃えたシーメンスの最高経営責任者のベーター・レシェルも、早くから同趣旨の主張を行ってきました。
彼は国内電力の総需要の35%を再生可能エネルギーによってまかなう事は、充分に可能であると語っています。

イタリアもまたエネルギー手段として原子力発電に二度と回帰する事は無いと明快に宣言しました。
これは当時のベルルスコーニ政権が原子力発電の再開を行おうとした際、国民投票により反対が94%に達した事が決定的な要因となったものです。。

スイスもまた福島第一原発の事故を受け、エネルギー手段としての原子力発電を放棄しました。
政党の垣根を越えた新しいエネルギー政策を実現するための、広い範囲に渡る政策協議や新しい組織の成立が国民の総意の下にもうすぐ実現するかもしれません。
現在スイス国内の5基の原子炉は国内総需要の40%をまかなっていますが、政府の計画では2035年までに全廃する事になっています。
しかしこの政策協議の実現により、全原子炉の停止が2029年にまで繰り上げられる見通しとなっています。

第一大破壊
では世界にこうした動きを促す事になった福島第一原発の事故、3基の原子炉が同時にメルトダウンするという前代未聞の事故を引き起こした日本はどうでしょうか?

2012年の2ヵ月間、日本は国内にある54基の原子炉すべてが完全に停止していたにもかかわらず、電力が不足する事はありませんでした。
昨年夏の大飯原発を再稼働させるという決定は、日本では珍しい一般市民による大規模な反対運動に火をつける結果となりました。

しかし安倍晋三首相が率いる新たな保守政権は、前任者である民主党政権が決定した原子力発電の段階的廃止の政策を無視する態度を明らかにしました。

2011年3月11日の巨大地震と津波から始った日本の危機、そのとき首相を務めていた 菅直人氏は首相官邸を去った後、原子力発電に対する態度を180度転換しました。
彼は原子力発電との決別を宣言しました。
「ソビエト連邦崩壊当時大統領を務めたゴルバチョフ氏はその回顧録の中で、チェルノブイリの事故がソビエト連邦の病弊を一気に表面化させた、そう語っています。」
菅前首相はこう語り、次のように続けました。
「福島第一原発の事故は日本にとって、同様の働きをしたのです。」

〈 第3回につづく 〉

http://mondediplo.com/blogs/time-for-a-nuclear-phase-out
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この記事はフランスのル・モンド・ディプロマティークに掲載されたものですが、こうした記事を翻訳する度に思い出すのが2011年8月の[ドイチェ・ベレ]に掲載された以下の一文です。

「日本の原子力ムラは、いまだに強大な政治力を持っています。」
「日本の原子力ムラの政治力が強大なため、日本には再生可能エネルギー資源が豊富にあるにもかかわらず、利用されてはいません。
日本の電力業界は福島第一原発の事故について、それをさほど大きな失敗としては認めていません。そのために、彼らが福島第一原発の事故から学んだものなど、基本的にはゼロなのです。」
http://kobajun.chips.jp/?p=845

こうした状況が現在の安倍政権や各電力会社幹部の発言を聴く限り、何ら改善されていない事を痛感します。
この国のエネルギー問題については、彼らのしたい放題にさせていたためにこの国に54基もの原子炉が建設され、福島第一原発の事故が発生しました。
そこから導きだされる答えは、これ以上原子力ムラのしたい放題を許してはならない、という事のはずです。





 

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