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【 時の中で凍りついたまま、核廃棄物だらけにされた町 】〈2〉

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所要時間 約 7分

福島第一原子力発電所の周囲をぐるりと取り囲む、いくつものゴーストタウン
スリーマイル事故現場はシンプル、それでも廃炉に10年を要した、フクシマは…
そもそもの始めから日本政府は実業界と共謀、国民に原子力発電の安全性を信じ込ませようとしていた

ボブ・サイモン / アメリカCBSニュース 2014年4月6日



ボランティアの人々も、津波によって運ばれた大量のがれきを丹念に片づける木村さんの作業を手伝うようになりました。
被ばく線量を減らすため、誰もが放射線防護服を身に着けています。
がれきを取り除く作業は徒労のようにも見受けられます。
しかしこの日、木村さんは生き残った彼の娘、まゆさんが着ていた洋服を見つけ出しました。

3月11日、木村さんは自分自身を決して許すことが出来ない間違いを犯しました。
木村さんはその時農場で仕事をしていましたが、地震の後もその場所に留まっていたのです。

ボブ・サイモン : あなたはその時、津波の襲来を疑わなかったのですか?

木村 : 今考えれば、すぐに家に戻るべきでした。家族の身に深刻な危険が迫っていた時に、提供された情報を安易に信じ込んでしまったことは、悔やんでも悔やみきれません。
今になっても自分にこう問いかけています、いったい何を考えていたのだ?!

福島第一原発が放射性物質を放出し、町民が避難を余儀なくされる事態が訪れ、町の責任者は木村さんに行方不明者の捜索を打ち切り、生きている人間の安全を守るべく行動するように言いました。

NBC 8
ボブ・サイモン: そして木村さんは一人生き残った上の娘さんと一緒にここ日本アルプスにやってきました。
さわやかな空気に満ち、雪を頂いた山々が連なるこの地は、放射線の存在や津波の脅威など想像することも難しいような場所です。
木村さんは地元での農業をあきらめ、日本アルプスで近々オープン予定の宿泊者用の施設で働くことにしたのです。

娘のまゆさんは、行方不明のままの妹についてよりも亡くなった母の思い出話をする機会が多く、なぜ未だに父親が福島まで行って妹を探し続けているのかについては尋ねようとしません。
現在2人が暮らしている場所は海抜600メートル、福島第一原発からは300キロも離れた場所にあるのです。

福島第一原発の周囲をぐるりとゴーストタウンが取り囲んでいます。
事故から3年が過ぎた今も、福島第一原発では4,000人以上の作業員が働いています。
彼らは放射線防護服を何枚も重ね着しています。

非常に高い放射線量のため、作業員は建物内では一日あたり2時間30分しか働くことが出来ません。
福島第一原発が電気を生み出すことはもうありません。
ただひたすらに事故収束・廃炉作業が行われているだけです。

100306
ボブ・サイモン:東京電力の職員は緊急事態に対処するための訓練を、充分に行っていたのでしょうか?

船橋洋一博士: 私はそうは思いません。

事故から数ヶ月のうちに、元新聞編集者の船橋洋一氏は、福島第一原発の事故原因を探るための調査を主宰し、精力的に検証を行いました。
その調査は日本政府が後援しない唯一の調査でしたが、この調査で得られた結論は衝撃的なものでした。

船橋博士: 私は日本政府が国民に大切な情報をほとんど伝えていないことに、非常に危機感を募らせていました。

船橋氏が調査結果を公表すると、人々の怒りと不安に改めて火がつきました。
船橋氏はこう書いています。
そもそもの始まりから日本政府は原子力産業界と共謀し、国民に対して原子力発電は安全なのだと信じ込ませようとしていました。

ボブ・サイモン:という事は日本政府の努力はその時、人々に何も心配することは無いと思わせることに向けられていたことになりますね。

船橋博士:まさにその通りです。『何も心配する必要は無いのだから、安心していなさい。たとえ過酷事故に対する事前の体制が整っていなかったとしても、大丈夫です。不必要な不安に駆られたり、不必要な誤解を抱いたりするだけ損なのだから、心配などしない方が良いのです。』」

01再稼働反対
ボブ・サイモン:そして事前に対策をする必要などない。

船橋博士:そうです、事前の対策など不要。結局こうした考えは、過酷事故に対応するための事前の態勢など未整備で構わない、そんな考えが広まっていく結果につながったのです。

〈 第3回へ続く 〉

http://www.cbsnews.com/news/fukushima-japan-disaster-three-years-later-60-minutes/
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この記事を読んで愕然としたのは、いつの間にか緒に就いたばかりの福島第一原発の事故収束・廃炉作業の作業員の数が、いつの間にか6,000人から4,000人に減っていたことです。
これもまた、ひとつの緊急事態なのではないでしょうか?
なぜなら、福島第一原発の事故収束・廃炉作業現場の崩壊の危険性については、早くから海外のメディアが指摘していたからです。

【 頭数合わせ?! 福島第一原発の事故現場、ホームレスの人々が送り込まれている 】インデペンダント( http://kobajun.chips.jp/?p=16139
【 廃炉のための専門技術者、福島第一原発で完全に不足 】AP通信( http://kobajun.chips.jp/?p=15581
【 崩壊の危機が続く、福島第一原発・事故収束・廃炉作業の現場 】ワシントンポスト( http://kobajun.chips.jp/?p=11604
などです。

そして福島第一原発の事故は収束どころか、未だにその全容が明らかにされていない、その事を痛感します。
安易な幕引きの既成事実を、決して許してはならないと思います。





 

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