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【 核廃棄物処分場、そこで起きている現実 】〈前篇〉[フェアウィンズ]

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所要時間 約 9分

アメリカの実験施設で起きている、『完全隔離の不可能』を証明する事故
周辺の環境に全く影響を及ぼすことなく核廃棄物を保管している施設など、世界中どこを探しても無い
高レベル放射性廃棄物を10年間保管し続けても、最終処分方法は未だに見いだせない

フェアウィンズ・エネルギー・エデュケイション 2014年3月6日


ニューメキシコ州カールズバッド近くにあるアメリカ・エネルギー省(DOE)の核廃棄物集積場は、処理実験の機能も併せ持ち、アメリカ国内の廃棄された核兵器から回収された放射性物質、プルトニウム、アメリシウムが保管しています。

2014年2月14日、この施設で放射性物質の保管上の事故が発生しましたが、アメリカ・エネルギー省(DOE)は正確な事実を公表しませんでした。
今回の映像でアーニー・ガンダーセンが指摘するのは、フェアウィンズ・エネルギー・エデュケイションが主な懸念としている施設自体の危険性、発生した事故、そしてアメリカ・エネルギー省(DOE)がその事実を隠ぺいしているという問題です。

私はフェアウィンズのアーニー・ガンダーセンです。
いつもと多少違うのは、今回私は施設の検証を行った専門家の証言を直接この耳で確かめるため、オフィスの外にいることです。

福島第一原子力発電所の3基の原子炉が継続的に放射性物質を環境中に放出している問題とは別に、今回はニューメキシコ州におけるアメリカの核廃棄物処理計画が、実際にはそこで働く作業員を被ばくさせ、さらにはここでもやはり放射性物質を環境中に放出させた事実について検証したいと思います。

ニューメキシコ州カールズバッドの近くにある、米国エネルギー省(DOE)の実験的な核廃棄物保管・処理施設は、廃棄された核兵器から回収した放射性物質、プルトニウムとアメリシウムを長期に渡り『安全に』保管することを目的としています。

原発などだ出す『核のゴミ』、すなわち核廃棄物の問題に多少なりとも詳しい人なら、アメリシウムが数百年、そしてプルトニウムが250,000年という半減期を持ち、その間人間にとって、そして地球環境にとって極めて危険な存在であり続けるという事をご存じのはずです。

フェアウィンズ・エネルギー・エデュケイションには、この深刻な核=原子力の事故についての問い合わせが多数寄せされています。

米国廃棄物処分場03
私たちはフェアウィンズのツイッターフィード、フェイスブック・ページ、そして記者会見等においてこの問題に関する情報が常に最新のものになるように、更新を繰り返してきました。

コモン・ドリームス( https://www.commondreams.org/ )のサイトでも、この深刻な事態に関し私に対する4回のインタビューの完全記録を掲載しています。このページへのリンクは映像の最後やフェイスブック、ツイッターでもお知らせしています。

それでは本題に入りましょう。
頭文字をとってWIPP(Waste Isolation Pilot Project)核廃棄物隔離保管実験プロジェクトとは何なのでしょう?

原子力発電も核兵器開発も、それが使用された後には非常に毒性の高い核廃棄物を作りだすことになります。
それらは皆非常に長い時間、実に100万年の4分の1という長い期間、いっさい環境中に放出されないように隔離して保管を続けなければなりません。
極めて高い毒性を持っているため、私たちが呼吸をする空気、そして私たちが口にする飲料水や食料に絶対に入り込むことが無いよう、万全の処置をして気の遠くなるほど長い期間隔離・保管を続けなければならないのです。

米国廃棄物処分場01
WIPP(核廃棄物隔離保管実験プロジェクト)を運営する核兵器産業界と原子力産業界は、これらの核廃棄物は水を通さない岩塩鉱内に保管されるため、水に溶けだして他の場所に移動する懸念は無く、人間が暮らす環境中で問題を引き起こすことは無いと主張しています。

しかしこうした施設が存在する場所の州議会、市議会、司法関係者、地主、農場主などは、周辺の環境に全く影響を及ぼすことなく核廃棄物を保管している施設など、世界中どこを探しても無いと懸念を募らせています。

ニューメキシコ州カールズバッド核廃棄物隔離保管実験プロジェクトは、地下800メートルの岩塩鉱の中にあります。
米国エネルギー省(DOE)はこの施設と取り組みを『実験的』と表現していますが、それは廃棄された核兵器から回収された高レベル放射性廃棄物を10年の間引き取り続けていながら、その最終処分方法が未だに見いだせていない事を象徴するものです。

この鉱山は一般的な鉱山施設同様、その頂点となる地表部分に穴を開け、そこに複数の巨大なファンを取り付け、鉱内の淀んだ空気の排気を行い、新鮮な空気を取り込む仕組みを持っています。

米国廃棄物処分場02
そして3月14日夕刻、この鉱内の奥深い場所で、何か危険な出来事が発生しました。
米国エネルギー省はそれを単に『ある出来事』と表現しています。
しかしそれは実は核廃棄物の保管上の事故、すなわち放射性物質の放出、あるいは流出を婉曲に表現する言葉に過ぎません。

フェアウィンズはこの問題について、2月17日以降コモン・ドリームスのサイトに最新情報を提供し続けてきました。

これまで私たちが知り得たことを整理してみましょう。
いつものアメリカ政府機関の例にもれず、米国エネルギー省はこの件に関しては充分な情報提供を行っておらず、したがって私たちはWIPP(核廃棄物隔離保管実験プロジェクト)で核廃棄物の保管に関し何か事故が起きた以上の事を知ることが出来ません。
以下はこれまでに米国エネルギー省に明らかにした内容です。

1.2月14日夜、WIPPの換気システムに取り付けられた放射線検出器が、岩塩鉱から排出されている排気から放射線を検出。

2. 検出された放射性物質の中には、微量であっても人体に入れば危険なプルトニウム、アメリシウムの2種類の放射性物質が含まれていました。

3. 当初米国エネルギー省は、放射性物質が放出されたタイミングで、鉱山内に人はおらず、夜勤の職員が離れた場所の別の建物内にいただけであり、放射線被ばくをした職員は皆無であると公表していました。

米国廃棄物処分場04
4. 米国エネルギー省はさらに、放射線が検出されて1分以内に放射性物質フィルター装置が稼働し、直ちに坑外に放出される空気から放射性物質を取り除く動作を始めたため、高レベル放射性核廃棄物を保管している岩塩鉱内からの排気を濾過し始めました。

5. しかし実際に調査を行った結果、施設の半径2.4キロの範囲が放射性物質によって汚染され、それ以上離れた場所の周辺市町村でも放射線が検出されたのです。

6. そして核廃棄物の保管トラブルによる放射性物質の放出事故発生から2週間後の2月27日、米国エネルギー省は当時現場にいた13人の労働者が被ばくしていた事実を明らかにしました。
彼らは内部被ばくの有無を確認するための尿検査を行い、陽性の結果が出たのです。

7. この事実が明らかにされたさらにその後で、米国エネルギー省は2月15日時点で現場にいたすべての職員について、内部被ばくが無いかどうかの検査を行うと発表しました。
この施設では650人以上の職員が昼間勤務シフトに就いています。

8. 最終的に米国エネルギー省はこの深刻な放射能漏れ事故以降、核廃棄物が保管されている岩塩鉱内への職員の立ち入りを一切禁止していると語りました。

しかし、本当はいったい何が起きていたのでしょうか?

〈 後篇につづく 〉

http://www.fairewinds.org/whats-leaking-nuclear-waste-isolation-pilot-program/
 + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

高レベル放射性廃棄物というものが、地下深く穴を掘って埋めてしまえばそれで終わるような問題ではないという事を改めてお伝えしたくて、この記事を翻訳しました。





 

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