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【 ヨーロッパに襲いかかった福島の巨大津波の余波 】

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純利益1箇所1日1億円! : ドイツの原子力発電所
「原子力発電を入れた棺桶のフタに、最後のクギを打ち込んだフクシマ」


フリオ・ゴドイ / ベルリン / IPSニュース 2011年12月25日


2011年3月に日本の福島第一原発を襲い、福島第一原発を破壊した巨大津波の影響は、ヨーロッパの大手電力会社や原子力発電所建設事業にも波及しています。


福島第一原発のメルトダウンの直後、ドイツ政府がいち早く原子力発電の段階的廃止に踏み切ったことについて、ドイツの大手電力会社で原子力発電所を所有する『E.ON』の最高経営責任者であるヨハネス・ティッセンは、『市場の変化や新たな規制による信じられないほど巨額のコスト』により、同社の収益が著しい影響を受けることになる、と警告しました。
ベルリン自由大学が行った調査により、稼働中だったドイツ国内の8箇所の原子力発電所のひとつひとつが、E.ONと他の電力会社に一日あたり100万ユーロ(約1億円強)もの純利益をもたらしていたものと見られています。

今月はじめE.ONは、ドイツの他の3つの主要電力会社であるRWE、ファーテンフォール、EnBWとともに、20,000の人員を削減する計画を発表し、数十億ドルにのぼる損失を計上したことを発表しました。
E.ONは30億ユーロ(3.9億ドル)に上る同社として前例のない特別損失を予測し、その結果今後数ヶ月の間に世界的中で11,000の人員を削減しなければならなくなると述べました。

残る3社は原子力発電の廃止によりさらに10,000人分の雇用を2012年中に削減する必要があると警告し、業界からは熟練労働者及び準熟練労働者の大量流出につながるだろうと述べました。


原子力発電所の建設・運営を行い、ウラン鉱山や核廃棄物処理施設運営の先駆的専門家でもあるフランスの国営企業AREVAも、数十億ドルの損失と大幅な人員整理を発表しました。
昨年11月にはAREVAは、2011年の1.6億ユーロの損失を計上、そして翌会計年度にはさらに悪い2.4億ユーロの損失を計上することになるだろう、と報告しました。
AREVAの広報担当者は、これらの損失はナミビア、南アフリカなどの国のウラン鉱山における、同社の不採算に終わった投資によるものであったと述べました。

アレバの広報担当者はさらにフィンランドで建設中のオルキルオト原子力発電所(原子力発電が宿命として背負うことになった巨大な経済的リスクそのもの、いわゆる第三世代加圧水型原子炉 - 欧州方式加圧炉またはEPR)について、追加で150万ユーロを投資する必要が生じるだろう、と発表しました。
アレバは2005年に30億ユーロの予算でこの原子力発電所の建設を始めましたが、度重なる工事の遅れ、規制の強化などにより費用は66億 ユーロと倍以上に膨らむ見込みです。
アレバのもう一つの第三世代加圧水型原子炉プロジェクトであるフラマンヴィルでは、フランスは2007年12月に35億ユーロの予算で建設を開始しましたが、2012年には完成の見込みでした。
しかし昨年7月になって、アレバのパートナー企業であるフランス電力(EdF)はコストがすでに60億ユーロを突破し、完成予定も2016年にずれ込む予定であると、警告しました。

加えてアレバとドイツの巨大企業シーメンスとの、長い間の提携関係が年内に解消されることになっています。

シーメンスは福島第一原発の事故後、その一切の原子力事業からの撤退を決定しました。


福島の事故が世界の原子力産業の基盤を大きく踏み割ってしまったことを公式に認める企業はまだ多くはありませんが、世界未来協議会の自然エネルギー部門の責任者である専門家、ステファン・シューリッヒはこのように語りました。

「福島の事故は、原子力発電を葬り去るために収めた棺桶のフタを止めるための、最後のクギを打ち込んだのです。」

「日本で起きた大惨事は、これまでにもあった原子力の安全性に関する疑念を、世界中に再認識させることになりました。すべての国において原子力発電が段階的に廃止されるのは、もはや時間の問題です。」
シューリッヒは今も福島で続いている悲劇について、セシウム137による周辺地域の汚染、もはや手の施しようのない海洋汚染、汚染により食べることができない作物しか作れなくなった農地、こうした問題がこれから何年もの間続く、という点について指摘しました。
「日本では広大な地域が、今後何年も住めない場所になってしまうでしょう。」

福島の事故は これまでの自然災害とは比較にならない衝撃を世界のエネルギー市場に与えた、と多くの専門家が信じています。
「2010年にメキシコ湾で起きた海底油田からの原油流出事故はその後も、化石燃料の使用についてどのような心理的影響も与えていません。」
「しかし福島の事故は、日本のような先進国においては、原子力発電の安全性と安定性は完璧に保証されている、という神話に終止符を打ちました。」

シューリッヒはさらに、福島の大惨事は原子力発電の隠れたコストと潜在的な不安定性を露呈した、と語りました。
たとえば、福島第一原発の運営会社である東京電力は、2011年に明らかになった分だけで340億ユーロ(3兆4,000億円)以上の補償債務を抱え込んでいます。
これと比較すると、風力、太陽光、バイオマス・エネルギーなどの再生可能エネルギーの開発費用はそれほど高いものとは言えず、今後さらに割安になっていく、とシューリッヒが締めくくりました。


シューリッヒの主張を裏書きするかのように、前出のE.ONは今月、原子力発電に関わるすべての部門の縮小を発表しました。
そして今後5年間で、特に洋上風力タービン施設や太陽光発電技術などの再生可能エネルギー分野に、新たに7億ユーロを投資することを発表したのです。


http://ipsnews.net/news.asp?idnews=106306

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やっぱり、と思ったのはドイツの原子力発電所が一か所で一日あたり日本円で1億円以上の利益を上げていた、という部分です。
最初は「道理でやめたくないわけだ…」と思いました。

その利益を電気料金などに還元したり、あるいは原発の安全対策に使う、というなら(欧米はそうしているようですが)まだしも、週刊誌などが報じているのは、原発が立地する地元の議員などと『ズブズブ』の関係を作り、そしてその関係を続けるために使われている、という話です。

福島第一原発の事故について、東京電力などは「過失の存在」は無い、と強弁していますが、あれほどの事故の原因がひとつであるはずはない、と思います。
本来なら原発の安全性を高めるために使うべき資金を、まずは地元懐柔のために使う。

しかし、ここで考えなければならないのは、この手の「迷惑料」の中身・性質についてではないでしょうか?
その場所に存在するために、なぜ地元自治体に法外なほどの寄付を行い、地元の推進派議員などに多額の『献金』をしなければならないのか?!
それはここでも取り上げた英国エコノミストの記事にあったように

「原子力発電が一旦何かが起きればあらゆるものを破壊しつくす(人々の生活、人生、地域社会を破壊し、その生存を脅かし、その地に根ざした産業も根こそぎだめにしてしまい、国土までも汚染する)危険性を潜在的に持って」おり、
「そうなれば原子力発電の本当のコストは膨大な額になり、とてものこと『安全で経済的な発電方法』などとは言えない」からです。
http://kobajun.chips.jp/?p=1760
そのことに気づかせないようにするために、『原発マネー』があらゆる方面に行き届くようにする。

これはアメリカのマフィアなどが禁酒法時代などに資金力にものを言わせ、有力政治家や地元自治体の首長などと『ズブズブ』の関係を作り、組織防衛を図ったやり方に酷似している、とお思いになりませんか?

という事はつまり、「利益を上げていた」というより「上げなければならなかった」という事の方が実態に近いのかもしれません。

禁酒法時代、FBIは闇の権力を操るマフィアに立ち向かっていきました。
今の日本、本来ならこのFBIの役割を果たさなければならないのが原子力安全保安院…

やはり、市民一人一人が事実をしっかりと見極め行動する、他人まかせにはできないようです。

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【2011年 フォトグラフ・オブ・ザ・イヤー】

アメリカNBCニュース 2月10日

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今年の『フォトグラフ・オブ・ザ・イヤー』に、一人のスペイン人カメラマンがニューヨークタイムズの依頼でイエメンで撮影した写真が選ばれました。
この写真は 『アラブの春』の運動の際、傷ついた男性を介抱くベールをまとった女性をとらえた、胸が痛くなるほど感動的な写真です。
あたかもマイケル・アングロの彫刻『ピエタ』の現代版のようです。
この作品は約1,000点の応募作品の中から選ばれました。







 

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