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【 福島第一原発のメルトダウンから4年、終わらない悲劇の実相 】《3》

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所要時間 約 10分

福島第一原発の事故後、被災地では誰も望まぬ家庭の崩壊が数多く発生してしまった
原子力発電所が稼働を続ける限り、2度と事故は起きない、起こさないなどいう事は誰も保証できない

フェアウィンズ 3月3日



アーニー・ガンダーセン :
私が理解している限り、日本の人々にとって祖先を祀ることは非常に大切なことです。
少なくとも年に数回、祖先を祀るための日があり、その日は国民の休日になっています。
しかし福島の事故は、そうした祖先との深いつながりすら破壊してしまったのではありませんか?

金子 : 日本の人々がその土地を愛するという場合、そこには山や川、その場所の自然、そして四季折々の美しい風物までが含まれ、今日であってもその思いは変わりません。
そして人々の望郷の思いはきわめて深く、切実なものがあります。

そして地元のコミュニティ、具体的には地方自治体のようなものですが、その一員であるという意識を強くもっています。
しかし福島の被災地ではそれも、福島第一原発の事故が破壊してしまいました。
物理的にその場所に住むことができないという事実に加え、町にしても村にしても自治体が組織としても機能することができず、気持ちの上でも帰属意識は失われてしまいました。

岡原7
さらにはこれら地方自治体の首長、つまり町長や村長、あるいはコミュニティの責任者と言った立場の人と、その住民たちとの関係も悪化しています。
これらの首長たちが人びとの生活より自治体の組織を温存することの方を優先しているのではないかという不満が、住民側にたまっているためです。

事故以来、こうしたコミュニティの崩壊は常時見られるようになりました。
そして家庭の崩壊も数多く見られるようになりました。
人びとが家庭を壊そうとしている訳ではありません。
事故の結果、誰も望まぬ家庭の崩壊が恒常的に見られるようになってしまったのです。

私は川内村で息子さんと一緒にガソリンスタンドを経営していた一人の女性と話をしました。
彼女は事故後ほどなく、避難を強制された自宅に息子さんと一緒に戻りました。
娘さんが飼っていた猫に餌を与えるためです。
すでに避難命令が出されていましたが、ちょうどその時点では村に戻ることも可能に見えたようです。
そして息子さんがかつて暮らしていた沿岸の富岡町にも行きましたが、これは福島第一原子力発電所が爆発を起こしていたことを知った人々が、とるものもとりあえず生活に必要な類いのものも置き捨てて避難することを最優先にしたため、必要なものを回収することが目的でした。

NBC25
驚くべきことに、こうして彼女は放射線量が極めて高い場所に入っていきました。
こうしたことが起きたこと自体、驚くべき事と言わなければなりません。
しかし私が言いたいのは、彼女と息子さんが川内村で経営していたガソリンスタンドに実際に戻ったという事実です。
なぜでしょうか?
息子さんは当時村に留まっていた高齢者の方々の事が気がかりで、その世話をしたかったのです。
当時、そのために川内村に行ける適当な人が見つかりませんでした。
息子さんは高齢者の方々が凍えたりしないよう、充分なケアをしなければならないと考えていました。

彼がとったこうした行動、そして人々の故郷に対する愛着について考えるとき、当然のことながらそこにあったのは自治体とかそういう事ではなく、コミュニティとそこに暮らす人々を大切にしたいという思いであったはずです。

これ程に自分が生まれ育ったコミュニティに対し愛着を持っていた息子さんですが、残念ながら奥さんと小学校3年生の子供さんは現在東京の近郊で暮らしています。
放射線被害は特に低年齢の女の子に対して著しく有害であると言われている以上、被害を未然に防ぐために、娘さんを汚染された地域に置いたままには出来なかったのです。

NBC13
これほど厳しい現実が他にあるでしょうか。。
奥さんと娘さんは年に2、3回しか父親のところに戻ることができません。
そして別れる時には、みんなが涙を流します。
愛し合っている家族であり、娘さんはお父さんのことが大好きなのです。
私があって話をした川内村の女性は、そうした彼らの様子を見る時が一番つらいと語りました。
私は彼女にこの世で最も大切なものは何かと尋ねました。
家族以外にありません、それが彼女の答えでした。

そして彼女は現在、日本政府が原子力発電所を再稼働させるべく準備を進めていることについて、全く不当な行為だと語りました。
問題外です。
彼女は自分たちが苦しんでいる状況が、また別の場所で再現されることを望んでいません。
二度と福島第一原発の事故のような災害が発生することを許してはならないのです。
しかし原子力発電所が稼働を続ける限り、2度と事故は起きないなどいう事は誰も保証はできないのです。
誰も保証する事などできないはずなのです。

FOX News
アーニー・ガンダーセン :
そうです、そんなことは不可能です。
3年前に日本を訪問した際、私もその事を言いました。
原子力の時代は日本において、最も不幸な形で始まりました。
ヒロシマ、ナガサキと立て続けに原子爆弾が投下された時です。
そして締めくくりもまた、日本である可能性が出てきました。
福島第一原子力発電所です。
原子力の時代は日本で始まり、日本で終わる可能性もあります。
しかし今日本の人々に対し、国内の原子力発電所の再稼働を認めるよう圧力がかけられています。
そうした現実を目の当たりにすることは、私にとっては非常に悲しいことです。

金子 : それを裏書きするような事実がありました。
川内村でガソリンスタンドを経営していたこの女性は、ある現実について語りました。テレビが伝えた少年の言葉に非常な衝撃を得たと語りました。

Jビレッジへのバス待ちの列
福島第一原発が立地していた大熊町出身の中学生程の男子生徒が、福島第一原発と東京電力は自分たち家族に生活の糧を与えていたと語り、再稼働されれば、彼の家族はまた福島第一原発で働くかもしれないと語ったのです。
これを見る限り、日本には原子力発電所の再稼働が安定した生活と経済的繁栄をもたらすという期待が存在すると思わざるを得ないのです。

《第4回に続く》

http://www.fairewinds.org/fukushima-meltdown-4-years-later/#sthash.cS4E7Xtk.0cl8vZ9P.dpbs
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東北の地元紙、河北新報に『<福島廃炉への道>トラブル続発、処理に遅れ』と題し、「東京電力福島第1原発の廃炉工程は最長40年かかるとみられ、前例のない険しい道のりが続く。廃炉に向けた動きを月ごとにまとめ、解説する。」という記事が掲載されています。
福島第一原発の原子力発電所所のご確認に、ご利用ください。
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201503/20150331_63030.html
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【 あらためて人生を見直す程感動的な写真24撰 】《1》

マイクロ・ヴァケイション・アイディア / アメリカNBCニュース 3月26日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください・個別の写真のキャプションはありません)

around01
絵や写真は1,000の言葉に勝るといわれます。
ここにご紹介する写真を見ると、その意味が解るような気がします。
一枚の写真は、小説や詩よりもある種の力強いエッセンスを対象となったものから取り出すことが可能です。

写真はシンプルです。
どんな加工編集も経ることなく、あるがままを直接確認することができます。
ひとつの物事を言葉に置き換えるとき、何かが失われ、何かがつけ加えられる可能性があります。
場合によっては前後関係が生じるためにかえって混乱し、意味が誤解される場合もあります。
写真は紙の上に塗り広げられた色の混合物では無いのです。

写真は、私たちの中にある生の感情をかきたてることができる、呼び覚ますことができる、『何か』なのです。

写真などがどれほど大切かということについて、具体的な例があります。
ピュウ(Pew)リサーチセンターによれば、写真が添付されている場合、インターネットの利用者はそのコンテンツをクリックする確率が7.4倍になると公表しています。
ブランディングとマーケティングの専門家は、特定の製品を買うよう消費者を行動させるため、彩色・配色の設計と写真などを慎重に扱っています。

しかしなぜ私たちはビジュアルと言われるものに惹きつけられるのでしょうか?
それはどのようにして、どれ程の威力を見る者に対し発揮するのでしょうか?

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http://4daysin.com/pictures-around-world/?utm





 

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