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【 日本のワーキングプア – 苦闘し、苦悩する人々 】

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所要時間 約 8分

臨時雇用に頼って生きる人々の、生活環境の悪化が続いている
日本では長い間、まじめに働いてさえいれば社会の谷間に落ちていくことは無かった
2012年後半安倍政権誕生以降、非正規雇用労働者の数が150万人を超え、その割合が飛躍的に増大した

エコノミスト 4月4日

ECO貧困層
東京に隣接する日本第2の都市横浜、高級ブティック、高級レストランが立ち並ぶ地区からさほど離れていない場所で寿町の住人達は暮らしています。
しかし寿町にあるのは高級店舗が立ち並ぶ地区とは全く別の世界です。
そこは荒廃と退廃が支配する、窮乏生活へと落ちていく日本人のための一時停車駅なのです。

ドヤと呼ばれる安ホテルで暮らす男性たちは、仕事も家族も失った人々です。
臨時雇いのその日限りの仕事があるのは良い方で、ほとんどの人は全く働いていません、

寿町には250のベッドを持つ寿町総合労働福祉会館がそびえたち、過去数十年の間には40カ所前後の公共の職業あっせん施設が設置されました。
これらの施設は路上生活をしていた約18,000の人々を救い出すことは出来ましたが、彼らを寿町へと追いやった最大の原因である貧困の拡大に対してはほとんど無力でした。

昨年、日本政府は平均収入の半分以下の収入で暮らす貧困層が、全体の16%に達したことを発表しました。
これまでで最悪の数字です。
日本の貧困率は1980年代半ばから、およそ年に1.3%の割合で増加を続けてきました。
この数字は2011年のOECDによる分析により、世界の主要先進国34カ国中、6番目に悪いものです。

GRPH ジニ係数
貧困層かそうでないかを分類するのは年収200万円のラインですが、数千万の日本人がそれ以上の収入を得る中、200万円以下の年収で生きのびる方法のハウツウ本がベストセラーになっているという広告が書店に大きく貼り出されていました。

日本はこれまで長い間、まじめにさえ生きていれば社会の谷間に落ちていくことは無いという事を誇ってきました。
スラム街の無い日本の整然とした街並みは、その事実を証明してきました。

路上犯罪は、寿町においてさえ発生することは稀です。
失業率は4%以下にとどまり、安倍首相が進める大規模な金融緩和策により、求人件数も増加しています。

しかし『求人件数の増加』を作りだした新しい仕事の中身、その質の悪さがワーキングプアの問題を作りだしていると、法政大学社会学部の堅田香緒里(かただかおり)教授が語りました。
安倍首相が政権についた2012年後半以降、正社員と比較して収入が著しく低いとされる非正規雇用労働者の数が150万人を超え、飛躍的に増大してしまったのです。

今や非正規労働者やパートタイム労働者の数は約2,000万人、その割合は全労働者の4割に達しています。

非正規雇用
しかしこうした非正規労働社会への変貌は、これまでは目に見えない形で進行してきました。
理由の一つとして、親たちの世代が進んで負担を肩代わりしていることが挙げられます。
数百万人の若い労働者が親元で暮らし、家賃その他の生活経費がかからないようになっています。
しかし堅田教授によれば、現在の親の世代である戦後のベビーブーマーたち、すなわち団塊の世代が完全に引退生活に入れば、日本の根底にある貧困問題がはっきりと姿を現すことになります。

安倍首相は豊富な資金を持つ大企業に対し、雇用を増やし、労働者への賃金の支払いを増やすよう求め、若干の成功を収めました。
過去数週間、日本の大企業の中でも最大手は、恵まれた立場にいる従業員たちの昇給を発表しました。

しかし日本経済の回復が喧伝される中、ぎりぎりの生活を送っている人々は一層追いつめられています。
生活保護世帯の数は1995年に882,000と一度は底を打ちましたが、その後は着実に増え続けてきました。 昨年、生活保護の受給世帯が初めて200万の線を突破してしまいました。

GDPの約2.5倍という莫大な額の公的負債の削減を迫られている日本政府は、昨年夏、福祉関係予算の削減を行いました。
文化人類学者で、『横浜ストリート・ライフ:日本の日雇い労働者の不安定な職歴(Yokohama Street Life: The Precarious Career of a Japanese Day Labourer)」の著作があるトム・ギル氏は、その事がより多くの人々を貧困層に落とし込んだのだと指摘しました。

アベノミクス01
横浜市も日本国内に多い赤字の自治体のひとつです。
現在ホームレスの救護所を混雑させている男性たちは、かつては建設現場や自動車生産ラインで生計を立て、国税や県税、市町村税を支払っていました。
今日、少なくとも建設業は再び上向きましたが、以前と比べれば産業としての規模も縮小し、支払われる賃金もかつてとは比較になりません。

一部の男性たちは、仕事に就くことが出来ました。
しかし寿町にいる人々のほとんどは、日本社会の重荷になったままです。

http://www.economist.com/news/asia/21647676-poverty-worsens-more-japanese-work-non-permanent-contracts-struggling
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【 3月の宇宙傑作写真 】《1》

アメリカNBCニュース 4月1日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)

宇宙01
国際宇宙ステーションのNASA宇宙飛行士バリー・ウィルモアが3月9日、ツイッターで公開した緑色に輝くオーロラの写真。(写真上)

3月12日3人の宇宙飛行士を乗せ、カザフスタンの草原目指してパラシュート降下するソユーズ・カプセル。(写真下・以下同じ)
宇宙02
3月26日に公開されたこの星雲の写真は、チャンドラ宇宙望遠鏡とハッブル宇宙望遠鏡を使い、謎に包まれた宇宙の暗黒物質(dark matter)の仕組みを解明しようという、大規模な取り組みの中で撮影されたものです。
ピンク色の部分、明るく輝いているように見えるのは、チャンドラ望遠鏡のX線カメラがとらえた高温のガスです。
ハッブル宇宙望遠鏡の可視データと組み合わせることにより、天文学者は星団と高温のガスが衝突した後に起きる現象を確認するとともに、重力レンズ効果の様子を通し、暗黒物質(青色)の拡散の様子も推論することができます。
宇宙03
3月28日にカザフスタンのバイコヌール宇宙基地から3人の宇宙飛行士を乗せ、国際宇宙ステーションに向け発射されるソユーズ・ロケット。
3人は宇宙でほぼ1年を過ごし、来年3月に地球に帰還することになっています。
宇宙04
3月14日に欧州宇宙機関のロゼッタ宇宙船のカメラがとらえた、67Pチュルモフ・ゲラシメンコ彗星からガスが噴出している様子をとらえた写真。
約85㎞の距離から撮影に成功しました。
宇宙05 http://www.nbcnews.com/science/space/month-space-march-2015-n332981





 

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