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【 安倍政権の原子力発電推進政策に一撃、裁判所が再稼働禁止を命令 】

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所要時間 約 9分

使用年限が間近に迫り、老朽化が明らかな高浜原発の再稼働を承認した原子力規制委員会
高浜原発の安全性は過去にも確保されておらず、その再稼働には「合理性が欠如している」
福井地裁の判決以前は、高浜原発は数か月で再稼働可能と楽観視していた日本の原子力産業

ジャスティン・マッカリー / ガーディアン 4月14日



日本の裁判官は安全懸念に基づき、高浜原子力発電所の原子炉の再稼働に不利な裁決を行いました。
福島第一原発の事故発生から4年後の今、日本国内で原子力発電所の再稼働を推進しようとしている安倍政権の計画に一撃が加えられることになりました。

原子力発電を再起動するPMの計画に妨げを与えます、

原子力規制委員会は福井県にある高浜原子力発電所の原子炉の再稼働をすでに承認していましたが、14日火曜日に下された判決により、裁判官は地元住民側の主張を認め、関西電力に対し再稼働を禁止する仮処分を決定しました。

住民は福島第一原子力発電所の事故を引き起した規模の地震が襲った場合の、高浜原子力発電所の危険性を原子力規制委員会が過小評価していると主張していました。
その主張は高浜原子力発電所の原子炉は本来必要な安全基準を満たしてはおらず、避難の際に必要になる様々な措置についても妥当性を欠いていると主張してきました。

原子力規制委員会は老朽化が進んでいる高浜原発と鹿児島県にある九州電力・川内原発の2基の原子炉の再稼働を承認していましたが、その安全性に懸念を持つ住民たちは、司法判断がこれらの原子炉の再稼働を止めさせるための最後のチャンスと考えています。



日本国内の48基の原子炉は、1986年のチェルノブイリ原発事故以来最悪となった2011年3月の福島第一原子力発電所の事故発生を受け、2013年9月以降、すべて停止しています。

日本国内ではもうひとつ、九州電力・川内原発の再稼働に対しても、住民が禁止を求めて訴訟を起こしており、同じ月内に判決が出されることになっています。
もし今回同様の判決が下されることになれば、日本の電力供給の主要電源として原子力発電を復活させようとしている安倍政権の取り組みに、実質的に狂いが生じることになります。
日本の国内報道によれば、高浜原発の2基に加え、川内原発の2基にも再稼働を禁止する司法判断が下されれば、それを覆そうとする電力会社、日本政府の法廷闘争は短くても数か月、場合によっては数年かかる可能性があります。

地元紙の報道によれば、福井地方裁判所の3人の裁判官は、高浜原発の安全性は過去にも確保されてはいなかったとした上で、そうした原子炉を再稼働させることには「合理性が欠如している」と指摘しました。

福井地裁判決
裁判長の樋口英明氏は伝統的に保守的な傾向の強い裁判官の中では、異色の存在と考えられます。
樋口裁判長は昨年5月、同じ福井県の関電大飯原発3、4号機の訴訟の判決でも再稼働差し止めを命じる判決を行いました。

これに対し関西電力は住民側の主張に沿った判決が『残念であり、受け入れがたい』として同地裁に異議や執行停止を申し立てると語りました。

原告側の弁護士は「完全な勝利」を歓迎し、月のように語りました。
「これは、私たちが予想することができた最高の判決です。」

この運動に携わってきた人々は、劇的な再生可能エネルギーへの転換も含め、日本のエネルギー政策は根本的に見直される必要があると語りました。

「原子力発電の都合の良い点ばかりを強調してきた政府や電力会社の宣伝政策に、歯止めをかけることができることを初めて証明した画期的な判決です。」
グリーンピース・ジャパンの高田ひさよさんがこう語りました。
「使用年限が間近に迫っている古い原子炉を再稼働させることには、本来大きな危険が潜んでいるはずですが、多額の負債を抱える電力会社は、どんなことをしても危険なはずの原子力発電所の再稼働に踏み切ろうとしています。今回の判決は危機的状況に追い込まれている原子力産業を、一層追いつめていくことになります。」

高浜原発判決
安倍首相は日本が石炭と液化天然ガスの輸入量が記録的数値に昇る中、日本の景気回復を支えるためには、少なくとも国内の複数の原子力発電所を再稼働させる必要があると警告を発してきました。

財界関係者は国内の原子炉が稼働を停止しているおかげで、その事業所が高額な輸入燃料費を負担しなければならなくなっていると不満を募らせています。
大都市大阪を中心に京阪神地区に電力を供給している関西電力は、今期の損失額を1,610億円と予想していますが、同社は2011年3月に福島第一原子力発電所の原子炉がメルトダウンを起こして以来7,440億円の損失を計上しています。

この判決の前、原子力産業の関係者は高浜原発の再稼働は数か月以内に実現するものと楽観視していました。
「今年は原発ゼロの状況から抜け出す、記念碑的な都市になります。」
日本原子力産業協会の今井敬会長は、4月初旬に東京で開催された工業イベント会場でこうあいさつしました。
「安全基準に適合した原子力発電所を、出来るだけ早く再稼働させなければならないのは自明のことです。」
日本の原子力発電推進派は、温室効果ガスの排出量を減らす国際公約を実現させるために、原子力発電所の再稼働が重要な役割を果たすと主張しています。

東京03
環境省は判決が下された同じ14日火曜日、日本の二酸化炭素の排出量が2014年3月までの一年間に過去2番目に高い値を記録したとする公式統計を発表しました。
地方紙は日本が2030年までに2005年のレベルから約20%、二酸化炭素の排出量を削減することを目標としています。
この目標は他の先進諸国と比較しても、かなり低い数値です。
福島第一原発の事故の後、その目標は当初を下回り、2005年と比較し2020年までに3.8%の削減を実現するというものに変更されました。

福島の事故が発生する以前、日本の原子力発電は全発電量の約30%をしめ、さらにその占有率を上げるべく新たな原子力発電所の建設計画が進んでいました。

日本政府があらゆる方法を用いて圧力をかけ続けているにもかかわらず、福島第一原発の3基の原子炉のメルトダウン以来、日本国民の大半は原子力発電所の再稼働に一貫して反対を続けています。

福島第一原発の事故では大量の放射性物質が大気中、そして海洋中に放出され、10万人を超える人々が自宅を捨てて避難しなければなりませんでした。

NBC16
そして未だに多くの市民が家を失ったまま、故郷に戻れずにいるのです。

※冒頭の動画 : ガーディアン紙制作『福島第一原発事故、危機的状況が続いた日から、未だに10万人を超える市民が自宅に戻ることができない今日まで』
2番目の動画 : 『ロボットがとらえた福島第一原発の内部』

http://www.theguardian.com/world/2015/apr/14/japans-post-fukushima-nuclear-restart-plans-dealt-a-blow-by-court-ruling
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この件に関する記事をいろいろ検索して気がついたことがあります。
高浜原発3号機、4号機は1985年の稼働開始という事ですが、原子炉の使用年限を40年とすると、2015年現在この2基の『寿命』は残り約10年ということになります。
関西電力はなぜ、このさほど新しくない原子炉を再稼働のトップに選んだのでしょうか?
AP通信の【 日本国内の原子炉、国民との対話も同意も無い再稼働が始まる 】( http://kobajun.chips.jp/?p=19278 )という記事を翻訳したことがありますが、「19基」の根拠が解りませんでした。
気がついたことというのは、高浜原発3号機、4号機を再稼働させることにより、それより新しい原子炉についてはなし崩しに次々再稼働を認めさせることが可能になる、そういうシナリオがあるのではないかという事です。

いずれにせよ先に原発ありきの発想であり、福島の被災者の方々をはじめ、国民のための国家という視点の欠如について、改めて思い知らされました。





 

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