ホーム » エッセイ » 【 チェルノブイリの事故から26年 : 子供たちへの救援活動の今〈後編〉】
「ベラルーシ国内だけで、事故後の除染費用が2千億ドル(約16兆円)を突破、経済は疲弊の極に」
「飢えるか、放射能汚染覚悟で口にするか、という残酷な選択」
「非人間的環境に、苦しみ続ける子供たち」
アメリカCNNニュース 4月25日
さらに言うなら、チェルノブイリは単なる爆発事故というにはあまりにも大きな影響を、あらゆるものに及ぼしたのです。
「私たちがチェルノブイリについて語るとき、大部分が放射線による直接の医学的被害についての指摘がほとんどです。」
キャシィ・ライアン[チェルノブイリの子供たちインターナショナル]、通称CCIのスポークスマンが語りました。
「しかし大切なことは、人々が社会的にも経済的にも、チェルノブイリの事故の影響に苦しみづけている、という事なのです。」
ヨーロッパ最大の穀倉地帯と言われ、数百万の人々が農業に従事していたこの地の農作物は、事故後、輸出の道が全く途絶えてしまったのです。
そして、ベラルーシ国内だけで事故後の除染費用は2千億ドル(約16兆円)を突破してしまい、間接的にはソビエト連邦崩壊の原因となり、直接的にはベラルーシの経済を疲弊の極に追い込むことになりました。
生計を立てるためのあらゆる手段が失われていく中、今度は食べるものも飲むものも、(高価な輸入食品などが買える経済力など無いため)自分たちが暮らす汚染された場所で作られるものしか、口にできなくなってしまったのです。
食物の中の放射線が直接被害を生み出しているかどうかという問題を別にしても、栄養失調が日常的に発生しており、そのことが病気や先天的に障害を持った赤ちゃんの出産につながっています。
もう一つ顕著なのはチェルノブイリの事故により、何世代にもわたって暮らしてきた故郷を捨てなければならなくなった人々に見られる敗北主義です。
国際原子力機関(IAEA)は、問題のすり替えともとれる発言をしています。
『貧困と放射線障害への恐怖が自殺、過度の飲酒、そして無気力を生んでいる。』
原因は別にしても、子供たちが置かれている状況に深刻な問題があるのは事実です。
たとえば胎内の子供が母親の飲酒により、先天性の奇形や慢性疾患を持って生まれてきます。
その結果子供たちは施設での生活を余儀なくされてしまう。
ユニセフの統計によれば、こうした子供の数はベラルーシだけで10,000人に上ると推定されています。
「多くの場合、子供たちは家にいられなくなってしまうのです。両親がアルコール中毒や極度の貧困といった問題を抱えてしまっているからです。」
CCIのライアンがこう語りました。
CCIによれば、子供たちは持って生まれた障害や慢性疾患に苦しむのと同じ位、施設で生きていかなければならない境遇に苦しんでいます。
ユニセフの連絡調整担当役員の レベッカ・フォーダムは、この子たちのためにもっと快適な施設を確保することは、世界にとっての緊急課題であると述べました。
「子供たちは非人間的環境に置かれています。子供として必要な献身的な世話を受けることも無く、十分な食事も与えられず、子供らしく遊びまわる機会も無いのです。」
このような疑問がわいてきます。
いったいどれだけの人々がチェルノブイリの呪縛を逃れ、前に進むことが出来るのか?!
放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)と世界保健機構(WHO) による報告書は、旧ソビエト連邦が『汚染地域』と指定した範囲内の放射線量は、広大な面積の安全とされた地域と比較して、放射線量はそれほど高いわけではない、と主張します。
事実、その基準に基づき、この地の放射線量に関してソビエト連邦は特段の対策を施してはいませんでした。
「西ヨーロッパの約45,000平方キロの土地の土壌中から、旧ソビエト連邦の『汚染地域』の基準を上回る量 の放射線量が検出されましたが、ベラルーシやウクライナのような心の荒廃や経済的打撃を受けた地区は無いのです。」
放射線の影響に関する国連科学 委員会(UNSCEAR)の秘書官、マルコム・クリックがこのように語りました。
いったいどれほどの地域で汚染が続いているのか、そしてその意味するところは何なのか?
途切れることの無い放射線は、この地の住民の健康にどのような影響を与えるのか?
そしてこの地で育った作物を食べることには、まだ危険がつきまとうのか?
これらの質問に確実に答えられる人間は、これまでもいなかったし、これからもいないでしょう。
これからしばらくはCCIボランティアがまずやらなければならないことは、子供たちを抱きしめてやり、愛情を持って彼らと接し、少しでも明るい未来を一緒に思い描くことだけです。
チェルノブイリの爆発事故が、子供たちをどのように運命づけてしまったか、それはもう取り返しのつかないことなのですから…
「私たちは科学者ではありません。人間と生命を愛し、大切にする人間です。」と、ライアンは語りました。
「私たちはこの地上に、この子たちが生きていることを、決して忘れてほしくないのです。」
http://edition.cnn.com/2012/04/25/world/iyw-chernobyl-children/index.html?hpt=hp_c3
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