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【 中国経済の減速と日本経済の不況転落 】《前篇》

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所要時間 約 9分

2015年第3四半期の日本経済、連続してマイナス成長を記録
日本の資材の大口需要先であった中国の製造業、建設業、鉱業などの成長率、状況は一層厳しいものに

ジョナサン・ソブル / ニューヨークタイムズ 11月16日

日本中小企業機械製造
中国経済の減速が明らかになると、柔和勉さんが経営する金属加工会社のような日本企業は売れ行き不振に陥り始めました。

日本の安来にある柔和勉さんが経営する金属加工会社は、手がけている分野が特殊なため、1,100キロ離れた中国経済の成長のおかげで好調な業績を上げてきました。
柔和さんとその14人の従業員が工作機械を使って精密に作り上げたギヤ、ベアリングやその他の金属部品は、最終的には中国国内の工場で巨大な掘削機械のエンジンに組み上げられます。
その掘削機はこれまで中国国内で、無謀とも言えるペースで行われてきた建設現場で活躍してきました。

しかし今、中国の経済成長は減速し、16日月曜日に公表された第3四半期の日本経済が連続してマイナス成長を記録したことが明らかになったのに歩調を合わせるように、柔和さんのビジネスも落ち込んでしまいました。

コマツ、クボタ、そして日立建設機械のような日本の機械メーカーにおける中国国内でのエクスカベータやブルドーザーの販売実績は落ち込み、その分、部品を供給している柔和さんの会社のような製造業者の販売実績もまた落ち込むことになりました。
建設分野の企業からの注文は今年、40パーセント前後減少したと柔和さんは見積もっています。
柔和さんは中国の経済市場について、次のように語りました。
「現実に間違いなく減速しています。私たちはそのことを実感させられました。」
日本中小企業製造02

日本が経済成長を実現するためには、他の先進国以上に必要とされる要件をきっちり達成する必要があります。
日本は総人口も、労働人口も減少を続けています。

かつては世界を席巻していた日本の家電業界は、今や他の国々の安価な製品に押され気味です。

安倍晋三首相は3年前、日本経済を活性化させるという公約を掲げて政権の座に就きました。
低い失業率や大企業が次々と記録的な額の利益を計上するなどの目だった効果があった一方で、肝心の経済成長と幅広い勤労収入の増加はまだほとんど達成できずにいます。

日本経済は相変わらず崖っぷちの状態にあり、わずかなマイナス要因であっても悪影響が広範に及ぶ可能性があります。
直近の2015年第3四半期には、経済の先行きの見方について慎重になっている各企業は設備投資を手控え、日本経済はこの7年間で5度目となる不況局面に落ちこみました。

Tokyo 7
中国への輸出は急落し、日本経済のマイナス成長を加速させ企業や消費者心理を一層冷え込ませることになりました。
しかし中国経済の減速の影響を受けたのは、日本だけではありませんでした。
中国では経済が減速した結果、原油や鉄鉱石などの需要も減少し、輸入先であるオーストラリア、ブラジル、エクアドルなどの資源輸出国も影響を受けました。
さらには中国の投資に依存する開発途上国もダメージを受け、その経済状況は不安定さを増すことになりました。
日本とドイツは超高層建築に使われる建設機械、そして何千という中国国内の工場で使われる工作機械を供給してきましたが、両国ともこの分野の状況が特に悪くなっています。

日本は「中国のインフラ基盤整備のため必要なすべての製品を供給してきた」
こう語るのは世界的な格付け会社スタンダード&プアーズの幹部級のグローバル・エコノミストであるポール・シェアード氏です。

こうした背景のため、中国経済の減速により日本のダメージが最も深刻なものになる危険性があります。

日本経済成長率
中国経済は崩壊した訳ではありません。
日本が2期連続のマイナスを記録した同じ第3四半期、中国経済は年率換算で6.9パーセント成長しました。
こうした数値は先進各国の状況から見れば、羨望の的であることに変わりはありません。
しかしリーマンショックによる金融不況が頂点に達した2009年以降、最も低い成長率になったことも事実です。

そして特に日本の資材の大口需要先であった製造業、建設業、鉱業などの部門の成長率は、中国全体の成長率と比較して、状況は一層厳しいものになっています。

中国はちょうど10年前、アメリカ合衆国に代わり日本最大の貿易相手国となりました。
家電業界などが目に見えて縮小傾向を続ける中、鉱業用輸送・工作機械製造、織物器械製造や半導体製造業者の対中国輸出は拡大を続け、日本経済の中でとりわけ将来性の高い分野となりました。
この間日本と中国の間では政治的対立などの問題も発生しましたが、互いに依存し合う関係にはそれ程の悪影響は及びませんでした。
しかしながら、経済活動における日本と中国の関係はこの間、変化を続けていました。
最大の問題は中国国内の人件費の上昇です。
人件費の上昇により中国国内に生産拠点を持つ日本企業の利益は低下、その結果タイとインドネシアなどの東南アジア諸国に生産拠点をシフトする企業が目立つようになりました。

Tokyo 6
安価な労働力を求める代わり、日本企業、特に小売り部門の各木々用は新しく裕福な消費者を獲得すべく、中国に押し寄せました。
コンビニエンスストアのチェーン各社やユニクロのような衣料品のチェーン店はいち早く中国国内で販路を拡大して行きました。

主に中国国内で働いている工業デザイナーである椎名智勝さんは、最近上海から帰国しました。
椎名さんは上海市内にオープンする靴のディスカウントショップの設計・建築の指導を行っていました。
「現在中国では、こうした節約志向の消費者向け商品の売れ行きが好調です。」

〈 後篇に続く 〉

http://www.nytimes.com/2015/11/17/business/international/japans-economy-feels-the-sting-of-chinas-slowdown.html?ref=topics&_r=0
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【 11月20日までの報道写真から 】

アメリカNBCニュース 11月20日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)

難民11
11月19日、セルビアとの国境付近のマケドニア領内で、検問を待つモロッコ、イラン、パキスタン出身の難民。
旧ユーゴスラビアのマケドニアは、難民の領内通過をシリア、イラク、アフガニスタン出身者に限って認める措置を公表しました。(写真上)

11月19日、マケドニアからセルビアに入国する際、難民が置き捨てていった衣類や身の回りの品々。(写真下・以下同じ)
難民12
11月19日、子どもを抱きかかえる、ギリシャのレスボス島にたどり着いたアフガニスタン難民。
難民13
11月19日、エクアドル、トゥングアフア火山の噴火。
Day11
11月19日、ギリシャのレスボス島に無事たどりついたことを喜び合う両親の前で、涙を流す少年。
シリア難民11
11月20日、ギリシャからの難民の入国をブロックしているマケドニアの警察官の前で、人形を持って立ち尽くす女の子。
国連難民事務所とロイター通信社によると、マケドニアは中東の紛争地帯とアフガニスタン難民にのみ領内の通過を許可し、他のアジア・アフリカ諸国の難民については国境から追い返しています。
シリア難民10
http://www.nbcnews.com/news/photo/today-pictures-november-19-n466636





 

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