【 2016年ヒロシマの誓い、言行不一致のオバマ大統領、そして安倍首相 】《後篇》
様々な演技とは裏腹に、密かに日本の核武装を目指す安倍政権
安倍首相は日本の「平和憲法」の要である第9条を書き換えるため、ありとあらゆる手段を講じてきた
安部首相に核兵器反対運動をしている人々への理解などはなく、逆に防衛政策遂行の障害だと考えている
トム・リー / ワシントンポスト 5月27日
▽ 核兵器の保有を視野に入れたままの安倍政権
首相としての在任期間、安倍首相は日本の軍事能力を増大させることに本腰を入れ、海外での軍事紛争に積極的に関わっていくと宣言しました。
一方で本気ではない『核兵器に反対する姿勢』を見せることも忘れませんでした。
安倍首相は日本の「平和憲法」の要である第9条を書き換えるため、ありとあらゆる手段を講じてきました。
日本は憲法第9条の下で、国際紛争を解決する手段として戦争を行うことを非合法化しています。
「積極的平和主義」を唱える安倍首相の形式的方針自体は、それほど問題ではありません。
一方で国際平和維持活動に積極的に参加し、テロリズム防止のために大きな役割を演ずるためには、日本は軍事能力を一層強化し、安全保障方針を改める必要があります。
しかし日本の軍事能力を一方的に強めることは、かえって東アジア地区の不安定要因となり、さらには日本の核武装を正当化することになります。
実際に中国と北朝鮮は、安倍政権が進める日本の防衛政策の転換について警告を発しました。
そして安倍首相による『積極的平和主義』を実現させるという宣言は、ISISなどのテロリスト・グループの注意をひきつける結果につながりました。
つい最近、安倍政権は日本が核兵器を保有することは憲法に違反しないと主張し、市民や野党の強い反発を招きました。
そして日本国憲法の条文を正しく解釈すれば、安倍政権の主張とは全く異なる理念がみえてきます。
「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」
そして、その理念を現実のものとするため、
「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」
こうした安倍政権の考え方は、日本が1960年代後期に採用した非核三原則にも違反しているという点も重要です。
この非核三原則は日本の国土において核兵器を開発すること、所有すること、そして持ち込ませることを禁止しています。
しかし日本における核兵器の禁止は法律が規定している訳ではなく、方針とも言うべきものです。
でした。
しかし安倍政権が誕生すると、非核原則よりも国家の安全保障という課題が重視されるようになったのです。
そして国民の間でも核兵器保有を否定する考え方は、かつてほど強いものではなくなったように感じられます。
安部首相は原子力発電の恩恵の強い信奉者です。
しかし2011年3月に発生した福島第一原発の事故処理に苦しみ続けている日本にあっては、そうした政治姿勢には反感を持たれています。
安部首相には核兵器への反対運動をしている人々に対する理解などはありません。
逆に自分の安全保障政策を進める上で障害だと考えています。
現時点で日本は、世界最大規模のプルトニウム保有国のひとつであり、その気になれば数千基の核弾頭を製造する能力を有しています。
▽ 世界をもっと安全な場所にすることができるのか?
1970年に発効した拡散防止条約にはほぼ全世界の191カ国が署名しています。
この条約に署名した国のひとつとして、米国は軍備縮小を続行すると誓いました。
同じく署名国として、日本は核兵器の開発あるいは購入に及ぶことは無いことを表明しています。
条約調印により、地球上の大部分の国が核兵器の無い世界の実現を目指しているという意思表示をしたことになります。
オバマ大統領と安倍首相が広島で会談すれば世界的な話題となり、改めて核兵器使用がどれ程の惨禍をもたらすものであるかを世界に再認識させることになるでしょう。
しかし上辺だけを見て、日米両国が自国が核兵器を開発保有することについて、決して後ろ向きではないという事実を見逃してはならないと考えるべきです。
※トム・リーはポモナ・カレッジの政治学部准教授であり、専攻は日本の安全保障政策、軍国主義路線と東アジア地区における第二次世界大戦(太平洋戦争)の戦時記録と和解のためのプロセスの研究です。
https://www.washingtonpost.com/news/monkey-cage/wp/2016/05/27/heres-the-real-benchmark-of-obamas-visit-to-hiroshima-nuclear-nonproliferation/
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【6月18日までの報道写真から】
アメリカNBCニュース 6月18日
6月18日イギリス、ブリストルで銃撃の上刺殺された労働党のジョー・コックス議員の死を悼んで捧げられた花束。
殺されたのはコックス議員が図書館前で毎週行っていた、市民との対話面談を行なおうとしていた時でした。(写真上)
6月18日トルコの首都イスタンブールで、イスラム教徒のテロに対する抗議集会のため集まったデモ隊に向け、機動隊が催涙ガスを発射しました。(写真下・以下同じ)
カリフォルニア州サンタバーバラ近くの山林火災で発生した炎の竜巻。
6月18日フィンランドのラッペーンランナンで開催されたオリエンテーリング・リレー競技会の参加者のヘッドライト。
6月18日モルドヴァ共和国のキシナウで開催されている「ラベンダー祭」で、ラベンダー畑を歩く母親と娘。
http://www.nbcnews.com/slideshow/today-pictures-june-18-n594996
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