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【 放射線が子どもたちを攻撃するメカニズム・第2部 】《4》

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所要時間 約 9分

ヒロシマを訪問したオバマ大統領には、その目で見、感じたことをそのまま語ってほしかった…
放射性廃棄物の規準をはるかに超える土砂が、公共工事を通して日本全国にばらまかれる
核廃棄物貯蔵施設から漏出する放射性物質は、近隣の河川に留まらず地下水層までも汚染している

フェアウィンズ 7月7日



金子チホ :
ええ、私は昨年、国連で開催された核兵器不拡散条約(NPT)2015年再検討会議を訪れた被団協、すなわち日本原水爆被害者団体協議会のみなさんの通訳ボランティアを勤めさせていただきました。
その経験を踏まえ、私は日本人として少し異なる見解を持っています。
オバマ大統領の広島訪問について、彼が実際にヒロシマまで行った点は評価しています。
アメリカ大統領の広島訪問は歴史的出来事でした。
日本の人びとも、現職の大統領の訪問という点に心を動かされたと思います。

しかしそれはやっと事態が動き始めたという事だと思います。
日本の人々はこう考えたはずです。
広島訪問は通常のアメリカ人とは微妙な異なる見解を持ち、繊細な神経の持ち主であるオバマ氏が個人として成し遂げたものだと。
アメリカ大統領としてのオバマ氏には、制約と限界が大きくのしかかっていることを感じ取っています。
であればこそなおさら日本の人々は、オバマ大統領の人間的側面を見たいと考えていたはずでした。
広島にやってきてそこで起きたことがどれ程恐ろしいものであったかを、ひとりの人間として感じ取ってほしかったのです。

広島29
放射線と核爆弾が人間にどれ程ひどい災禍をもたらすものなのか、しかもそれは人間が同じ人間に対して行った事でした。
ヒロシマの事実をその目で確かめた後、人間の本能が命じるままに核兵器を使用した事への後悔を正直に語ってほしいと思ったはずです。
しかし今回の訪問で、それは実現しませんでした。

そのため、オバマ大統領に将来もう一度訪問して欲しいと願っている人々もいます。
そしてオバマ大統領がなぜフクシマについて語らなかったのかを理解することもできます。
広島において福島の事故に言及すれば、アメリカの産業界が抱える厄介な問題の存在を明らかにする可能性がありました。
原子力に関するアメリカの商業的利益を損なう事は、米国政府にとっても大きな痛手となる以上、それは出来ない相談でした。

マギー・ガンダーセン :
おっしゃる通りです。しかもその傾向は強まっています。
ウエスティングハウスが建設中の新しい原子力工場はすべて中国国内にあり、彼らは世界中で宣伝を行い、売り込み攻勢をかけています。
日本も同様です。

4号機建屋
福島第一原子力発電所で3基の原子炉が一度にメルトダウンし、それが日本の人々をどれだけ悲劇的状況に追い込んだかを私たちは目撃している訳ですが、日本もまた米国同様、世界中で原子力発電所建設の売り込みを行っています。

さらに言えば、原発建設はアメリカ合衆国の最大の輸出産業の1つです。
それは巨額の利益を生み出します。
私は女性として、母として、そして孫を持つ祖母として、そうしたことが明らかに道徳的に誤りであると強く感じています。
かつては私も原子力産業界に身を置いていましたが、原子力発電所の設置を推進する事業に携わる中で、それが道徳的に誤っていると思うようになったのです。
原子力がそのまま核兵器開発につながっているという事実、原子力産業のやり方は、我々人類があるべき姿とはかけ離れたものであるという事を私たちは学ぶ必要があると思います。

金子チホ :
すみません、議論を当初の問題に戻してもいいでしょうか?
先ほど(《2》に掲載)8,000ベクレルに汚染された土壌の問題について詳しくご説明するとお約束しました。

汚染01
つい最近、日本の環境省は1キログラムにつき最高8,000ベクレルまでなら、放射性物質に汚染された土砂を、公共事業の建設工事で使用しても構わないというガイドラインを提示しました。
実際にはこの汚染された土砂は日本各地で行われる道路建設の際、舗装路面の下土として利用されることになります。
福島第一原発の事故で出た大量の放射性廃棄物をどう処理していいか解決策が見つからない状況の下で、こうした『解決方法』が考え出されたものと考えられます。

マギー・ガンダーセン :
とんでもない『解決策』です。
前回の議論であなたは被災地の各所に放射性廃棄物を詰め込んだ黒いビニールバッグが、処理方法が満つからないまま山積みになっていると話してくれました。
これが見つかった『処理方法』なのですか…

金子チホ :
日本の当局者は徹底的に選別を行い、道路工事などに使われたこうした土砂の類から検出される放射線量が「ちゃんと、8,000ベクレル以下に留まっており、公共工事に使用することに問題は無いというつもりなのでしょう。なぜならコンクリートやアスファルトで覆ってしまうからです。
これが今日の現実なのです。
これが放射性物質に汚染された大量の廃棄物に対する、世界の原子力産業界の答えです。
これは日本だけに留まる問題なのでしょうか?

DW01
キャロライン・フィリップス :
日本だけではありません。実は昨年4月、ケベックで開催されたウラン・シンポジウムに出向いたとき、私たちは様々な現実について認識する機会がありましたが、ウランを採掘する際に出た各種の選鉱くずを処理するのに似た方法がありました。
それは建設用のコンクリート製の基礎を打つ際の土砂の一部としてこのウラン採鉱の残土を使い、床下に埋め込んでしまうというものでした。
その上に建設されたのは一般住宅でした。
この驚くべき一連の作業については記録が残されており、この記録の中身を確認した住民たちは自分たちが原因不明の各種疾患に悩まされているという事実に思い当たりました。
住民たちはなす術を知りません。
カナダ政府はこれら一連の作業は安全上問題が無いという判断の下に行ったという態度であり、今のところ住民側にはなす術がありません。

金子チホ :
ガンダーセン氏はアメリカにおいても、1キログラムにつき100ベクレルの本来なら密閉容器に入れて廃棄物処分場送りにすべき汚染土がばらまかれている場所があると指摘しています。
ええと、テキサス…

マギー・ガンダーセン :
テキサス州からヴァーモント州にかけて。
アメリカでは州ごとにそれぞれ異なった核廃棄物貯蔵施設を有しており、特に高レベル放射性廃棄物貯蔵施設の周囲では放射性物質の漏出が起き、汚染が起きています。
ヴァーモント州もヴァーモント・ヤンキー原発に関連して汚染が起きています。

Marco Kaltofen
マサチューセッツ州のウースター工科大学で研究を行っているマルコ・カルトーフェン博士は、核廃棄物貯蔵施設とそこで働く労働者の放射線被ばくの状況に加え、近隣の河川への放射性物質の漏出、さらには貴重な地下水層を汚染している恐ろしい現実について研究をしています。

キャロライン・フィリップス :
特にニューメキシコで悲惨な事態が起きています。放射性物質による汚染が進んでいる問題についての米国環境保護庁による報告は、特に核関連施設の数が多いニューメキシコ州などの地域についてはきわめて雑なものです。
ニューメキシコの核関連施設がある場所と地下水層の近さは衝撃的です。
もちろんニューメキシコのような(砂漠が多い)州では、地下水層は貴重な、貴重な資源なのです。

《5に続く》
http://www.nbcnews.com/slideshow/today-pictures-august-2-n621911
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【 アイウィットネス 】

ガーディアン 8月3日
Eyewitness04
民族舞踊を披露する順番を待つイ族の少女。中国四川省。(写真上)

中国湖南省張家界市永定区の天門山の長さ100メートル、幅1.6メートルのガラス製の桟道を歩く人々。(写真下)
Eyewitness05
英国カンブリア州ケンダル郊外のキンリントン湖でカヌーをこぐ人々。
Eyewitness06
https://www.theguardian.com/world/series/eyewitness







 

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