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世界で拡大する、大飯原発再稼働への懸念と批判

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【 高まる大飯原発再稼働への反発 】

エレノア・ワーノック / ウォール・ストリート・ジャーナル 6月7日



日本政府は2基の原子炉を再稼働するべく強力な後押しを行っていますが、評論家や一部の専門家は、夏の需要期の電力不足が脆弱な日本経済の足を引っ張らないよう、安全対策が二の次にされている、と警告しています。

このような懸念から6月の初めには117名の与党国会議員が野田佳彦首相に対し、これらの原子炉の再稼働には重要な懸念がある、との要請書を提出しました。

問題となっているのは西日本にある福井県大飯原子力発電所の3号機、4号機の2基の原子炉です。
廃炉が決まった福島第一原発の4基の原子炉を除く日本国内の50基の原子炉は、安全性に対する懸念から現在すべて稼働を停止しています。この中、大飯原発3号機、4号機が、初めてとなる再稼働が行われる可能性があり、6月第二週に日本政府はその手続きを開始しました。

昨年発生した福島第一原発の事故後、日本政府は各電力会社に対し原子力発電所の安全性強化を依頼しました。
7日月曜日に開かれた記者会見で野田首相は、福島第一原発と同規模の地震と津波が大飯原発を襲っても、事故にはならないようにするための対策を取ることが出来た、と明言しました。

しかし専門家は新たな基準に基づく安全対策を完成させるには、数年はかかる、と指摘しています。
すべての段階において適切な対策が施されたのかどうか、電力会社が起こりうるすべての可能性について検証を行い、そのための安全対策を取ったのかどうか、疑問は解消されていません。

また原発の再稼働の条件として、2012年4月1日までに現在の原子力安全・保安院に代わる新しい原子力監視機関を設置する、という約束が果たされないままである点についても、大阪市の橋下市長をはじめ、多くの批判が集中しています。
今回の再稼働については、専門家の間でも、国会議員の中でも、コンセンサスは得られていません。
原子炉を再稼働する前に、完全に近い安全対策がとられなければならない、と反対の立場の人々は強く警告しています。

再稼働に対する懸念は、他の分野においても野田首相のリーダーシップに対する信頼を、一層損ねる結果につながりました。
再稼働反対の要請書に署名した国会議員のグループの中には、野田首相が進める消費税増税に反対する議員が数多くいます。
『今年の夏は、節電と融通で乗り切るということが、国民の大部分の考え方であるということは、さまざまな調査などで明らかです』
要請書の中にはこうあります。

大飯原発の2基の原子炉は日本で3番目の規模を持つ大阪市を中心とする関西地区で電力を供給する関西電力が運営しています。
関西電力は、もし原子炉の再稼働が行われない場合は、2012年8月に最大で14.9%の電力が不足すると見積もっています。

関西電力は新たに定められた安全基準の一部については実施しましたが、他の安全対策については未着手のままです。
外部電源の多重化、「フィルター付きベント装置」の設置工事、防潮堤のかさ上げ、緊急時危機管理センター(免震重要棟)の建設などは、今後さらに4年以上の月日を要します。
これに対し現在の日本の原子力監視機関は、関西電力の大飯原発再稼働のための対策は、すでに十分である、と判断しました。



必要とされる安全基準をすべて満たして、初めて原子炉の稼働が認められる、それが世界標準の手順である、と複数の専門家が指摘しています。
そして、フィルター付きベント装置の設置のようないくつかの手順については、時間がかかって当たり前の重要な事案である、としています。
「これらの改善措置は何を優先すべきか、緊急性があるのか、資源の有用性はあるのか、これらを判断した上で行われます。今回の再稼働の判断が良いことだとは、とても思えません。しかしこれが日本の現実なのです。」
カリフォルニア大学バークレー校の原子力工学が専門の、ジョーンホン・アーン教授がこう語りました。
「アメリカ国内のいくつかの商業用の原子炉は、建設からすでに30年が経過しており、防火性をどう強化するかという課題を持っています。」

環境中に放射性物質を放出しないようにするためのフィルター付きベント装置の設置こそが、優先されるべきであるという批判があります。
福島第一原発の国会事故検証委員会の黒川委員長は、4月に行われた心理の席上、再稼働に当たりこのベント装置の設置が、なぜ未だに済んでいないのか、と疑問を呈しました。
関西電力は2016年まで、大飯原子力発電所におけるフィルター付きベント装置の設置を行いません。

アメリカ原子力協会のマイケル・コーラディーニは、大飯原子力発電所でフィルター付きベント装置の有用性を証拠立てるものは無い、と語りました。彼は大飯原発とメルトダウンを起こした福島第一原発とでは、原子炉のタイプが違うと指摘し、大飯原発の場合はまず何よりも、津波対策と緊急時の電源確保を最優先事項とすべきだ、と語りました。

福島第一原発の事故では津波が発電所を襲い、予備の電源がすべて失われ、原子炉を冷却することが出来なくなりました。
こうした事態を避けるためのひとつの手段として、防潮堤のかさ上げを検討すべきだ、と専門家が指摘しました。
関西電力は大飯原発は高さ5メートルの防波堤を備えており、高さが11.4メートルの高さまでの津波に耐えることが出来る、としていますが、2014年までに防波堤の高さを8メートルにまでかさ上げする予定です。

バークレー校のアーン教授は福島第一原発を襲った津波は15メートルの高さを持っており、したがって防波堤のかさ上げ工事が終了するまで、大飯原発は津波に対する防御性に問題がある、と語りました。
これに対し関西電力は、大飯原発の他にも11基の原子炉がある福井県周辺を、津波が襲ったという明白な記録は無い、としています。

イタリアのミラノ工科大学の二之方ひさし教授は重要な建物の防水性を高めること、そして事故発生時の職員の訓練を行うことをまず優先させるべきだ、と語りました。堤防をいくらかさ上げしても、あらゆる津波を防ぎきることは不可能だ、と指摘しました。
この点に関し、関西電力は2012年9月から2014年の間に、様々な防水対策を施す予定です。

大飯原発を再稼働させる前に、台風による高潮、ダムの決壊による洪水、そしてテロリストによる破壊行為など対策を検討しなければならない、こう指摘するのはアメリカの『憂慮する科学者連盟』の上級研究員であるエド・ライマン博士です。
「現時点における大飯原発の安全対策が適切なものだとは、とても思えません。」

http://online.wsj.com/article/SB10001424052702303506404577445954089403984.html?KEYWORDS=Japan+faces+opposition

▼ 資料 :
野田佳彦総理大臣 殿

大飯原発3、4号機の再稼動に関し、なお一層慎重に判断することの要請

大飯原発の再稼働問題は、現在国民の最大関心事となっています。
しかし私たち民主党の出会議員は、この間メディアを通じて間接的にその推移を知るだけで、総理をはじめとする関係4閣僚から直接の説明を受けておりません。枝野経済度業大臣が「国民全体が利害関係者であるとした国会答弁を再々強調されたことから、国民への共同の説明責任を負う与党としての合意形成をしっかり行うことが不可欠です。
今年の夏は、節電と融通で乗り切るということが、国民の大部分の考え方であるということは、さまざまな調査などで明らかです。この夏を再稼働なしに節電と各電力会社間の融通等によって乗り切るための国民の一致した理解が必要であり、党に節電対策本部を設置したところです。
私たちは、原発事故収束対策PTとして、4月10日付けで再稼働の最低条件を提示しましたが、これらの5条件(別紙)は、いまだ一つも実現されておりません。党内の合意と国民全体の理解が不十分な現状および約16万人の被災者の心情を察し、再稼働決定にはなお一層慎重であることをお願い申し上げます。

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お詫び : この原稿は6月17日・日曜日公開予定で設定したつもりが、操作を誤り公開が一日遅れてしまいました。
ツイッターなどでご紹介しておきながら、肝心の記事が見当たらないという状況に、困惑された方もいらっしゃるかと思います。
不手際について、心よりお詫び申し上げます。

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【 建設中の新世界貿易センタービル(1棟)を訪れたオバマ大統領夫妻 】
アメリカNBCニュース 6月14日


9.11メモリアルを建設中の新貿易センタービルから見下ろすオバマ大統領夫妻


建設資材の鉄骨にサインするオバマ大統領夫妻、アンドリュー・クオモ・ニューヨーク州知事、クリス・クリスティ・ニュージャージー州知事、マイケル・ブルーバーグ
ニューヨーク市長


オバマ大統領夫妻のサインを撮影する建設労働者


オバマ大統領夫妻の到着を待つ人々

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【全米オープン2012・3日目】
首位はジム・フューリックとグレアム・マクドウェル、タイガー・ウッズは14位タイに後退
世界ランキング1位L.ドナルド、2位R.マキロイと石川遼くんは姿を消す

アメリカPGAツアー・オフィシャル 6月17日







 

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