ホーム » エッセイ » 武漢市の病院で戦いの最前線にいる医師が99人の患者データをもとに公表 – 新型コロナウイルス:その症状と「感染・発症しやすい人」
どのような人が重症に陥る確率が高く、どうなると死亡する可能性が高くなりるか?
年代別・性別で発症する確率に違いはあるのか?
ジェームズ・ギャラガー(英国BBCヘルス&サイエンス特派員)/ BBC 2020年1月30日
新型コロナウイルスとの戦いは、医師にとっては未知のものとの戦いになっています。
新型コロナウイルスはどのように体を攻撃しますか?
現れる症状をすべてリストアップするとどうなりますか?
どのような人が重症に陥り、どうなると死亡する可能性が高くなりますか?
どのように治療すれば良いのですか?
現在、中国湖北省武漢市金銀潭医院で、新型コロナウイルス大流行との戦いの最前線にいる医師による詳細な報告により、少しずつ答えが見え始めています。
金銀潭医院で最初に治療された99人の患者の、詳細な分析が医学雑誌のランチェット誌(Lancet)に発表されました。
▽ 肺に重篤な症状
病院に運ばれた99人の患者全員に肺炎があり、肺が炎症を起こし、空気から血液に酸素が移動する小さな肺胞が水で満たされていました。
その他の症状は次のとおりです。
82人に発熱の症状がありました
81人が咳の症状がありました
31人に息切れの症状がありました
11人に筋肉痛の症状があった
9人は意識が混濁していました
8人が頭痛を訴えていました
5人がのどの痛みを訴えていました
▽ 最初の死亡患者
死亡した最初の2人の患者は見た目は健康でしたが、2人とも長期にわたる喫煙習慣があり、それにより肺の健康が損なわれていたと考えられます。
最初に死亡した61歳の男性は、病院に到着したときに重度の肺炎にかかっていました。
彼は急性呼吸困難に陥っていました - つまり、彼の肺は体に生命を維持するのに必要な酸素を臓器に供給できなくなっていました。
人工呼吸器を装着しているにもかかわらず、彼の肺は機能しなくなり、次に心臓が停止しました。
この患者は入院してから11日後に死亡しました。
2番目の患者である69歳の男性も、急性呼吸促迫[窮迫]症候群(ARDS)に罹患していました。
この男性は体外式膜型人工肺(ECMO)と呼ばれる生命維持装置につながれましたが、十分な効果を発揮できませんでした。
彼は血圧が急激に低下したこと段階で、重度の肺炎と敗血症性ショックで死亡しました。
▽ 少なくとも10%程度の患者は死に至る
1月25日現在、99人の患者のうち
57人はまだ入院中です
31人は退院を認められました
11人は死亡しました
このことは新型コロナウイルスによる症状を発症した際の死亡率が11%であることを意味するものではありません。
しかしまだ入院中の患者の一部はすでに死亡している可能性があり、他に多くの人が病院での診療を必要としない程度の軽い症状を発症している可能性があります。
▽ 水産市場関係者
武漢の水産市場で売られていた生きたままの動物に、2019-nCoVと名づけられた感染源が存在していたと考えられています。
そして99人の患者のうち、49人がこの水産市場と直接関係がありました。
47人が市場内の店舗の経営に携わり、または市場内の屋台で働いていました。
2人は買い物客でした。
▽ 最も感染・発症しやすいのは中年男性
99人の患者の年齢構成を見るとほとんどは中年で、平均年齢は56歳、このうち67人は男性でした。
ただし患者の数の増加に伴い、性別による格差はなくなりつつあることが示唆されています。
中国疾病管理予防センターは、女性1.0人に対し男性1.2人の割合で感染が確認されていると述べました。
この違いには理論的に2つの可能性があります。
男性は重症になりやすく、病院での治療が必要になる可能性が高い
男性は社会的または文化的な背景から、アウトブレイクの開始時にウイルスに接触・感染する可能性が高くなっていた
金銀潭医院の李張博士は次のように述べています。
「新型コロナウイルスに対し女性の感染確率が低いのは、免疫において重要な役割を果たすX染色体および性ホルモンによって女性の体が保護されていることに起因する可能性があります。」と
▽ すでに他の持病を抱えたいた人の脆弱性について
99人のほとんどは「免疫機能が弱くなったために罹患した」疾病を抱えており、その結果、新型コロナウイルスに感染・発症した可能性がありました。
40人は心臓病、心不全、脳卒中などの既往症があり、心臓が弱いかあるいは血管が損傷していました
さらに12人の患者が糖尿病に罹患していました
https://www.bbc.com/news/health-51214864
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