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シリア内戦で、地盤を築き始めたアルカイダ[米国NBC]

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所要時間 約 8分

アメリカNBCニュース 8月14日

シリア北部の都市、アレッポの郊外で政府軍と交戦する自由シリア軍の兵士たち


NBCニュースの海外特派員、リチャード・エンゲルは戦闘が激化しているシリア北部での3週間にわたる取材を終え、今日出国しました。
3週間の取材の結果、彼はこのまま国際社会がシリアの紛争を放置すれば、結果的にどうなるのか、一つの結論を得たようです。

アルカイダの武装兵たちはすでにシリア国内に入っています。
ピックアップトラックに乗って黒い旗を打ち振り、厳しい顔つきをしたアルカイダの兵士たちの姿を、シリア国内の路上のあちこちで見かけるようになりました。

たった一週間前には見られなかった光景です。
約1年半前、シリア国民は40年続く、アサド政権による不正が蔓延する、無法な秘密警察国家を終わらせるための戦いに立ち上がりました。
シリア国民の大多数はイスラム教スンニ派ですが、国家はシーア派の分派の一つであるアラウィ派のアサド政権の支配が続いてきました。

市民たちはこれまで、ロシアがシリア政府軍の装備を強化してくるのを見てきました。さらにはシーア派が実権を握るイランと、レバノンの軍事集団ヒズボラも、アサド政権の武力強化に協力するのを見て来ました。

さらには政府側の暴力に対し無力な国連監視団や、非難は繰り返しても現実を帰る事が出来ない米国の姿も見てきました。

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[シリア国内では少数派のシーア派とアラウィ派が、多数派のスンニ派住民に対する虐殺を行っている、と主張する市民たち]

そして世界のスンニ派の中で最も過激な集団、アルカイダの登場は戦いを続ける反政府勢力にとっては、救世主が現れたのと同じ事になりました。
先週もお伝えしましたが、武器と資金を携えてやってたアルカイダの登場は、差し込む一筋の光明となりました。
反政府勢力の兵士たちから直接話を聞く事が出来ましたが、アルカイダへの忠誠と引き換えに、莫大な資金の提供を受けた、と彼は語っています。

しかしその登場は警戒すべきものです。
反政府勢力の指揮官の一人の話では、彼の親戚の一人がアルカイダに加わった後、間もなく脱退を申し出ました。
許される代わり、彼は反逆罪で直ちに処刑されてしまったのです。

しかしそれでも他の反政府勢力の兵士たちは、アルカイダの支援を求めています。
「もし助けてくれるなら、私はアルカイダに参加し、喜んで彼らの旗を掲げるよ。」
兵士の一人がこう語りました。
「資金援助も受けるつもりだ。他にどんな選択があるというのだ?このままでは自分の家族も、自分自身も、守る事もできない。」

別の反政府勢力の指揮官の一人がこう語りました。
「こうなったらアルカイダの支援を受け、その後で彼らと取引をするつもりです。」
そうしければ、家族も自分の命も無くしてしまうからです。
彼は私が知っている中で、最も非宗教的なシリア人であり、アルカイダを嫌悪していますが、今はとりあえず悪魔と取引する必要があるかもしれない、と考えています。

反政府勢力の中で最も宗教色の薄いグループもアルカイダの勧誘を受けていますが、今更驚く事ではない、と語ります。
私は検問所で、込める弾が無くなってしまったライフルを抱えた反政府勢力兵士に出会いました。
彼らはシェービングフォームの空き缶を使って作られた、手製の手榴弾しか持っていませんでした。

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[反政府勢力側の弾薬不足は危機的状況にあり、初めて政権側を離脱した閣僚、リアド・ヒジャブはすでに国外に脱出しました]

国際社会の支持なしには、シリアの反政府勢力がやがて戦いに敗れ、皆殺しにされてしまう、そんな事を頭の中から追い出す事は、「関係のない」我々にとってはたやすい事です。
しかしシリアの人々が求めているのは、国際社会がリビアに対して与えた支援に比べれば、決して大きな物ではありません。
地上部隊の提供より、まずは飛行禁止区域の設定を望んでいます。
そして銃弾、対空ロケット弾、対戦車砲の砲弾を求めています。

アレッポでの戦闘は続いています。
しかしアメリカ政府は反政府勢力の正体が把握できておらず、誤った相手に武器供与してしまう事を恐れています。

現在、サウジアラビアとカタールが反政府勢力に武器供与を行っていると見られていますが、アメリカ、英国両政府は援助は非軍事分野に限る、としています。
しかしシリアの反政府勢力の多くがそれでは意味が無い、と話しています。

アメリカは大統領選挙を控え、シリア問題に関わる余裕は無いだろう、と反政府勢力の兵士たちが語ります。
11月の大統領選挙が終わるまでは、手を出せずじまいだろうと。

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[少なくとも262名のアルカイダの兵士たちが、シリア・トルコ国境付近に展開しています。近くにはアルカイダのベースキャンプがあると、住民たちが証言しています。]

一方、アメリカ政府とトルコ政府は、シリア上空に飛行禁止区域の設定を模索しています。
シリア国民はアルカイダがシリアの実験を握る事など望んでいませんが、さりとてアサド政権がこのまま国内での大量殺人を続ける事はもっと望んでいません。

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[シリア反政府勢力の中で、存在感を増し始めたアルカイダ]

国際社会がこのままの態度を続ければ、アメリカにとって最悪の敵に、彼らが一番望んでいる贈り物、中東の中心部の拠点をおく事を許す事になるかもしれません。

弾薬が欠乏する中、アサド政府軍との戦いに備える反政府勢力の兵士


その結果待っているのは、シリアはもちろん、近隣諸国にとって、そしてアメリカにとって危険きわまりない国家の誕生です。

http://worldnews.nbcnews.com/_news/2012/08/13/13256145-will-world-inaction-help-al-qaida-gain-foothold-in-syria?lite









 

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