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総選挙を前に、人々をこれ以上刺激しないように、それだけだった野田首相[ニューヨーク・タイムズ]

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所要時間 約 9分

【 脱原発抗議の人々、野田首相と会談 】

ヒロコ・タブチ / ニューヨークタイムズ 8月22日


首相官邸前における反原発抗議行動が数か月前に開始して以来初めて、12名の抗議を行っている人々が官邸内での野田首相との30分間の会見にこぎつけ、少人数から始まった活動がひとつの実を結びました。

この会談は日本国民の反原発感情が膨れ上がり、どうやら年内に総選挙がありそうだ、という観測が出てきたタイミングで行われました。

野田首相は毎週開催される首相官邸前の反原発抗議行動について、「大きな雑音」の一言で片づけて国民を怒らせましたが、世論は首相に対し、これら抗議を行う人々と誠実に向き合うことを求めてきました。

抗議活動を行っている人々は、2011年に発生した福島第一原発の事故以降、初めて再稼働された大飯原発の2基の原子炉を直ちに停止させること、そして国内にある54基の原子炉をすべて廃炉にすることを求めています。
人々は地震が多発する国土において、そして国が福島第一原発の事故を防ぎ得なかった状況下、これらの原子炉を再稼働することは危険である、と主張しています。


7月に野田首相が大飯原発の原子炉の再稼働を命じて以来、首相官邸前の抗議行動に参加する人々の数は数百人から数万人規模に、目に見えて増え続けました。
「再稼働反対!」口々にそう叫びながら、人々は行進しています。警察側は参加者数が100,000人にまで拡大している、と語っていますが、主宰者側は少なくともその倍の人々がこの場にいる、と語っています。

今回の会談の様子は、22日水曜日、首相官邸ホームページで実況中継が行われました。
抗議を行っている人々の代表でイラストレーターのみさおレッドウルフさんは、顔をこわばらせて向かい側に座っている野田首相に対し、こう語りました。
「もっとたくさんの人々が、首相官邸前のこの抗議行動に参加してくれるよう願っています。」
「福島第一原発事故の収束もままならない中、何の教訓も得ず、運転再開ありきで再稼働を強行した野田政権に対する怒りが噴出し、抗議行動の規模は拡大を続けています。」と、彼女が語りました。
「これは大きな雑音などではありません。これはひとり一人があげている、人間の声なのです。」


これに対し野田首相は、将来のこの国のエネルギー政策に道筋をつけるため、様々な意見を取り入れていくつもりである、と語りました。
専門家による委員会は、原発による発電割合をゼロにすることから20~25%の割合で維持することまで、2030年までにこの国のエネルギー政策をどうするかについて、討議しています。
福島第一原発の事故以前、この国は必要とする電力の30%を原子力発電によって得ていました。

21日火曜日には古川元久国家戦略担当大臣が、記者団に対し、彼自身としては原発を段階的に順次廃止していく選択を望んでいる、と語りました。
これに対し細野豪志原発事故担当大臣は、原発の廃止については軽々に論ずべきでないと、直ちに反論しました。

野田首相は大飯原発の再稼働と言う選択について自ら弁護する一方、日本は国内の原子力発電については縮小していく方針である、と述べました。
会談の後、参加した人々は、経済界の代表と会う時のような挨拶も笑顔も無かった、と語りました。


「我々は安全を確保するために、最大限の努力を行います。」
と野田首相が語りました。

先月、保守王国と思われていた山口県で、脱原発を掲げる新人候補者が予想を超える支持を集め、長く政界で生きてきた人々を驚かせました。
日本では年内に総選挙が行われることが予測されていますが、日和見的態度を非難されながらも、鳩山由紀夫元総理大臣のような大物政治家も、首相官邸前の抗議行動に姿を見せるようになりました。
さらには、政権からの脱落が必至と見られている以上、野田政権が選挙前に掲げる政策は、長期的な国家戦略ではありえず、目先の選挙が焦点とならざるを得ません。

一方、抗議活動を続ける人々は、日本の様々な立場のグループの参加が続く中、従来通りの整然とした、平和な抗議行動を継続するために骨を折っています。
今回抗議を行っている人々は、1960年代、1970年代に日米安保条約に反対するため行われた、人々の記憶に鮮明に焼き付けられた過激な暴力的な抗議行動との間に、明らかな一線を画したいと願っているのです。

http://www.nytimes.com/2012/08/23/world/asia/japanese-leader-meets-with-anti-nuclear-protesters.html?_r=1
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英国の有名な経済学者は3.11の直後、「日本の政治家の近視眼ぶりには、言葉も無い。まともな議員たちが国会に居並ぶまでに、日本はこれから2世代かかるだろう。」と語りました。
しかしこの記事を読んでおわかりいただけるかもしれませんが、2世代入れ替わるのを待っていたら、日本で再び多数の原発が再稼働してしまう懸念があります。
何度か書きましたが、民主、自民、公明は原発ルネッサンスの『担い手』だったのであり、河野 太郎議員や平 智之議員(離党しましたが)ら良識ある議員は少数に過ぎません。
私は忘れる事が出来ないのですが、3.11の後、隣県の福島で第一原発の事故が続き、ここ仙台ではほとんどの家庭で水道が止まっている状況下、自民党の女性議員が国会で当時の菅前首相に対し
「原発を止めてしまって、電気が不足したらどうするつもりなんだ?!」
と詰め寄ったシーンが忘れられません。

自民・公明がだめだから民主、その民主もだめだったからまたぞろ自民・公明。
それを私たち国民が繰り返している間は、原発が止まるはずが無いのです。
責任を持って原発を止め、これ以上もう放射性廃棄物を増やさない。
そう明言できる議員が多数を占めないうちは、原発は止まりません。
レッドウルフさんを見習い、わたしたちも「不退転の決意」を行動に結びつけなければなりません。

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【この夏、人々の集まったところ】
アメリカNBCニュース 8月20日

スペイン、エル・ロシオからアルモンテに行幸するロシオの聖母と巡礼者たち。8月19日


20日、ラマダンが明けたことを祝うインドのイスラム教徒



インド・ニューデリー市内の正装したイスラム教徒のこどもたち


中国、シーチョワン自治区のプール


8月20日、帰国したオリンピック選手を迎える銀座4丁目の人の波


出迎えられたロンドンオリンピック・女子バドミントンのコンビ







 

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