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原子力発電はこれ程に危険であり、原子力行政と業界はこれ程に腐敗している〈第3回〉[フェアウィンズ]

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所要時間 約 11分

『メイド・イン・ジャパン?!』
原子力発電につきまとう危険、それは日本固有の問題ではありません

▼ 日本の首相は、原発が本質的には不要であることに国民が気づかないよう、大飯原発の再稼働を強行
▼ 監視体制が問題というより、原子力発電そのものの方が問題


▽ 劣化の連鎖が止まらない原子力発電所

ではもう一度サンオノフル原子力発電所に話題を戻しましょう。
アメリカの原子力規制委員会は、原子炉と蒸気タービンの間で炉心の熱を取り去るために、放射能を帯びた冷却水を循環させている金属製のパイプが、以前に原子力発電所の運営者側が発表した以上に、ひどく損傷していたことを、木曜日、明らかにしました。
サンオノフル原子力発電所の蒸気発電装置は1基について、内部にそれぞれ直径2センチほどのU字型のパイプを内蔵しています。
この合金製のパイプは、原子炉の安全確保の要となるものです。
たった一本破損したとしても、大気中に放射性物質が放出される危険性があります。
もし深刻な断裂などが起きれば、原子炉そのものから冷却水が漏れだす危険性があるのです。

こうした配管において、金属疲労による劣化は避けられません。
しかしサンオノフル原子力発電所では、設置当初器材が比較的新しいにもかかわらず、配管の摩耗(浸食)が見つかり、職員をあわてさせました。
結局発電機は6億7000万ドル(約536億円)の費用をかけて全機交換の措置が取られ、2010年4月に2号機が、2011年2月に3号機が発電を開始しました。

配管に35パーセント、つまり3分の1の摩耗(浸食)が見つかれば、配管はすべて交換しなければならないことになっています。
この発電所の4基の発電機は、それぞれ最高で778本の交換可能な配管を設備することにより、動くよう設計されています。
問題を起こした3号機では、420本のパイプを交換する必要がありました。

さらに記録を調べてみると、残る配管のうち、197本のパイプがすでに20%から34%の間で摩耗(浸食)していることが解ります。
言い換えれば、これだけの配管が断裂寸前の危険な状態にある、そういうことになります。
この発電機では、500本以上のパイプがすでに10%から19%の間で摩耗(浸食)が起きています。


「新しい資料は、2号機と3号機の両方で数千本のパイプが損傷していることを表しており、いったい本当に2基の原子炉の再稼働は妥当だったのか、と言う深刻な疑問がわき上がってきます。」
カリフォルニア大学サンタクルーズ校で原子力政策の講義を行い、原子力業界に批判的な立場に立つダニエル・ハーシュ氏がこのように指摘しました。
「これまで明らかにされた以上に、この問題は深刻です。」

もしこれ以上の問題が明らかになれば、アメリカ原子力規制員会は問題の過少評価を行っていることになります。
今週発表されたフェアウィンズのレポートは、他の施設でもサンオノフル原子力発電所同様の問題を抱えていることを明らかにしました。

サンオノフル原子力発電所の水蒸気発電用のパイプには、他の原子力発電所と比較して、3.7倍もの接合箇所があります。
今回の報告書では、水蒸気発電機用のパイプに対する『圧力試験』で、他の米国内の原子力発電所では多くても1回しか発生しなかった漏出が、サンオノフル原子力発電所では8回も発生したことが報告されています。
フェアウィンズはこの点に留意した上で、サンオノフル原子力発電所の2基の原子炉が不安定な状態にあると判断せざるを得ず、2基の原子炉がいかなる現実的な安全確保の約束も無く再稼働された、としています。


この水蒸気発電機の配管の急速な劣化という問題が、仮にサンオノフル原子力発電所特有の問題であったとしても、常時安定した冷却を行うため安定した電力の供給を必要とするという、このシステムの中に存在する固有の危険性が、環境の汚染を引き起こす危険のある数々の問題につながることは、全米の原子力発電所に共通の問題なのです。
原子炉建屋に亀裂が入った、冷却水が漏れだした、変電設備が火災を起こした、電力の供給が停止した。そしてそれに加え膨大な数のヒューマンエラーの数々が、アメリカ原子力規制員会の事故報告書には、この40年間、毎月のように書き加えられてきたのです。
簡単に言えば、すべてが問題なく進行しなければならないはずの原子力発電所で、信じられない程多くのトラブルが発生しているのです。

そして、核廃棄物についてまわる危険についても、ここで触れる必要があるでしょう。
原子炉には必ず付きものの、使用済み核燃料プールはアメリカ中の、そして日本中の原子力発電所の敷地内に点々と存在していますが、使用済み核燃料がオーバーヒートして事故につながらないよう(チェルノブイリや福島第一原発の事故現場で見られたような、惨憺たる結果をもたらさないよう)、絶えず水を循環させ、絶え間なく冷やし続ける必要があります。
福島第一原発では現時点に置いて、4号機の使用済み核燃料プールが、深刻な状態の3基の原子炉同様、極めて危険な状態に置かれています。


▽ 福島の危機より、ジャイアントパンダの方が大切な日本のメディア

これまで述べてきたように、原子力発電所に関する新たな問題が次々と明らかになっているにもかかわらず、日本の野田首相は、サンオノフル原子力発電所同様に不安定で、様々な問題を抱える大飯原発の再稼働を強行しました。
日本の首相と原子力産業界が、日本が一度でも原子力発電無しで長く暑い夏を乗り切ってしまえば、人々の健康と国土の安全を賭けものにしてまで、原子力発電を行う必要性など無いことに、国民が気づかないように画策したようなものでした。

しかし、日本人全員がそれ程おめでたい訳では無かったようです。
数万人の人々が通りに現れ、この国がこれまでと変わりなく、危険性も何も無視して企業と政府が安易なもたれ合いを続けることに、激しく抗議しました。
(福島第一原発の事故をきちんと検証し、あるべき安全対策が取られないまま大飯原発が再稼働されてしまったことを思えば、当然の成り行きなのですが…)
また、教育レベルの違いに関しても、考える必要があるかもしれません。
日本では、一般市民が、特に女性たちが『盲目的服従』に陥ることなく、人間の尊厳をかけて抗議活動を続けています。
一方、国内に事故を起こした福島第一原発と同設計の原子炉が23基あり、その半径50マイル(約80㎞)圏内に1億8,400万人が暮らすアメリカでは、どうだったでしょう?
福島の事故を踏まえ、アメリカ国内の原子炉の安全対策の改良が必要であることを提案した原子力規制員会の委員長が、原子力業界の工作により辞任に追い込まれ、業界の息のかかった委員長が誕生したことに対し、一般市民からの抗議らしい抗議はありませんでした。

しかし日本では人々に比べ、そのメディアの意識の低さが明らかにされることになりました。
前述のBBCの大井まり子記者は、日本の大手メディアが政府事故調査委員会の報告書よりも、ジャイアントパンダの赤ちゃん誕生のニュースの方を、大々的に取り上げたことについて嘆きました。
こうした報道姿勢は、むしろアメリカの大衆向けメディアの方が得意だったはずだったのですが。
このパンダの赤ちゃんは、その後まもなく死んでしまいました。


しかし福島第一原発が放出した放射性物質による影響は、途切れることなく続いています。
そして福島第一原発の危機も、そのまま続いています。

原子力発電が続けられる限り、地球的規模での健康と生命に対する脅威は、終わることは無いのです。

http://fairewinds.com/ja/content/made-japan-fukushima-crisis-nuclear-not-cultural
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先ほど、会社の休憩室に置いてあったスポーツ紙の記事下、週刊誌の広告に何気なく目をやり、次の瞬間わが目を疑いました。
有名出版社が発行するその雑誌の今週号、列挙された見出しの中に『首相官邸に乗り込んだ11人の正体』とあり、抗議者を代表したのは、風俗関係の女性や左翼系の元活動家であると大書きしてあったのです。
あたかもそれが大問題だと言わんばかりの扱いでした。

大手週刊誌がこれほど『差別的』表現を堂々と行ったのを、私は初めて見たような気がします。
そして3.11以来ほぼ毎日、世界中のメディアをチェックしていますが、この手の『差別的』表現と言うものを見たことがありません。

詳しい事実関係は知りませんが、同じ風俗関係でも、ルックスが良くて稼ぎが良いとテレビに登場させてもてはやし、反権力闘争に身を投じればいわれも無く貶める。
まさに『拝金』報道の典型と言うべきではないでしょうか?
そしてこれもまた、日本の『マスコミ』の一つの典型なのでしょうか?

風俗関係の仕事と言うと、経済的に余裕があるとは考えにくいのですが、そうした環境にあっても原発と言う国家にとって重い課題に、すすんで関わろうとする。
その人はそれだけの思いを持って活動している、そうした姿には利権や金権に絡んでオノレのみを富ませようとする一部の御用『学者』などには無い、「人としての尊厳」を感じます。

2,200年前、人間の命をモノか家畜のそれのように扱う秦帝国を倒した漢の劉邦は、今で言えばチンピラ、コソ泥の類であり、その仲間は市場の屠殺人や門番、馬車の御者などと言う人々でした。
しかし彼らには人として当たり前の命に対する思いやりがあり、秦帝国の暴政を見て「匹夫(つまらない人間)と言えども」立ち向かっていったのです。
まあ、ちょっと単純に書き過ぎたかもしれませんが、人は志を持った時点で大丈夫(立派な人格を持った人)であるはず。
金や権力に媚びていわれなく人を貶めるなど、この手の攻撃はまさに品性劣悪、人間の風上にも置けない、のではないでしょうか。
こんなやり方で「人間をつぶす」ことを、決して見過ごしてはならないと思います。





 

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