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2013年・食糧危機は必ずやって来る[米国CNN]

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所要時間 約 8分

そのとき、世界に何が起きるのか?!

デイヴィッド・フラム / アメリカCNNニュース 9月3日


2013年は、世界は深刻な危機に見舞われることになりそうです。
今回の危機の訪れは予測可能であり、一部はすでに始まっています。
次節のアメリカ大統領が、最初に取り組まなければならない問題になるはずです。
先日フロリダ州タンパで開催された、大統領候補指名のための共和党大会では、この問題は取り上げられませんでした。
次に開催予定の民主党大会でこの問題が取り上げられるかどうか、注目したいと思います。

危機の引き金を引いたのは、この夏の異常気象です。
アメリカ国土の8割が干ばつの被害を受けました。
ロシアとオーストラリアも、同様の干ばつに見舞われました。

今回の干ばつは主要作物の収穫を、台無しにしてしまいました。
トウモロコシの収穫量は1995年以降、最低レベルに落ち込むと見られています。
今年7月にはトウモロコシと小麦の価格が25%も跳ね上がり、大豆の取引価格も17%上昇しました。

このような穀物価格の上昇は、一般食料品価格に波及せずにはいません。
先進各国の消費者にとってこうした食料品価格の高騰は打撃ですが、ほとんどの場合において何とかしのげることになるでしょう。

アメリカ人の税引き後の食料品に関する支出は(外食やインスタント食品なども含め)、全支出の1割程度です。
ギャラップ社の調査によれば、アメリカ人の家庭では1969年当時と比較し、食料品への支出割合は(インフレによる価格変動分を調整の後)3分の2程度に縮小しています。
しかし、発展途上国ではどうでしょうか?
食料品価格の高騰は、家族が生きていく上で、たちまちにのっぴきならない経済問題に発展します。
最貧国では人々は収入のおよそ半分を、食料品の購入のために費やします。そしてこの場合の食料品とは、コメやパンなど、命をつなぐ上で欠かせない主食のことを指しているのです。

フィナンシャルタイムズによれば、2007年から2008年にかけ穀物価格が上昇した時、ハイチやバングラデシュなどの最貧国30か国では食糧暴動が発生し、社会に動揺を与えました。
2010年に発生したロシアの干ばつによる食糧輸出の停滞は、社会体制を一変させた『アラブの春』の主要な原因の一つとなりました。


ガマール・アブドル・ナセルの時代から、エジプト政府は国民に対する食糧援助を行ってきました。
丸い形をしたパン1枚の価格は約1ペニーです。
しかし2000年代後半、ムバラク政権はこのパンの価格上昇分の予算の確保がもはや困難であることに気がついていました。

エジプトの人口は1950年の2,000万人から1980年には4,000万人に倍増、そして現在は8,000万人に倍々で増えており、世界最大の小麦輸入国になってしまいました。
そしてムバラク政権は2007年から2010年にかけての小麦価格上昇分の予算を、どこからも持ってこれなくなったのです。
低価格のパンは店頭から姿を消し、人々の不満が高まっていきました。
イギリスの雑誌『ザ・スペクテイター(目撃者)』の記者で、長年エジプトで暮らし、アラブ語にも堪能なジョン・R.・ブラッドリーは次に起きることを正確に言い当てていました。
「カイロ市内の英語を話すエリート集団の少数派の人々の会話と、西のはずれの方にいる飲んだくれた市民たちの話題は、まるで違っていました。
タヒール広場に押し寄せた人々の希望は、チュニジアで起きたのと同様の革命の成功でした。
そして彼らにとって、突然訪れた急進的革命の成功は驚くことに、たやすく食糧が手に入ることを意味していたのです。」

再び食料品価格が上昇した時、今度は何が起きるのでしょうか?
特筆すべきは、中国が食料品のコストインフレに対しことのほか弱い、という事です。
2011年7月、たった1か月で中国国内の生活費が6.5%上昇しましたが、インフレーションは2012年の経済動向に吸収され、目立つことはありませんでした。
2012年春、アメリカの穀物生産について豊作が予測され、直後の初夏に明らかにされた中国中央銀行の信用不安が軽減される結果になりました。
しかし米国の穀物の大凶作により、中国政府は早々に次の一手を打つ必要に迫られています。

諸国民の春(Printemps des peuples)


『アラブの春』が、ヨーロッパで次々に革命が起きた1848年の『諸国民の春(Printemps des peuples, Völkerfrühling, Primavera dei popoli)』と比較されることがあります。
そして現実は往々にして想像を超えて進む場合があります。
『飢えに苦しんだ1840年代』は、ヨーロッパ全土で凶作が続いた時代でした。
飢えは人々をいらだたせ、怒りに火がつきやすくなります。
そして怒りに火がついた人々は、時の政権を次々と打倒していきました。

2013年の食糧危機は、ブラジルに社会的混乱をもたらし、中国全土でストライキが多発し、パキスタンで革命が起きる。
そんなことが現実になるでしょうか?
答えはこれからの穀物価格の高騰がもたらす、生活必需品の価格動向にかかっています。
それは決して人々を安心させるものにはならないでしょう。

執筆者のデイヴィッド・フラムはニューズウィーク、ザ・デイリー・ビースト、そしてCNNニュースの常連寄稿者です。
7冊の著作があり、最新作は小説『愛国者』です。

http://edition.cnn.com/2012/09/03/opinion/frum-food-price-crisis/index.html?hpt=hp_c1
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【ディオンヌ・ワーウィック、作詞家ハル・デイヴィッドの死を悼む】

アメリカCBSニュース 9月3日

デイヴィッドとワーウィック、2002年。


デイヴィッドが91歳でロサンゼルスで亡くなったことについて、ディオンヌ・ワーウィックが2日日曜日に声明を出しました。
「まるで家族の一人を失ってしまったように、悲しい思いでいっぱいです。でもこれから私が彼が作詞した歌を歌うたび、彼はずっとそばにいてくれるでしょう。」
デイヴィッドは作曲家バート・バカラックと組み、1960年代後半からワーウッィクが歌った「小さな願い」「恋よさようなら」をはじめ、「雨に濡れても」など数々のヒット曲を世に送り出しました。

バート・バカラックはデイヴィッドの作品中、『A House Is Not a Home』か『アルフィー』が作品として、最も優れているのではないか、と語りました。
そしてたくさんの音楽関係者が、ツイッターで哀悼のメッセージを流しました。


[ディオンヌ・ワーウィック「小さな願い」]


[ディオンヌ・ワーウィック「恋よさようなら]





 

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