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アメリカで、多数の原発が稼働停止の可能性[IPSニュース]

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持って行き場の無い核廃棄物【米国原子力規制委員会「もうこれ以上、原子力発電所の操業許可は出せない!」】
「事態は1960年代と比べ、何も改善していない。それはつまり、核廃棄物に関しては、都合の良い解決方法など存在しない、という事なのだ」- 米国下院議員
「処理の目処も立たないのに、原子力発電を行うことにより、無限に核廃棄物が生み出されている」

IPSニュース 9月4日(8月6日)


アメリカの商業用原子炉の管理・監督を行っている原子力規制委員会(NRC)は8月9日、当面新たな原子炉の操業許可を行わないことを決定しました。
核廃棄物の長期保管の問題について、産業界と連邦政府のいずれも、合理的な解決策を見いだせずにいる、とする裁判所の判決を受けた措置です。

この措置により、19か所に上る原子炉が影響を受けることになりました。
この中には、9か所の原子炉建設とその操業許可、8か所の操業許可の更新、1か所の操業許可、そして1か所の施設使用延長が含まれます。

多数の個人に加え、数多くの環境団体からの嘆願書に応え、NRCは7日この命令を出しました。

6月8日付で、NRCが取り扱っている核廃棄物問題を検証する限り、新規の原子力発電所はもちろん、現存する原子力発電所からのこれ以上の核廃棄物の排出は容認できないとする、米国連邦巡回控訴裁判所の決定により、こうした嘆願書が多数寄せられることになりました。

「私たちが信頼性し得る核廃棄物保管と呼んでいる課題は、原子力規制委員会において、環境に関する全般的な問題、利用可能なあらゆる手段を検討しなければならない、そしてあらゆる面からの検証が必要な問題だったのです。
なぜなら高レベル放射性核廃棄物、使用済み核燃料は、原子炉の耐用年数などとは比較にならない程長い間、何十年もの間、放出する熱量が低下し最終処分が可能になるまで、安全に保管し続けなければならないからなのです。」
NRCのスポークスマン、デイヴ・マッキンタイアはIPSに対し、このように説明しました。


「米国連邦巡回控訴裁判所は請願を行った人々の主張を容れ、NRCが認めていた廃棄物処分方法に疑問を呈したのです。すなわち、もはや高レベル放射性廃棄物を安全に保管する方法など、基本的には存在しない可能性があるのではないか、その点をNRCは検討する必要がある、そう指摘したことになります。」
「ネバダ州の核廃棄物の中間貯蔵施設である、ユッカ・マウンテンは閉鎖されたままであり、アメリカには現在その他の選択肢はありません。上下院での議論がこのまま平行線をたどり、他に中間貯蔵施設が確保できなければ、高レベル放射性核廃棄物はいったいどこに持って行けばいいのでしょう?」
マッキンタイアはこう語りました。

NRCにおいても結論が出ないこの問題について
「このまま原子力発電所が稼働によって、高レベル放射性廃棄物の排出を続ければ、その保管場所は原子力発電所の施設内しかなくなります。発電所内での安全保管、それ以外に道は残されていないのです。」

環境保護団体が、記者会見でこのような共同声明を発表しました。
「これは見過ごせない問題です。」
ブルーリッジ環境保護連盟の世話人の一人、ルイス・ゼラー氏がIPSに語りました。


こんな問題が発生するとは、NRCも原子力産業界も、原子力発電を始めたときには考えても見なかったはずであり、周章狼狽の一歩手前まで追いつめられています。
「業界は環境団体がジョージア、アラバマ、サウス・キャロライナ、ヴァージニア各州における原子炉の新規建設に異議の申し立てを行うと予想し、その対応を準備していたようです。まあ、実際私たちはそのほとんどで申し立てをしましたが。しかし、まさか自分たちが行っている基本的な枠組みに対し、根本的な問題提起が行われるとは予想していなかったでしょう。彼らにとってこれは衝撃的であったと同時に、驚きであったと思います。」
ゼラー氏が続けます。
「この件について、私は楽観的になって良いようです。米国連邦巡回控訴裁判所が核廃棄物の問題の重要性と、原子力規制員会の対応が遅きに失した点について、基本的に同意してくれたことは、非常に重要なことだと考えざるを得ません。」
核廃棄物の放射性は非常に高く、人体に危険を及ぼし、致命的事態に陥る場合もある、とゼラー氏が警告しました。


それぞれの原子力発電所では、運営会社が同じ核燃料をどれだけの期間使用し続けるかによって、貯まっている使用済み核燃料の量と構成が異なってきます。
「それは燃焼と呼ばれ、同じウラン燃料をどれだけの期間原子炉の中に入れておくかによって、作られる放射性廃棄物も違ってくるのです。」
放射性ヨウ素やストロンチウムなどの放射性核種について、ゼラー氏がこう説明しました。

ゼラー氏はNRCが今回の判決を不服として控訴するかどうかはわからないが、少なくとも判決によって生じるNRC側の懸念を隠そうとはしていない、と語りました。

「裁判所の決定により、NRCとして行ってきた廃棄物処理手順が否定され、NRCは改めて採用可能なあらゆる方法について検討を行っています。その中には全原子力発電所共通の方法、あるいは発電所ごとに異なる処理方法を行う、あるいはその両方を組み合わせる方法などが含まれています。」
8月7日、原子力規制員会(NRC)はこのように声明を出しました。


数週間以内に5人の理事に処理方法のリストを提出すべく、NRC職員は現在、多忙を極めていると、マッキンタイア氏が語りました。
「私たちはまだ、全体の方針を決めるには至っていません。しかし法の下での我々の役割に対する認識の下、今回の判決が覆されない限り、現行の放射性廃棄物処理基準と一時保管基準に基づく原子力発電所の操業許可は、当面行わないことになります。」

マッキンタイアは今回のNRCの決定、裁判所の判決、そのいずれによっても、すでに出されている原子力発電所の操業許可が取り消されることは無い、と語りました。
同氏はその例としてジョージア州のヴォグタイル原子力発電所を例に挙げましたが、しかし同発電所は福島第一原発の事故後見直された安全基準に抵触しているとして、操業停止を求める訴訟を起こされています。

オハイオ州選出の民主党のデニス・クシニッチ下院議員は8月上旬、有権者に電子メールを送りました。
「私たちはいままさに、原子力発電の終わりを目撃しているのでしょうか?」
「私たちは約半世紀もの間、核廃棄物の合理的処分方法を探し求めてきました。そして結局、事態は1960年代と比べ、何も改善していないのです。それはつまり、核廃棄物に関しては、都合の良い解決方法など存在しない、という事なのです。」
「放射性核廃棄物を安全に保管し続ける方法など、決して見つけ出すことはできないのです。」


ゼラー氏はたとえ新たな処分場を確保できても、その場所まで核廃棄物を輸送すること自体危険が伴う事であり、核廃棄物をどこで処分しようとしても、必ず危険がついて回る、と語りました。その危険は決して小さなものでは無い、と。

ゼラー氏は続けて、アメリカ国内では核廃棄物処分場を目の色を変えて探し続けている今この瞬間も、原子力発電を行うことにより、核廃棄物が作られ続けており、そのことに問題の根深さがあると語りました。
「その上、最終的にいったいどれだけの量の核廃棄物を処分しなければならないのか、明確では無く、原子力発電が続く以上、核廃棄物は無限に生み出されてくるのです。」

今回のNRCの決定により、操業停止になる可能性のある原子力発電所
メリーランド州カルバートクリフ、ミシガン州フェルミ、サウスキャロライナ州ウィリアムステート・リーⅢ、ミシシッピ州グランドガルフ、テキサス州ヴィクトリア・カントリー、フロリダ州ターキーポイント、テキサス州コマンチピーク、同南テキサス、ペンシルバニア州ベルベンド、ノースキャロライナ州シャーロン・ハリス、フロリダ州レヴィー・カウンティ、アラバマ州ベルフォンテ、テネシー州ワッツバー、ヴァージニア州ノースアンナ

http://www.ipsnews.net/2012/08/waste-issue-halts-u-s-nuclear-reactor-licensing/
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[米国原子力規制委員会、原子力発電の操業認可業務を停止]

ニューヨークタイムズ 8月8日

今年6月の連邦裁判所が、高レベル放射性廃棄物処分方法について不備があると判決を下したのを受け、原子力規制委員会は原子力発電所の操業認可業務を停止しました。
申請の受け付け業務は継続するものの、操業を許可するかどうかの決定は、年内は行わない、とスポークスマンが発表しました。
(ブルームバーグ・ニュース)

http://green.blogs.nytimes.com/2012/08/08/on-our-radar-n-r-c-puts-off-licensing-decisions/
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米国原子力規制委員会、原子力発電の操業認可業務を停止

ブルームバーグニュース 2012年8月8日

6月の連邦裁判所の判決が命じた、使用済核燃料の保管に関わる危険性を検証する一連の作業が完了するまで、米国原子力規制委員会(NRC)は原子力発電所の操業許可を与える認可業務を停止しました。
5人の理事によって構成されるNRCは、操業許可申請の受付と審査業務は継続して行います。ただし、操業を許可するかどうかの、決定は行いません。
ここ数カ月間はこうした申請が出される予定はありませんが、出された場合には決定は保留になります。
NRCのスポークスマン、スコット・バーネルが電子メールで伝えてきました。
ニューヨーク市の北方にあるインディアン・ポイント原子力発電所を運営するエンタジー社は、同原発の更新手続きを次に予定しています。
デューク・エナジー社はフロリダ州レヴィー郡の原子炉建設と許可申請を目前に控えています。
「2013年までは、操業許可の承認業務を行う予定はありません。」
と、バーネルの電子メールに記されています。


ワシントンの連邦裁判所は6月8日、判決を行い、核廃棄物の永久処分方法について、NRCはその危険性について充分な検証を行っておらず、新たな基準を整備する必要がある、と指摘しました。

NRCの今回の決定により、9件の原子力発電の建設許可業務、そして8件の操業の許可業務が凍結されます。
NRCに対し国内での核廃棄物処理を止めるよう求めている、24の環境保護団体からなるテネシー州ノックスヴィルにあるクリーン・エネルギー南部連盟とブルーリッジ環境保護連盟が確認しました。

http://www.bloomberg.com/news/2012-08-07/nrc-suspends-final-licenses-to-reassess-risks-of-storing-waste.html







 

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