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日本・中国、ともに『弱腰』は見せられない政治指導者 – 世界はセンカクをどう見ているか?[米国CNN]

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【紛争の海】
東シナ海・南シナ海には、サウジ油田と並ぶほど莫大な石油資源が眠っている

ケヴィン・ヴォイト / アメリカCNNニュース 9月24日



中国の習近平国家副主席は、ここ数週間中国国内で通りを埋め尽くし、中国の領有権を主張する群衆の感情に呼応するように、現在紛争の的となっている東シナ海の島々の領有権を主張していることについて、『猿芝居』と切り捨てました。
「日本はその行動を慎まなければならず、一切の言い訳を止め、中国の主権と領有権に対する侵害を止めるべきである。」
10月に中国の新たしい国家主席に就任予定の同氏は、9月19日のリオン・バネッタ米国防長官との会談の際にこう述べたと、中国のメディアが報道しました。


消息筋によれば次世代の指導者に就任予定の同副主席がこの日中の紛争について言及したのは、国家の政策や経済的利益をねらっての事では無く、むしろ国家主義的感情の盛り上がりにより、この問題を解決した場合の見返りは大きくなり続けている、そう判断した上の事だ、と分析しています。
従って通常はこのような領土紛争が一定期間を経て鎮静に向かう例が多いのに対し、10月に予定されている主席交代後も、状況がどうなるか、予断を許さないと指摘しました。

「さらに一層危険な状況になる可能性があります。」
ニューサウスウェールズ大学の防衛問題の専門家であるアラン・デュポンが、こう語りました。
「中国の新たな指導者が、領土問題において弱腰であると判断されるわけにはいかないのです。」
24日月曜日、日本の海上保安庁によれば、中国の調査船2隻が日本の領海に侵入、この間10隻の中国艦艇が付近をパトロールしていたと報告しました。
一方中国側は23日日曜日、今月予定されていた日中国交正常化40周年の記念式典を延期する、と発表しました。

国内で繰り返される好戦的とも取れるスローガンは中国政府の態度を一層硬化させ、アジア大洋地区における政治的・軍事的バランスを一変させ、さらには中国では魚釣島、日本では尖閣列島として知られる一連の無人島に関する問題も、一層こじれる可能性があります。
「中国は法的にも政治的にも、領有権について有利な立場を手にいれたものと確信しています。」
アメリカ国立アジア研究機構の研究員で、南シナ海の領有権問題に詳しいマーク・バレンシアがこう語りました。
「中国のナショナリズムはかつてない程盛り上がりを見せ、今や国政にまで影響を及ぼすようになっています。」

▽ 紛争の海と化す中国近海

東シナ海だけが、中国とその隣国にとっての紛争地点ではありません。
南シナ海には何百という無人島、サンゴ環礁が点在しています。
そしてその一つ一つについて中国、ベトナム、フィリピン、マレーシア、ブルネイ、そして台湾がそれぞれ領有権を主張しあっています。


日本との紛争同様、中国は領有権を争い、緊張が高まる中、事件が多発するようになりました。
2011年には、この海域でベトナムの油田調査船が、中国の巡視艇によってケーブルを切断されたと抗議しました。
これに対し中国側がベトナムの船が中国の領海内で調査を行い、漁船の操業を妨害していたと主張しました。
同じ年、フィリピンの調査船も中国の巡視艇にケーブルを切断され、体当たりをすると脅される事件がありました。
「中国が領有権の主張に関し、より強硬にならなければ、これほど多くの事件は起きなかったと思います。そして重要な点は、なぜ今になってこうした問題が顕著になって来たか、という事なのです。」
デュポン氏はこう語りました。



東シナ海の紛争が南シナ海のそれと違うのは、世界第2位と第3位の経済大国同士のぶつかり合いだという点です。
「この2つの大国がぶつかり合うという点において、南シナ海よりはるかに状況は危険なのです。」
デュポン氏はこう懸念しています。

▽ 国家主義のうねり

9月11日に日本政府が中国側の抗議を振り切る形で、20億5000万円(2620万米ドル)で個人の所有だった尖閣諸島を購入した直後から、南部の広州から北は青島まで、中国国内数十か所で反日デモが頂点に達し、一部では暴徒化しました。
日本ブランドの車両がひっくり返され、数か所では日本の店舗で略奪が行われたため、多数の日本企業、日本の店舗が一時的な閉鎖に追い込まれました。

領有権に関わる紛争は世紀をまたいで続いており、争いが表面化したのは1996年、2005年、そしてごく最近、2010年には中国の漁船が日本の巡視船に体当たりし、中国船の船長や船員が日本側に逮捕され、外交紛争が頂点に達しました。

「中国側の反応がこれほど大きく、そしてこれ程暴力的なものになるとは、想像もしていませんでした。特に過去の反応と比べると、今回の暴動は異常です。」
カナダのワーテルローにあるバルシリー国際関係研究所の海事紛争の専門家であるジェームズ・マニコム氏がこのように感想を述べました。

尖閣諸島の「国有化」は中国人を激怒させることになりました。
しかし日本政府の動きは、尖閣諸島の購入についてインターネットを使って宣言した石原東京都知事が率いる日本の国家主義者に、この問題を預けたままにしておけば、紛争は拡大する一方になると危惧したからだと言われています。
石原都知事の宣言に対しては多額の寄付が流れ込み、日本政府をして紛争の焦点となっている、島の購入に踏み切らざるを得ない状況を作り出し、ひいては中国側の強硬な非難を招く結果になりました。
「会えて紛争を深刻にしないためには、この手の国家主義者の手に委ねるよりは、日本政府が所有した方がましだと言えます。国家主義者たちが一体どこまで関係を悪化させるかなど、想像のしようもないからです。」
マニコム氏はこのように語り、次のように付け加えました。
「野田首相は、短期的は紛争が激化しても、長期的には関係は改善していく、そう計算しているのです。」

▽ 経済的利益

日中両国の国家主義的な盛り上がりが現在の状況をよりエスカレートさせている一面、この地域問題に関する紛争の原因の一つを1969年に国連が行った地質学調査の結果に求めることができます。
「台湾と日本の間の大陸棚には世界有数の石油資源が眠っている可能性が高い。」


さらには南シナ海にも膨大な量の、天然ガス・石油資源が眠っている可能性があります。
中国の試算によれば2,130億バレルの石油資源が南シナ海の海底に眠っていますが、もしこれが事実なら、米国エネルギー情報局はサウジアラビアの油田地帯を除けば、世界最大の石油資源であることになります。

中国近海で多発するこの領土紛争の核心は『排他的経済水域』という、その国の海岸線から200海里以内では、その国だけに漁業権・資源採掘権が認められるとする、国際法上の権利です。
この権利を根拠に、各国は実効支配している無人島や、場合によっては岩に毛が生えた程度の岩礁を根拠に、この『排他的経済水域』の拡大を図ってきました。
「尖閣諸島はアラスカに似ています。一見すれば何の価値も無い荒蕪の土地ですが、しかし独占的な漁業権・資源採掘権を手に入れるためには、欠くべからざる国際法上の根拠となり得るのです。」
アメリカ国立アジア研究機構のバレンシア研究員が、こう指摘しました。


しかし国際紛争の舞台となってしまった今は、日中いずれの政府も、資源開発などに着手するわけにはいかなくなってしまいました。
今回の騒動がここ数年の衝突の延長線上にあるのであれば、両国の高官による折衝を待たず、二、三カ月のうちには収束に向かうでしょう。
しかし中国は指導部の交代を翌月に控え、日本では二大政党の党首選が行われ、いずれも立場を守るためにはここで引き下がるわけにはいかず、当分は緊張状態が続くと見られています。
「今日本では、中国に対して軟弱な政治家だとみなされるわけにはいかないのです。」
バルシリー国際関係研究所のマニコム氏がこう語りました。

中国国内では第二次世界大戦当時の日本に対する敵意が再燃していますが、日本国内の中国への感情も変わりつつあります。
「その結果日本では、保守陣営には属さない人々も、中国の真意を疑い始めています。この感情が拡大すれば、中国政府も意外の念を持つことになるでしょう。」

9月25日、日本の海上保安庁の巡視艇と台湾の漁船


http://edition.cnn.com/2012/09/24/world/asia/china-japan-dispute-explainer/index.html?hpt=hp_c4





 

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