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【 福島第一原発で今も続く事故、そして危険、その真実 】《第1回》フェアウィンズ

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所要時間 約 11分

今再び大地震が起きれば、事態は考えられない程深刻なものに!
現在福島第一原発は、今事故処理の真最中
[ 対談 : アーニー・ガンダーセン氏とヘレン・カルディコット博士 ]

フェアウィンズ 9月20日


フェアウィンズ 9月20日

アーニー・ガンダーセン氏が『もし地球を愛するなら』プロジェクトの企画に招かれ、現在も続く福島第一原発からの放射性物質の漏えい、そしてどうすればこの事故を収束に向かわせることができるのか、ヘレン・カルディコット博士との対談が行われました。
福島第一原発では原子炉を冷却するために使われた冷却水が未だに高濃度に放射能に汚染されており、現在も太平洋の海へ流れ込んでいます。
現場は作業員を被ばくさせる危険、そして放射能漏れが続くことへのジレンマと戦い続けています。
事故発生から18カ月間の子供たちに対する健康上の影響について、2人の議論が行われました。

『もし地球を愛するなら』プロジェクトにようこそ。
私はヘレン・カルディコット、このプログラムでは、この地球上のすべての生命に対する医学上の脅威、環境上の脅威について議論を行います。
核兵器、原子力発電、オゾン層破壊、有毒な汚染物質、森林伐採、その他、この地球を守るべく、社会的、政治的問題について論じて行きます。
あなたがこの地球を愛しているなら、どうか続けて聴いてください。

ヘレン・カルディコット博士


今日のお客さまは、私の旧友でもあるアーニー・ガンダーセン氏です。ガンダーセン氏は環境とエネルギー問題に関する調査、分析、そして法的援護を行うフェアウィンズにおいて、エネルギー問題のアドバイザーを務めています。彼はまた独立した原子力発電の技術者であり、安全に関する専門家でもあります。
彼は原子力規制員会を始め、上下両院議会、各州議会、各政府機関や規制当局に対し、原子力発電所の運営、信頼性、安全に関する課題、放射線問題に関する提言などを行っていますが、その活躍の場はアメリカ、カナダをはじめ世界各国に及んでいます。

アーニー・ガンダーセン: やあヘレン、ありがとう。 再会できてうれしいですよ。

ヘレン・カルディコット: あなたが福島第一原発の現状について新たな見解を示されたので、ぜひお話をお伺いしたくて、ここにお招きする必要があると考えたのです。
本当にたくさんお伺いしたいことがあるのです。
福島第一原発の1号機、2号機、3号機、4号機が現在置かれている状況について、ぜひお聞かせください。
現状についてどうお考えですか?
今日は存分にお話しください。

アーニー・ガンダーセン氏


ガンダーセン : ありがとうございます。
では1号機、2号機、3号機、4号機がそれぞれ今どうなっているのか、お聞きください。
4号機は建屋の壁が崩壊してしまっており、その分作業がしやすくなっています。今後の計画ですが…

カルディコット: 壁が崩壊しているとはどういうことでしょうか?その部分が良くわからないのですが。

ガンダーセン : 爆発はあらゆるものを破壊しました。原子炉建屋の上部2つのフロアは崩壊し、そのために破壊を免れた構造部分が露出される結果となりました。
そして現在作業エリアと呼べる状況になっているのです。
カルディコット: 原子炉建屋は構造物として残ってはいるものの、2つのフロアは無くなってしまっている、そういう事でよろしいですね。
ガンダーセン : そうなります。原子炉建屋が本来30メートルの高さがあるとすれば、現在は18メートルになっているという事です。爆発により原子炉の上部構造が破壊されましたが、その上部構造とは東京電力が原子力発電所を運営していた海浜地帯で、核燃料棒を出し入れするための巨大クレーンと、その燃料棒を一時的に格納するためのブリッジ構造の事です。

カルディコット: ちょっとお待ちください。つまり燃料の出し入れをするためのクレーンがあった上層階2フロアが破壊された、という事になりますか?そうなりますと、原子炉格納容器、その隣には100トンを超える高放射性の核燃料棒で一杯の冷却用プールがそのまま取り残されていることになります。


ガンダーセン : その通り、まったくおっしゃる通りです。

カルディコット: 正しいのですね。

ガンダーセン : 目下の計画はかつてはそこに存在した構造物、特に使用済み核燃料プールを破壊された建屋の上に、もう一度建設することです。
これは残っている構造物を利用して行いますが、その場所は海のすぐ近くであり、燃料棒を扱うための巨大クレーンを支える橋脚部分を、破壊された建屋に隣接して建設しなければなりません。
いいですか、かつてはそこに巨大クレーンがありましたが、現在は破壊されてしまっているため、新たにクレーン設備を設置しなければならないのです。
なぜそれほどの設備が必要なのかといえば、使用済み核燃料を詰め込んだ容器は非常に重く、全部で約130トンに上る量を処理しなければならないからです。こうした作業には巨大クレーンが欠かせません。

カルディコット: あなたがお話になっているのは、束ねられた核燃料棒の事でしょうか?間違っていますか?

ガンダーセン : いえ、束ねられた核燃料棒を取り出し、水中の遮蔽された格納容器に収納しなければならないのです。

カルディコット: わかりました。

4号機使用済み核燃料プール内部の写真


ガンダーセン : もしこれらの使用済み核燃料が直接大気に触れるようなことになれば、非常に高い放射性があり、作業エリアにいる人々はその場で死んでしまうことになります。
そのためこの使用済み核燃料を水に沈める作業は、迅速に行う必要があります。
そして束ねられた使用済み核燃料をそのまま取り扱う必要があるのですが、ここで重大な疑問が出てきます。すなわち一度高温になってしまったこと、そして爆発により使用済み核燃料プールに大量のがれきが飛び込んでしまったため、燃料棒が変形してしまっているのではないか、という懸念があるのです。
しかしまあとにかく理論上は、クレーンを使って使用済み核燃料の束を掴み取り、冷却用プールの方に運び、水中に沈められた巨大な容器の中に収納しなければなりません。
使用済み核燃料を持ち上げてこの容器の中に格納し、ふたを閉めなければなりません。
この巨大な容器の重さは約100トンほどあります。

カルディコット: まあ…


ガンダーセン : 次に巨大クレーンを使ってその容器を持ち上げ、地上に降ろします。
その作業を何十回となく繰り返さなければなりません。建屋の上の使用済み核燃料プールを空にするには、おそらく1年以上かかるでしょう。

カルディコット: 少しお待ちください。束ねられた使用済み核燃料棒を水中から取り出し、別の冷却用プールに移動しなければならないが、それを格納する巨大な容器はまだ用意できていない、それでよろしいでしょうか?これからこの巨大容器を製作し、水中に沈めて使用済み核燃料棒を受け入れるための準備を行い、それができたら地上に降ろす、この手順で間違いはありませんか?

ガンダーセン : その通りです。まず最初にしなければならないことは、破壊された建屋の上にある冷却用プールの中の、使用済み核燃料をすべて取り出すことです。
そのためには、その設備の建設が完了した後、1年ないし2年の月日を必要とします。
ですから現在の状況は、いかなる意味合いにおいても、危機を脱したなどとは言えない状況なのです。
もし地震が発生すれば高濃度汚染水が漏れ出す恐れがあり、使用済み核燃料が火を噴くような事態に陥れば、日本全土がたちまち汚染されつくしてしまいます。
これが証明するのは、現在福島第一原発は事故処理の真最中だという事です。
おわかりですか、今年になってやっとこの状況が見えてきたのです。
〈つづく〉

http://www.fairewinds.org/ja/content/ongoing-damage-and-danger-fukushima
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今日からアーニー・ガンダーセン氏とヘレン・カルディコット博士の対談を連載します。
9月20日付で[フェアウィンズ]のホームページ[ http://www.fairewinds.com/ja ]に掲載されたこの対談は、まだ公式の日本語訳は掲載されていませんので、【星の金貨】の『私訳』という事で、ご覧ください。
原文はA4版で出力すると21枚ほどの原稿になりますが、実を申し上げますとまだ翻訳作業は完了していないため、全何回という事をまだ申し上げられません。
8ページほど翻訳して3回分ほどの分量になっていますので、8〜9回という事になろうかと思います。
福島第一原発の現状について、きわめて重要な分析が行われており、皆様にはぜひ全編をお読みいただきたいと思っております。

それにしても日本の原子力規制委員会のメンバーにこのお二人に小出裕章氏が加わっていれば、と心から思います。
そうすれば、今生きている「人間」を何より大切にしてくれるだろうに…
誰もがその発表を、素直に受け入れる事が出来るだろうに…
それが出来ない日本の政治システムに対する、疑問と怒りが私たちの中で色あせてしまわないよう、ぜひこの連載をご活用くださいますよう、お願い致します。





 

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