福島第一原発の敷地内に延々と汚染水タンクを作り続ける悪循環
2020年開催の東京オリンピックが汚染水問題の解決を急がせ、凍土遮水壁が採用された
マーティン・ファクラー / ニューヨークタイムズ 2016年8月27日
つい最近取材のため福島第一原子力発電所を訪れた際には、事故直後に慌ただしく建造され何度も漏出事故を起こしたタンクに代わり、耐久性に優れ溶接によって密閉性を高めたタンクを忙しく建設する作業員の姿を見かけました。
福島第一原発の空いているスペースは、これら高さが約30メートルのタンクですべて埋め尽くされているように見えます。
福島第一原子力発電所の現場の案内にあたった東京電力の東電原子力・立地本部の岡村祐一本部長代理は次のように語りました。
「私たちは、福島第一原発の敷地内に延々と汚染水タンクを作り続ける悪循環から抜け出さなければなりません。」
福島第一原発の事故収束・廃炉作業現場では現在7,000名が立ち働いています。
凍土壁はこの悪循環を断ち切るために、最新技術を持って世界最大の冷凍装置を作り上げる取り組みです。
長さが約30メートルの冷却用パイプを約1メートル間隔で地中に埋め込み、その中を摂氏マイナス30度にまで下がる冷却用冷媒で満たします。
それぞれのパイプの周囲には半径約50センチの大きさの凍土が形成され、これによって継ぎ目のない遮水壁が出来上がるよう設計されています。
この凍土壁の建造にあたるのはゼネコン最大手の鹿島建設(株)ですが、同社のエンジニアはパイプの周囲の土壌が完全に凍結するまでには約2ヵ月を要すると見積もっています。
凍土壁すべてを完成させるのに使われるパイプの数は1,568本ですが、凍土壁の建造と維持には30基の巨大な冷凍装置を必要とし、1年間に13,000軒以上の一般家庭が消費するのと同じ量の電力を消費することになります。
巨大地震と巨大津波が東日本に壊滅的被害を与えてから5年が経ちますが、日本はまだ完全に立ち直った訳ではありません。
地中を凍結させ地下水の流入を遮る技術は世界中のトンネル工事や鉱山で使われていますが、これ程の規模で地中を凍らせた例は未だかつてありません。
しかもそこは想像を絶する規模の原子力発電所の事故現場なのです。
この凍土壁プランはそもそも計画段階から、多くの専門家から疑問を突きつけられてきました。
何人かは原子力発電所の敷地の地下に埋設されている設備が障害物になる可能性があると指摘しました。
そのひとつが原子炉建屋と各種設備をつないでいる地中の各種のパイプで、結果的にこれらは凍土壁に開いた穴のようになり、結果的に何本ものパイプを通って汚染水が漏れ出す可能性があります。
別の批判は鋼材やコンクリートを使った従来工法の方が確実に流れ込みを止められるはずなのに、なぜ敢えて通常とは異なる方法を採用する必要があったのか、という疑問を突きつけています。
何人かは日本政府と東京電力が当初汚染水問題について後手に回り続けたことを念頭に、凍土遮水壁計画は印象だけは派手なものの、内実は事故処理の序盤からイチかバチかの危険な賭けに出るようなものだと批判しました。
喫緊の課題として解決が急がれる理由は2020年に開催される東京オリンピックです。
3年前、安倍首相は国際オリンピック委員会に対し、福島第一原発の汚染水問題は解決に向けた作業が順調に進んでいると保証することにより、東京の開催権獲得に動きました。
「福島第一原発の凍土壁はヘイルメアリー(ゲーム終盤で苦戦を強いられているチームが最後の賭けとして得点を狙うために投げるロングパスのこと - http://eow.alc.co.jp/ より)です。」
日本に拠点を置く独立した放射線監視グループのセイフキャストの研究者、アズビー・ブラウン氏がこう語りました。
「東京電力は当初、地下水問題を過小評価していました。その挙句日本は非常に高くつく方法で、不足していた解決手段を手に入れようとしているのです。」
凍土壁計画を支持する人々も疑問を突きつけている人々も、間もなくこの計画がうまくいくかどうか、結果を確認することになりそうです。
2年に渡る作業を続け、鹿島は今年2月に地中を凍らせるためのパイプと冷蔵庫装置の設備工事を完了しました。
そして3月末、初めて一部のスイッチが入れられました。
建ち並ぶ原子炉建屋と太平洋の間を遮水する約0.8キロの区間です。
そしてさらに大きな部分を占める山側の遮水壁については、6月中旬にスイッチが入りました。
凍土壁建設主体の鹿島は日本の原子力発電所監視機関である原子力規制委員会の指示の下、段階的に地中の凍結を始めています。
同委員会は地下水の流れを突然遮断した場合、汚染水が逆流することを懸念しています。
特に原子炉建屋内の汚染水の行き場がなくなってあふれ出すようなことになれば、汚染水は周囲の敷地を再度汚染し、結果的には太平洋に流出することになります。
<3に続く >
http://www.nytimes.com/2016/08/30/science/fukushima-daiichi-nuclear-plant-cleanup-ice-wall.html?rref=collection%2Ftimestopic%2FJapan&action=click&contentCollection=world®ion=stream&module=stream_unit&version=latest&contentPlacement=1&pgtype=collection&_r=0
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【 2016年8月の宇宙写真 】
アメリカNBCニュース 2016年8月31日
8月23日スウェーデンのエリクスルント村で観測されたオーロラ。(写真上)
8月24日仏領ギアナ、ヨーロッパ宇宙ステーションから発射されるアリアン5ロケット。この後地球の周回軌道に2基の通信衛星、インテルサット33eと36を載せることに成功しました。(写真下・以下同じ)
8月12日、年に一度のペルセウス座流星群の撮影を行うため、ウェスト・ヴァージニアのスプルース・ノブを登る車のライトを30秒露出で撮影した写真。
8月27日NASAのジュノー宇宙船が木星に最接近した際、437,000マイルの距離から撮影した写真。
1995年に開始されたNASAのガリレオ・プロジェクトは開始以来5年の歳月をかけ、7月4日ロボット惑星探査衛星が史上初めて太陽系の最大の惑星である木星の周回軌道に入ることに成功しました。
http://www.nbcnews.com/slideshow/month-space-august-2016-n640836
事故当初と比べれば著しく減少した汚染水漏出、しかし現在も止まることなく続いている可能性が高い
稼働開始2ヵ月で完成するはずだった凍土壁、4ヵ月経過しても尚未完成
未だに増え続ける高濃度汚染水、福島第一原発の現場は汚染水タンクだらけ
マーティン・ファクラー / ニューヨークタイムズ 2016年8月27日
福島第一原子力発電所 — この問題については地上にはそれ程の設備が目立つわけではありません。
地上にあるのは2、3本のまっすぐに伸びた金色のパイプだけで、それよりは近くにあるはるかに大きな傷ついた原子炉建屋の方が圧倒的に大きな存在感を持っています。
強烈な印象を与えるはずのものは目に見えない地下で形を作っているのです。
それは深さは約30メートル、長さ約1,600メートルに及ぶ地下凍土壁、目的は現在も進行中し福島第一原子力発電所の状況を危機的なものにし続けている放射能汚染水の問題の解決することです。
公式名称は『凍土方式による陸側遮水壁』、しかし凍土壁の名の方が一般的なこの計画は、サイエンスフィクションかジェームズ・ボンドが活躍する映画の中の空想の産物のようにも受け取れます。
しかし5年前に地震と津波が引き金となって発生した福島第一原発の事故により3基の原子炉がメルトダウンし、その原子炉建屋の中に容赦なく流れ込む大量の地下水の流れ込みを遮断することを目的としたこの野心的である一方、批判も多いこの計画は、今現実になろうとしています。
日本政府が350億円の費用を負担して築かれる人工永久凍土壁は、メルトダウンした3基の原子炉を含む原子炉建屋がある場所一帯を巨大な長方形のバリアを作って隔離することを目的とします。
2016年7月消費者物価は0.5%下落し、2013年2月以来最悪の下落率を記録
7月は輸出の7年間で最悪の下落に加え個人消費支出にも悪材料、アベノミクスの下不振を極める日本経済
ジャスティン・マッカリー / ガーディアン 2016年8月26日
8月26日金曜日に公表された統計数値により日本の消費者物価が7月まで5カ月連続で下落したことが明らかになり、デフレーションを終息させ世界で3番目の規模を持つ日本経済を復活させるという安部首相にさらなる一撃を加えました。
26日に公表された数値は7月に消費者物価が0.5%低下したこと告げ、6月の0.4%の減少より一層悪化し、ここ3年以上の間で消費者物価の年率換算の下落幅としては最悪の結果を記録しました。
この期待を大きく裏切る日本のデータは、アメリカ連邦準備制度理事会のジャネット・イエレン議長がアメリカ経済の好調さを受け、公定歩合の引き上げの検討に入ったことを受け日本もこれに追随するかどうかというタイミングで明らかになりました。
今回の消費者物価の月次データの下落幅は、安倍政権が2%のインフレ達成という根拠と実現の可能性の薄い目標を掲げ、本銀行が大規模な金融緩和策を打ち出した1か月前の2013年2月以来最大の下げ幅となりました。
アメリカ連邦準備制度理事会が公定歩合の引き上げに踏み切るという兆候がわずかでも見られれば、日本円の対ドルレートが下落し、ここのところの円高で海外での収益を悪化させていた日本の輸出企業に有利に働くという状況にありました。
しかし26日の朝の時点で日本円の対ドルレートは100円台半ばのまま動かず、2012年12月に自民党が選挙に勝利して安倍政権が誕生し、円安による輸出促進が一気に進んだときと比べれば、円の強さが際立つ状況となりました。
同じ26日イエレン議長はワイオミング州ジャクソンホールの世界中央銀行会議で演説しましたが、副議長のスタンレー・フィッシャー氏を始めとする複数の関係者は、同議長が近い将来アメリカの公定歩合を徐々に引き上げる準備を始めたことを示唆したものだと語りました。
しかし一部のアナリストによればイエレン議長はなおも慎重に状況を見極めようとしており、現在は公定歩合を引き上げることは可能だという程度の判断だと指摘しました。
「予想は少々過熱気味だと思います。イエレン氏はもっと実際的でバランスのよい議長のひとりだと思います。」
オレゴン州ポートランドのUSバンク・ウェルス・マネジメントの債券調査部部長のジェニファー・ヴェイル氏がこう語りました。
「私の考えではイエレン議長は今年中に公定歩合の引き上げに向けて動き出すはずですが、それは早くとも12月中になると思います。」
今日本の消費者と各企業は、安倍政権の経済政策アベノミクスに対する不満と批判を強めています。
金融緩和、財政出動(大規模な公共投資)と構造改革の『3本の矢』によるアベノミクスは安倍政権の誕生と同時に大々的な宣伝とともに開始されましたが、4年近くが過ぎた今、約束された日本経済の復活は実現されないままです。
日本の輸出は今年7月にこの7年間で最大の下落を記録しましたが、これに加えて26日に公表された個人消費支出に関する悪材料は、日本経済が不振を極めている状況にいやでも注目が集まることになるでしょう。
今年6月の英国の欧州連合離脱の決定に端を発した国際経済界の混乱の影響は日本にも及び、安倍政権は日本経済の成長を促すとして、28兆円の景気刺激策の実施を公表することになりました。
英国のEU離脱決定は、国際経済の先行きへの不安を助長し、世界中の投資家が安全な資産とされる円買いに走った結果、大幅な円高が進みました。
は、もののそばの国際金融市場で誘発される混乱は、6月に欧州連合を去ることがエイブに成長に拍車をかける28兆円の出費計画を明らかにすることを促すと提案しました。
しかし円高は、日本の輸出業者によっては、海外で得た利益を大きく目減りさせることになります。
日本銀行はアベノミクスの政策の柱のひとつである毎年80兆円に上る日本国債の買い入れを取りやめることを決定したばかりですが、26日に明らかになった個人消費支出の下落を受け、新たな金融政策の導入を図る必要が出てきました。
日銀の次回の2日間の政策委員会は、9月21日に開始される予定です。
https://www.theguardian.com/world/2016/aug/26/japans-deflationary-spiral-worsens-as-abenomics-falters
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私が暮らす仙台市は、人口減少と高齢化が進み、さらには福島第一原子力発電所の事故の影響も色濃く残る東北地方で、微増ながら人口が増え続ける場所です。
そんな中、長年仙台で商売を続けてきたものの、後継者もなくこの度廃業することになったという会社の人と話をする機会がありました。
「自民党の地方議員はよく『中央との太いパイプ』と言うことを自慢するでしょう。でも政府から地方に補助金が降りてその入札が始まると、それまでその地方では聞いたこともなかった名前の会社が次々と落札するんです。おかしいな?と思って調べると、そういう会社のほとんどが頭に『三』の字がついた旧財閥系企業か東京の大手私鉄につながっているんです。つまり『中央との太いパイプ』は、いったん降りた補助金を首都圏の大企業が吸い上げるためのものでもあったんです…」
「気がついたときにはもう手遅れでした。地方に補助金が交付されても、地元にはその半分も残らないのです。おかげで次々と地元の会社が廃業し、とうとう自分たちの番が回ってきたのです。」
アベノミクスのV2ロケットとも言うべき『28兆円の景気刺激策』も、国民に多額の借金を背負わせて調達したカネを、いったいどこに向かわせるつもりなのでしょうか?
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【 8月28日の報道写真から 】
アメリカNBCニュース 2016年8月28日
8月28日スペイン、マドリードのプールに浮かぶ女性。(写真上)
イタリア、アマトリーチェ近くの小さな町リオの倒壊した教会のがれきの中から十字架像を回収する消防士。
巨大地震によって大きな被害を受けたアマトリーチェでは、半壊などで危険な状態にある建物をブルドーザなどの重機を使って取り除く作業を行いました。
その際、調査員が立ち会って犠牲者が拡大した原因として建築基準の違反等が無かったかどうかを検証しました。(写真下・以下同じ)
イタリアを目指し、地中海対岸のリビア、サブラタを簡易ヨットで出発し、海上で救助されたナイジェリアからの難民。
この日7隻のヨットに分乗してやってきた700人がイタリアのNGOプロアクティバ・オープンアームズのメンバーによって救助され、沿岸警備隊に引き渡されされました。
スペイン、カスティーリャ=ラ・マンチャ州、シウダ・レアル県のピエドラブエナを襲う山林火災。
アメリカ、ワイオミング州グランド・テトン国立公園にあるジャクソン湖ロッジから、山々に射し染める朝日を眺める家族。麓は数週間続いている山林火災の煙に覆われていました。
巨大地震に見舞われたイタリア、アマトリーチェの避難民キャンプの外で遊ぶ少年。
http://www.nbcnews.com/slideshow/today-pictures-august-28-n639071
日本の市民権を申請する外国人は、何よりもまず『品行方正』であることを証明しなければならない
冷蔵庫の中はどうなっているか?!子供たちがどんなおもちゃで遊んでいるか?!
エコノミスト 2016年8月20日
日本の市民権を得るためには、申請する外国人は何よりもまず自分が『品行方正』であることを証明しなければなりません。
しかしこの品行方正という定義は、具体的に何を意味するのか明らかにはせず、さらには『和風』の暮らしをするように要求している訳でもありません。
しかし日本の市民権を申請した人物に対し、日本の当局の担当者は申請者の冷蔵庫の中身を確認し、さらにはその子供たちがどんなおもちゃを持っているかも確認し、その家族が充分日本人たりうるかを検証することになります。
最終的に官僚的判断が行なわれるという事は、つまりは日本国籍を取得することが困難であるという事実を証明しています。
国籍取得の手続きを所轄する法務省は、担当の係官が申請者の自宅を訪問し、隣近所の人たちから話を聞く可能性があると語っています。
その際、日本人になりたいという人々がどこか他国のパスポートを放棄しなければならない – 日本は二重国籍を許していません - ということとはまた別問題です。
日本国籍を申請するには、少なくとも10年間は日本で暮らしていたという事実が必要です。
その他に必要なのは、日本語を話せること、充分な資産を所有していること、それらは他の多くの国々とそう変わりませんが、まだ気が重い事実があります。
日本への帰化が許される人数が、なぜこれほどまでに少ないのか?という事実です。
昨年、日本政府は12,442件の申請を受けつけましたが、一連の手続きが完了するまでには18ヵ月ほどがかかります。
アメリカがほぼ730,000人の国籍取得を認可したのに対し、日本の市民権を取得できたのは9,469人でした。
しかし、この事実は一方では大部分の申請者が成功したことを示唆します、少なくとも…。
申請を認められた人の中で圧倒的多数を占めるのは韓国人、そして中国人です。
新たな日本市民はもはや出身国ではなく、日本人らしいの響きのある名前を採用しなければなりません。
ただし、国籍取得にはアメリカでは595ドル(約60,000円)、英国なら1,236ポンド(約164,000円)の手続き費用が必要なのとは対照的に、日本ではこうした費用負担はありません。
http://www.economist.com/news/asia/21705375-getting-passport-not-easy-inspectors-knock?zid=306&ah=1b164dbd43b0cb27ba0d4c3b12a5e227
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この稿とは直接関係はありませんが、26日にこんな報道がありました。
『公的年金、運用損5.2兆円=過去3番目の赤字―4~6月・GPIF
公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は26日、株安や円高で国内外の保有株の評価損が膨らみ、2016年4~6月期の運用損益が5兆2342億円の赤字になったと発表した。』( http://news.yahoo.co.jp/pickup/6212362 )
アベノミクスの唯一とも言える根拠は国内株式の株高でしたが、その相場を支えるため国民から預かっている年金掛け金をつぎ込ませ、年金機構が大損していることが明らかになりました。
これが欧米ならたちまち路上に抗議行動が溢れるでしょうが、日本のテレビ報道はこの問題を大きく取り上げようとしません。
安倍政権の 『経済政策』の乱脈ぶりを象徴するこの事実を…
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【 アレッポの子供たち : シリア内戦の戦場での生活 】《3》
アメリカNBCニュース 8月22日
現在、アレッポ市内の子どもたちの3分の1が2011年から始まった内戦発生後に生まれました。
日々繰り返される戦闘だけが、この子供たちが知っている『日常』なのです。
7月24日、反政府勢力の支配地区に対する空爆で破壊された建物のがれきの中から救い出されたものの、ぐったりした様子にうろたえ子供を抱きしめる男性。(写真上)
7月24日空爆によって一部破壊された子供病院の保育室内の赤ちゃん。(写真下・以下同じ)
7月6日プラスチック製のおもちゃの銃を持って遊ぶ少年たち。
2016年8月19日、食事の用意をする母親を見守る子供たち。
2016年8月12日、シリア民主部隊の手引きによりISISの支配地域から脱出してきた新生児を抱える母親たち。
www.nbcnews.com/slideshow/aleppo-s-children-endure-life-syrian-war-zone-n636011
労働力不足の深刻化により、今後50年で1,000万人の移民を必要とする日本経済
非常に細かな『決め事』を守る事により円滑にまわる日本人社会、外国人受け入れの妙策は?
エコノミスト 2016年8月20日
東京都内の新大久保では辺りに韓国料理のにおいが漂い、そこここではハングル語の会話が交わされています。
インド人が経営するカバブ料理の店の隣にはキムチを売るスーパーマーケットがあります。
カルカッタ生まれのイスラム教徒であるインド人の店には、イスラム教への改宗を進めるパンフレットが溢れています。
地元の不動産業者の店先には、狭苦しい東京都内のアパートの間取りについて説明させるため、中国語、ベトナム語、タイ語を話すスタッフを募集する広告が掲げられていました。
しかし新大久保のような場所は、日本にはほとんどありません。
主には経済的に豊かな国の集まりであるOECD諸国では、全人口に占める外国人の割合は平均12%ですが、日本は全人口1億2,700万人の内わずか2%と閉鎖性が高くなっています。
しかし今、日本は労働力不足という深刻な問題に直面しています。
日本企業の83%が雇用面で人材不足に陥っていますが、世界的なリクルーティング企業であるマンパワー社によれば、調査対象になった国々の中で最も高い数字でした。
そして日本企業の人材不足の問題は、今後一層悪化するものと見られています。
日本の人口は2060年までに8,700万人にまで減少すると予測されていますが、これに高齢化が重なって労働人口は7,800万人から4,400万人にまで減少すると見られます。
日本企業の政治団体である経団連やトップ飲料メーカー・サントリーの社長を務めるサントリーの社長、新浪剛史氏を始めとする著名な財界の指導者は、もっと積極的に移民を受け入れるよう長く主張してきました。
しかし日本の安倍晋三首相は、外国人の集団を受け入れる前にまず、比較的就業率の低い日本人の女性たちを労働の第一線に立たせ、それによって不足する労働力を補う事を優先させたいと語っています。
それでもなお、安倍政権は移民受け入れをある程度は促進するため2、3の対応策を採らざるを得なくなっています。
外国籍のメイドが経済特別区で働くことを許可することに合意し、それは非熟練労働者に対するビザの発給要件を緩和し、禁止に近い状況であったこれらの人々が入国しやすいように密かに制度変更を行いました。
この措置は現在フィリピン国籍の介護事業就業者の入国と就業条件の緩和につながっています。
管理当局はさらに学生と訓練生の入国ビザの取得が容易にし、彼らが薄給でもともと中国人スタッフが多く働いていたコンビニ、あるいは林業、漁業、農業、食品加工などの分野で、研究や訓練などとは名ばかりの実質的労働に就くことを黙認するようになりました。
これにより『訓練生』向けビザの滞在期間が3年から5年に延長される可能性があります。
安倍首相はかつて日本の非永住者が永住資格を取得するまでの期間を5年から3年に短縮されることを念頭に『世界で最も短期間』だと自慢したことがありますが、3年という期間は決して世界で最短ではありません。
ここでもまた違った状況が生まれつつあります。
2015年の外国人定住者の数は223万人と、20年前と比較しその数は72%増加しましたが、永住権を持たない日本滞在者の数も増加を続けています。
しかしそのゴールは総体的な意味での外国人の日本の定住ではなく、非正規雇用の外国人労働者の増加、そしてできれば外国籍の熟練労働者を増やそうというものであるようです。
日本市民になれる外国人の数はごくわずかであり、2015年の亡命保護については申請のわずか0.4%のみが認められ、その数はわずか27人というものでした。
そしてその数をもっと増やすべきであるという国内の声も、決して大きいとは言えません。
かつて出入国管理事務所の責任者を務めた、シンクタンクである一般社団法人移民政策研究所( http://jipi.or.jp/ )の坂中英徳所長は、日本は今後50年で1,000万人の移民を必要とすると考えています。
学生と訓練生ビザの濫用を無視する黙認するよりも、日本社会の下働き的な労働に従事する外国人労働者に対する明確な入国管理成算が必要だと語るのは、2018年に現在の安部首相の任期切れの後、自民党総裁の最有力候補と目される石破茂衆議院議員です。
石破氏はどれだけの人数をどのような時間枠で移民を日本社会に配置するのか、詳細な計画が必要だと語っています。
日本国内の世論は徐々に変わり始めたようです。
ウィンギャラップによる世論調査が行なわれましたが、調査の実施者自身が驚いたことに、63%の回答者が判断できないと答え、移民を歓迎するという意見が22%から15%にまで減少していました。
日本が多くの外国人を温かく迎え入れるという情景は見られそうにありません。
日本の国家主義者は、ヨーロッパ社会の幅広い層に根強くはびこる反移民運動を展開するような力は持っていません。
しかし日本は国民自体が均一性を誇りに感じています。
日本のメディアが社会問題の原因の一つとして何かあるごとに外国人を非難するようなことは無くなりましたが、差別は日本社会の中にはびこっています。
外国の入居者は午後10時を過ぎたら大きなもの音を立てないようにする、ごみはきちんと分別して(日本人以外には相当面倒な作業)集積所に出すなどのマナーを守らないため、表むき、多くの家主たちは外国人の入居を拒む傾向にあると、新大久保で不動産業を営む中国人のリー・フォン・クン氏が語りました。
他には日本を日本だけの角かとしている理由について、ヨーロッパ各地で発生しているテロ攻撃を挙げています。
1980年代、日本への移住を奨励された民族分類学上日本人とされる人々、すなわち日系ブラジル人でさえ、本当の意味で日本社会は受け入れなかったと、水野達哉氏がコミュニティに関する著作の中に記しました。
坂中氏や石破氏のような移民を積極的に受け入れるべきであると主張する人々も、日本社会に溶け込もうと思えば、日本語をきちんと話せるようにし、天皇家を敬うといった日本の文化をしっかりと身に着けるべきだと語っています。
しかし日本の経済事情は大規模な移民の受け入れを必要としています。
安倍首相は日本経済の復活を熱心に説いていますが、であれはなおさらの事この問題を避けて通る訳にはいかないのです。
http://www.economist.com/news/asia/21705376-begrudgingly-japan-beginning-accept-it-needs-more-immigrants-narrow-passage?zid=306&ah=1b164dbd43b0cb27ba0d4c3b12a5e227
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【 アレッポの子供たち : シリア内戦の戦場での生活 】《3》
アメリカNBCニュース 8月22日
現在、アレッポ市内の子どもたちの3分の1が2011年から始まった内戦発生後に生まれました。
日々繰り返される戦闘だけが、この子供たちが知っている『日常』なのです。
2016年7月25日、空爆で倒壊したがれきの中から、生き埋めになった少年を助け出そうとする『ホワイト・ヘルメット』の名で知られているシリアの民間防衛ボランティア。(写真上)
2016年6月8日アレッポ市内のアル・バヤン・クリニックの外に並べられた遺体を入れた袋を見つめる少年。遺体は反政府勢力の支配地域に対する政府軍の攻撃によって死亡した市民のもの。(写真下・以下同じ)
2016年8月14日、トラックに乗ってイスラム国(ISIS)の支配下にあったアレッポ市内の自宅に戻る子供たち。
彼らの自宅があった場所はアラブ人・クルド人の同盟によるシリア民主部隊(SDF)によって奪還されました。
2015年9月17日、シリア政府軍の攻撃により一面がれきの山と化したアルカラザ地区を、娘たちを抱いて歩く男性。
2016年8月9日、ドラム缶の脇に立つ男の子。
www.nbcnews.com/slideshow/aleppo-s-children-endure-life-syrian-war-zone-n636011