【 日本の政治機構は化石化している 】
28日の日、民主党の新しい党首が選ばれ、実質的に日本の新首相が決 まりました。
しかし、新しい首相はこの記事でドイチェ・ペレが指摘する大きな課題については、
災害復興と原子力災害については語らず、『化石化した政治機構』については旧来通り「政治家と官僚の融和」を説いています。
新首相、ということなら日本国民の一人としては、何がしかの期待を抱きたいところです。
しかし、今度の首相が国民の方を向いているのか、それとも富と権力のある方を向く人なのか、これから見極めなければなりません。
政治というものが常に私たち国民の頭の上にある以上、私たちの方も監視の手を抜くわけにはいきません。
【 日本の首相、与党党首を辞任 】
ドイチェ・ベレ(ドイツ国際放送) 8月26日
日本の菅直人首相は復興、原子力災害と円高の同じ課題に直面することになる、新たな首相に道を譲るため、与党 民主党の党首を辞任します。
「私は日本の民主党の党首として、本日辞任することを提案します。」菅直人は、金曜日与党議員に語りました。
「新しい党のリーダーが選出された後、内閣を総辞職させ、速やかに首相を辞任します。」
タカ派の元外務大臣前原誠司と現在の野田財務大臣を含め、少なくとも7人が月曜日に予定されている投票で、新 しい党首に選ばれることに意欲を示しています。
誰が勝っても、衆議院における過半数の議席のおかげで首相になることになります。彼はこの5年間で5番目の首相ということになりますが、前任者たちよりも長くその権力の座に座っていたい、と願うことでしょう。
菅首相は二つの主要な法案が通過した後、辞任すると述べていました。
一つは赤字国債の発行を承認するもの、もう一つは再生可能エネルギー推進法案です。
いずれの法案も金曜日、議会を通過しました。
■ 私は最善を尽くした
金曜日に、彼は戦後最悪の危機をリードした任期を振り返りました。
そして「厳しい環境のもとでやるべきことはやった。」と語り、彼は政治家としての原子力関連の問題に取り組み、『原子力発電所に依存しない社会』を追求し続けるだろうと付け加えました。
菅首相の支持者は、原子力エネルギーを彼が拒否したことと再生可能エネルギーの促進を訴えたことが、彼が彼自 身の政党と影響力を持つ人々から支持を失った理由である、と語ります。
彼は当初、政府が地震と原子力災害の終息について、一定の目途が立った時点で辞任するといっていましたが、一 部の人々はこれを脅威と受け取りました。
それは日本には解決するべき問題が山のようにあるため、菅が首相の座にとどまり続ける時間は長くならざるを得ない、という理由からでした。
福島の制御不能に陥っている原子力発電所はいまだ機能が回復せず、空気や水が汚染され続けており、状況を改善 するには数年がかかるでしょう。
地震後数ヶ月を経た今も、10万 人は困難な条件の下、一時的な緊急宿泊施設に暮らしています。
最後には管首相は彼自身の党内でも、議会でも、そして国民の間でも、すべてにおいて支持を失っていたので、辞任せざるを得ませんでした。
一時は日本で最も人気のあった政治家も、その支持率は20% 以下に低下していたのです。
しかし、彼の問題は3月に襲ったトリプル災害で始まった訳ではありませんでした。
地震の前から、献金スキャンダル、不人気な税制改革と相次ぐ閣僚の辞任問題から、彼の人気は急落していましたし、彼の辞任を求める声は大きくなっていました。
■ 成果は無かったが、透明性はある
3月11日 に、菅首相は危機管理責任者に推したてられましたが、間もなく災害への対応を誤ったとして、辞任を求める批判にさらされました。
被災地への救援は遅れに遅れるし、言った事に対し行動が伴わない、と効果的対応がとれない罪を問われる事になりました。
自分は一般大衆の一人である、と考える菅首相。彼の政治の透明性に関する主張、そして福島第一原発を管理する東京電力からもたらされた情報を、すべて日本の国民の前に公開するやり方については一定の評価を得ています。
■化石化している日本の政治機構
公民権活動家としてスタートした管首相の経歴は、日本の政治家とビジネスエリートとは異なったものですが、こ れまで日本で高い地位にいる人々たびたび苛立たせてきました。こうした特徴は人々の中にあって友人を作る際には有利に働きますが、同時に敵を作ることにもなりました。かつての学生活動家は、小さな環境 活動グループで彼の政治キャリアをスタートし、1996年には厚生大臣になり、彼自身がかつて政府が関与した汚染された血液製剤の問題を明らかにすることにより、市民の権利の擁護者としての名声を確立しました。
昨年9月に菅氏は首相に就任しましたが、彼は根本的に日本を変えたいという高い理想を持っていました。
福島の危機の後、彼は原子力ロビーの影響力を減らすために最善を尽くし、再生可能エネルギーに重点を置く計画を作成しました。
彼のこの計画は、資源的に非常に貧しいことから原子力発電への依存度が高い状況についてのものでした。福島第一原発の事故を起こした東京電 力を厳しく非難しつつ、この『原子力の巨人』ともいうべき東京電力の国有化すら視野に入れた野心的なものでした。
しかし、独自の原子力監視機関を設立するという彼の提案は、多くの経験の長い政治家の間で不人気だったのです。
日本を変革するためには、誰がそれをやるにも信じられないほどの力や強力な支援を必要とします。結局のとこ ろ、菅氏はそのどちらも持ってはいませんでした。
彼はあまりにも多くの敵を作り、日本の大衆の中で支持を失い、そして日本の化石化した政治機構を打破することができませんでした。
彼の後継者は、戦後最大の災害復興を監督し、チェルノブイリ以来、世界最悪 の原子力危機を解決するという同じ課題に取り組まなければなりませんし、この国の化石化した政治機構と戦う必要があります。
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