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【 守るべきは米国議会における自分の誓約、日本の平和主義ではなく 】《後篇》ECO

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なぜ安倍首相はここに来て、集団安全保障関連法案の『対中国』性格を明言するようになったのか
日米安保条約の必要性を理解するのに30年かかった日本人は、集団的自衛権の必要性を理解するのに30年かかる?
憲法第9条は世界中に地獄を作りだした世界大戦を二度と繰り返すまいと誓った、時代の精神が編んだもの

エコノミスト 7月11日

エコノミスト7月11日
安全保障関連法案を巡る議論の多くは、多くの日本人が長年大切にしてきた憲法第9条に関わるものです。
しかし安倍氏は憲法第9条を犯した最初の首相という訳ではなく、解釈の変更に基づく有名無実化は長い間繰り返されてきました。
憲法第9条は日本は陸軍、海軍、空軍、そのいずれも持つことはできないと定めていますが、日本は1950年代からそのすべてを持っています。
日本は実質的な国軍を『自衛隊』と名づけることによって、憲法による禁止をうまくかわしています。
そして同盟国が攻撃された場合を想定に入れることで、『集団的』自衛権の行使を可能にするというアイデアを最初に提案したのは、安倍首相の前任者である民主党の野田佳彦首相でした。

▽ これは『軍隊』ではありません、これは『自衛隊』です

安倍首相は日本が『普通の国』として、国力相応の軍事力を持つことを切望しています。
しかし多くの国民にそれが必要だと納得させられずに来ました。
そして日本政府は、政府見解を支持しているのはごく少数の学者に過ぎないという事を思い知らされました。

集団的自衛権05
一方、反対勢力はここぞとばかりに批判を強めています。
この法律の制定に反対する学界の関係者は、普段は安倍首相を支持している学者も含め、9,000人の学識経験者の支持を集めました。
この動きは逆襲を呼び、集団安全保障関連法案は憲法に違反していると発言した長谷部氏は、かつては氏を尊敬していた自民党議員たちから攻撃されることになりました。

また自民党本部で6月に開催された勉強会で、一般国民が集団安全保障関連法案に理解を示さないことについて、責任はメディアにあると別の攻撃を始めました。
一部の自民党議員は、集団安全保障関連法案に否定的な報道を圧殺するために、広告主に圧力をかけるべきだと発言したのです。
安倍首相はこうした発言には距離を置いています。

安倍首相が日本国民に『集団的自衛権』を行使するために必要な、集団安全保障関連法案を売り込むことになぜ苦労しているのか、その理由の一つは想定される具体的な事例の説明を避けている点にあります。
安倍首相が集団安全保障関連法案の成立にこだわる理由の筆頭に挙げられれば、中国の怒りを買うことは避けられません。
安倍首相は中国の代わりにイランを登場させ、日本が原油を輸入する際の最重要通過地点であるホルムズ海峡の封鎖を防ぐため、同盟国とともに軍事行動を起こす必要性について説明しました。

戦争させない
集団安全保障関連法案を成立させるための取り組みについてエコノミスト誌の取材を受けた安倍首相は、祖父である岸信介元首相が1960年当時日米安全保障条約を締結して辞任に追い込まれた後、数十年を経てやっと日本国民が同条約の必要性を認識したように、一般国民が『集団的自衛権』の必要性を受け入れるまでには25年~30年かかるかもしれないと語りました。

しかしこの問題にこだわればこだわる程、本来もっと緊急性が高くかつ重要な政治的課題であるはずの日本経済の改革のための求心力が失われていくことになります。
安倍首相は参議院での支持を確実にするため、右派の野党と協議を行いました。
仮に参議院でこれらの法案が火付けされても、再び衆議院において3分の2の大多数の賛成を得ることができれば、集団安全保障関連法案は9月には成立することになります。
自民党が連立パートナーである公明党に協力させられれば、それは可能です。

今国会の会期の異例の長さが、その事の助けになります。
審議のボイコットや講義などにより議事の進興が滞る場面もありましたが、国会は6月22日、政府はこの夏いっぱい会期を延長しました。

安部NYT
安倍首相はここまで中国の反応が抑えたものであることに意を強くしているのかもしれません。
日中関係は時に非難の応酬を繰り返す緊張関係に陥ることがあります。
中国側は国営メディアが日本の『軍国主義の復活』について従来と同じ警告を発しはしましたが、政府そのものはここ数か月、緊張関係を作りだすような動きは見せていません。

長い間安倍政権との接触を避けてきた中国政府はここに来て、日中間が『叩き合い』の関係に陥らないよう、むしろ進んで首脳会談を開催しようという姿勢を垣間見せるようになりました。

〈 完 〉

http://www.economist.com/news/asia/21657432-pacifist-nation-inches-closer-taking-responsibility-its-own-security-gloves?zid=306&ah=1b164dbd43b0cb27ba0d4c3b12a5e227
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私は日本国憲法、特に憲法第9条は、第二次世界大戦という地獄の時代を生き残った人々が、二度とこうした地獄を出現させないために、いわば『理想国家』の建設されることを願って起草されたものだと考えています。
その地獄は日本人も原爆、大空襲、沖縄戦、玉砕戦、特攻、満州国脱出など、数限りなく経験されられたはずです。

ガダルカナルの戦死体
それをアメリカに『押しつけられた』などと放言するのは想像力の欠如の典型例であり、何より第二次世界大戦(太平洋戦争)で、せっかくこの世に生を享けながら、苦しみと絶望の中で殺されて行った数千万人の人々に対する冒涜だと思っています。

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【 戦争が人々の人生を、どん底に突き落とした 】

アメリカNBCニュース 7月26日
(掲載されている写真をクリックして大きな画像をご覧ください)

DAY02
ハンガリーのアソットキロムで、シートを被って雨をしのぐシリアからの難民の家族。
ハンガリーはEU諸国の中でビザ・フリーとなっており、豊かな西欧社会へ脱出するためのいわば回廊となっています。(写真上)

ガザ地区のベイトラヒヤ地区で遊具で遊ぶ子供たち。
背景の廃墟となった街並みは、昨夏のイスラエルの50日間に渡る侵攻によって破壊されたもの。(写真下・以下同じ)
DAY01
トルコの首都イスタンブールで平和のためのデモ行進が禁止されたたために、『平和』と書かれたプラカードを掲げて座りこむ市民。
7月20日にイスラム国(ISIS)とのつながりがある20歳の男の自爆テロにより、32名が殺害された事件をきっかけに、トルコ国内では暴力の応酬が連鎖的に拡大しています。
DAY03
7月19日、アフガニスタンの首都カブールから北西約200㎞にあるバーミヤンの洞窟住居から外を見やるハザラ族の人々。これらの洞窟はすべて人工のもので、タリバンが仏像彫刻などを破壊した後、戦争で家を失い、他にどこにも行くあての無い貧しい人々の住居になっています。
day04
DAY05
http://www.nbcnews.com/news/world/afghan-families-find-refuge-former-buddah-caves-n399451

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