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【 戦前の亡霊たちの復活 : 物言わぬ羊であるべき日本国民、監視されることを許さない日本政府の官僚 】《後篇》

読了までの目安時間:約 8分

安倍首相の構造改革は見た眼は立派でも、本腰を入れて取り組んでいるものはほとんど無い
構造改革は安倍首相にとってはワイドショー、真に望むものは戦前日本の『国体』の復活
福島第一原発の事故対応を厳しく批判した、原子力産業界と官僚の癒着ネットワークの司令塔とは?

エコノミスト 1月10日

Japan
マーフィー教授は、長い間日本を支配してきたその統治機構に共通する体質をも批判しています。

1930年代前半から『総力戦遂行』のため、国内にあるものすべてを徴発して資源の集中を行ったのは『革新官僚』主導体制でした。
そしてそれと同じ官僚主導システムが、1945年以降今度は日本の奇跡的復活と高度成長を成し遂げるため『戦時体制』で機能したのです。
戦前の体制の体質をそのまま戦後も継続させる上で、戦後政治家の中で軍国主義日本とのつながりが最も強く疑われていた岸信介氏以上に、そのことに貢献した人物はいませんでした。

彼は中国東北部で日本の傀儡国を統治していた満州国の高官を務め、その後大日本帝国の商工大臣として太平洋戦争の軍需品のすべてを取り仕切っていました。

彼は連合国の裁判により戦争犯罪人として短期間巣鴨拘置所に収容されていましたが、やがて出所して頭角を現し、保守合同により自由民主党の初代幹事長に就任、やがて首相に登りつめました。

大東亜共栄圏02
自民党は、共産党勢力の台頭を強く警戒するアメリカの黙認の下、権力の座に就き、以来政権の座から降りたのはたったの2回に過ぎません。

早くから権力の座に返り咲いた岸氏は軍国主義と高圧的政治というその両翼をもぎ取られた上で、左翼勢力を権力の座に近づけないことを条件に、アメリカの保護下での日本の運営を任されました。

以来日本の本質はさほど変わってはいません。

2009年、自民党に大勝して政権を握った日本の民主党は、アメリカ政府に対し平等な立場からの同盟関係の見直しを求めました。
これに対するバラク・オバマ政権の反応は、民主党が出来るだけ早く権力の座から滑り落ちるよう、あらゆる手立てを尽くすというものだったのです。

もうひとつの日本社会固有の体質、それは官僚が陰謀を巡らせたりすることを政治的に監視するための、中心となる機関機構が存在しないという事です。
これまで設立された数多くの委員会等も、そのほとんどは形式的なものでしかありません。

事故調査委員会06
こうした機関機構の欠如は1930年代、軍国主義者である軍人や官僚が日本を破滅の淵に追いやるのを許してしまいました。

最近の例では、数十年に渡る一党支配の間、汚辱にまみれた原子力産業界と官僚たちとのネットワークの中心にあったのが自民党でした。
そして、日本国内各所で活断層の上に原子力発電所を建設するという、本来なら決してするべきではない政策を推進してきた自民党が2012年の選挙で政権の座に復帰すると、民主党政権の福島第一原子力発電所の事故対応のまずさを徹底的に攻撃したのです。

安倍政権は現在、いくつかの景気づけ的な経済政策の実施を約束しています。
これはほんとうにこれまでとは明らかに一線を画する、革新的なものなのでしょうか?

安倍首相の根本的な構造改革は見た眼は立派でも、本腰を入れて取り組んでいるものはほとんどありません。
実情は、マーフィー教授が指摘していますが、構造改革は安倍首相にとってワイドショーでしかありません。

安倍首相が本当に危機感を持っているのは、日本の精神性の欠如についてです。
台頭する中国に侮られることなど、安倍首相にとって耐えられる事ではないのです。

尖閣・日中艦船
安倍首相は戦前の日本の『国体』に限りないノスタルジーを感じており、その復活を切望しています。
安倍首相は日本が国家としての誇りを取り戻すために、戦前の日本人なら誰もが抱いていた概念 - 神聖犯すべからざる天皇制の復活を願っています。

しかしその一方、当然ですが国体を再建する手始めとして隣国と戦争することを望んでいる訳ではありません、

安倍首相は偶然ながら岸信介元首相の孫にあたりますが、今は過去の亡霊を再びこの国の中心に持ってくるようなことをしていてよい場合ではないのです。

日本は地質学上地震が多発する国土の地震活断層が存在する場所に原子力発電所を建設したことにより、3.11の自然災害の被害を一層大きなものにしてしまいました。
そして今、中国、韓国北朝鮮と隣り合っているという地政学上変えようの無い事実が、再び日本を不安定な立場に追いやろうとしています。

〈 完 〉

http://www.economist.com/news/books-and-arts/21638094-despite-shifts-past-century-and-half-japan-still-trapped-its-past?zid=306&ah=1b164dbd43b0cb27ba0d4c3b12a5e227
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ここに下手なことを書いて本文の印象を薄めたくはない、と思えるほどの記事です。
歴史の教科書には決して書かれることが無い、迫真の事実がここにはあります。
訳していて、ここまで『書ける』メディアは日本には無い、そう痛感しました。

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【 報道写真が伝えた2014年の宇宙 】《4》

アメリカNBCニュース 12月30日
(掲載されている写真をクリックして大きな画像をご覧ください)

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宇宙を題材にしている写真家のアンリ・ルオマが9月12日に撮影した、フィンランドのコテージの上に広がるオーロラの写真。
オーロラは太陽が太陽風の倍のスピードでプラズマを放出するコロナ質量放出によって起きる発光現象です。(写真上)

12月14日国際宇宙ステーションのソーシャルメディアに掲載された、メキシコ湾に沈む夕陽の写真。
宇宙ステーションとその乗組員は地上約350キロの軌道上を毎時約28,000キロのスピードで周回しています。
地球を一周する時間は約92分のため、乗組員は毎日16回の日の出日の入りを経験することになるのです。(写真下・以下同じ)
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8月3日に国際宇宙ステーションからドイツの宇宙飛行士アレキサンダー・ガーストがツイートした、南アメリカ、アンデス山脈の上の雲の写真。
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このカラフルな画像は、地球から3,000光年の場所で発光するたまご星雲です。11月24日に公開されたこの写真は、ハッブル宇宙望遠鏡が太陽に似たこの星の劇的な瞬間をとらえたものです。
たまご星雲(別名RAFGL 2688)は現在惑星が形作られつつある星雲で、超新星爆発直後の熱い残骸が周囲のガスやちりの雲を照らし出し、このように見えるのです。
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8月18日に国際宇宙ステーションの外で作業をしながら、手を振るロシア人宇宙飛行士アレキサンダー・スクボルソフ。
5時間11分に及ぶ船外作業で、彼と同僚のオレーグ・アルテミエフは、小さな科学衛星を軌道上に乗せ、併せて船外設備の交換を行いました。
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8月10日カナリア諸島テネリフに天体物理学会の施設の向こうに現れたスーパームーン。
2014年のこの日、月が地球に最も近づきました。
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