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【福島の事故後、変わるドイツと再生可能エネルギー〈前編〉】驚くべきは、国内で悲惨な原子力災害が発生したにもかかわらず、何ら決断らしい決断をせず、ひたすら模様眺めをしている日本という国

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[ 福島の事故後、変わるドイツと再生可能エネルギー〈前編〉]

ロイター John C.K. Daly / アラブ・ニュース(英語版)2011年9月9日


3月11日の巨大地震とそれに続く巨大津波によって、日本の福島第一原子力発電所が破壊された様子が大きく取り上げられ、世界中の原子力ムラの実態が少しずつ明らかになってきました。


原子力発電にかかわってきた国々は、現在の契約が一時停止されるか、もっと悪ければ、取りやめになった場合、何十億という金額を失う立場の原子力関連企業の、方針の継続を要求する容赦無い集中攻撃にさらされています。


ヨーロッパでは『ここ(福島第一原子力発電所)までの事故は起きるはずがない』という原子力産業側の強い主張にも関わらず、イタリアは原子炉の建設計画を中止、ドイツの連邦議会ではつい最近、国内の17の原子力発電所のすべてを閉鎖することを決議しました。
7か所の原子力発電所は直ちに閉鎖、残りは2022年までに廃棄されます。


▼ 他の選択肢とは?


年度初めからの変化の動きは、福島第一原子力発電所の崩壊によって加速、ドイツ・ライフライン協会(BDEW)が発表した声明では、1月以降、国の送電網に送り込まれた再生可能エネルギーによる発電電力は、初めて20パーセントを突破しました。
昨年、ドイツの再生可能エネルギーは総需要の18.3% を供給しています。
福島の事故の後、ドイツのメルケル首相は、彼女の政府の目標は、2022年までに再生可能エネルギー源からの電力供給を、総発電量の35パーセントまで高めることである、と述べています。
ドイツの総エネルギー消費量は、2010年レベルで毎時2,755億キロワットで安定していますが、2011年の上半期には風力発電、バイオマス、水力発電、太陽光発電、そして廃棄物焼却からのエネルギー供給量は、毎時573億キロワットまで上昇しました。


現在のドイツで最も重要な再生可能エネルギーである風力発電は、毎時207億キロワットに増加しました。
その他のエネルギー源ではバイオマスが5.6%、太陽光発電3.5%、水力発電はやや控えめの3.3%の貢献をしています。


ドイツの新エネルギー政策は、『遅くとも2020年 末までには再生可能エネルギーの割合を、国内総発電量の現在の倍の35パーセント以上にする』ことを明記した再生可能エネルギー法の改正によって、主に洋上ウィンド・ファーム( https://kobajun.chips.jp/?p=817 をご参照絵ください)の整備を進めていくことを決めています。
これらの数字はまだまだ規模の小さいものであり、莫大な量の電力供給を約束はしませんが、簡潔な真実を表しています。


世界で最も先進的な国の一つは、1969年に初めて稼働し、国家の電力消費の23%を供給してきた原子力エネルギーの存在を見直し、無意味ではない選択 – 原子力発電の放棄を決定しました。


しかしもっと驚くべきは、国内で悲惨な原子力災害が発生したにもかかわらず、何ら決断らしい決断をせず、ひたすら模様眺めをしている日本という国についてです。(つづく)

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今日は組み合わせた結果とはいえ、ものすごく長くなってしまいました。
すみません。

記事の方はニュースソースがアラブニュースという事で、驚かれた方もいらっしゃるかもしれませんが、発信元はサウジアラビアです。
といっても、記事はロイター発なので、実際にはイギリスの通信社の特派員が書いています。記者の署名を見ても英語圏の名前です。
これまで、アメリカ、イギリス、ドイツといった先進国の記事をお送りしてきましたが、『世界がどう見ているか?』という意味では第三世界の『目』も無視できないでしょう。
産油国であるサウジアラビアが『脱輸入石油』のドイツについて、肯定的に伝えているのも面白いところです。

後半のビデオの解説が長くなってしまったため、記事は今日も前編・後編に分けさせていただきました。
出し惜しみをしている訳ではありませんよ。

でもビデオの農民の方の例にある、スマートグリッドを農業に組み合わせて経営の健全化を図っている点、日本の農業経営の参考にはならないでしょうか?
とにかく発電を人々の手元で行う事で、様々な可能性が生まれてくるようです。

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【 スマートグリッド・アイランドで穏やかに暮らす人々 】
シーメンス企業ビデオ

ザムセー・エネルギーアカデミー総裁ゼーレン・ヘルマンセン
「島、という事情から、他と切り離した開発が必要でした。そのことは、島で暮らす人々の考えに近い物でした。」

カイ・アレクサンダーソン(年金生活者)
「我が家の屋根に上がっているソーラーパネルは、このサムゼーでも初期のものです。すべては私がグリーンハウス(エコハウス)を建設した時から始まりました。
温水パイプが内蔵されています。屋根の上には温水タンクが設置されています。夏の間はシャワーのためのお湯を沸かす必要はありません。なぜって、太陽光は極めてパワフルだからです。
だからこんな独り言が出てきます - 私が家を建てたとき、知恵をつかさどる天使がソーラーシステムを与えてくれたのだ、とね。」
「私はもう若くありません、もうすぐ81歳になります。私はこの通りの先で生まれたんですよ。」

ザムセー・エネルギーアカデミー総裁ゼーレン・ヘルマンセン
「この島は長い間耕作されてきました。
人々は種をまき、そして作物を育て、木の枝を切り、何もかもここで行い、そして丘の上に葬られてきました。
そのため、この島の風景は文明が始まって以来の、人々の暮らしの蓄積でもあります。
風力発電開発について語るとき、誰もがそのことにかかわることが大切だと思っています。
開発に直接かかわるごく少数の人とだけ、物事を進めてはいけません。
なぜなら、近隣の人々にこう尋ねられるかもしれません、
「どうして私たちはタービンを眺めるだけで、自分のものにはならないのだ?」と。
だから私たちはこのように、農民たちと話し合いをしたのです。
『もしあなた方自身も風力発電設備が欲しいなら、風力タービン周辺の土地をいくらか借りる必要があります。そして近隣の人々を共同所有者に勧誘する必要があります。』
地方の人々の利便性を増すためには、それなりの時間がかかります。
私たちはどんな変化を望むのか、話し合わなければなりませんでした。
将来にどんなビジョンを持っているのか、何を担っていくことができるのか。」

ヨルゲン・トランベルク(農業)
「私の名前はヨルゲン・トランベルク、サムゼーの牧場で150頭の牛を飼っています。
私は農場の裏に風力タービンを持っています。そして洋上風力タービンを共同所有しています。
ドイツの本土には太陽電池設備を所有しています。
再生可能エネルギー・アイランド・プロジェクトに参加していますが、いまや農民としての常識のひとつになりました。
あまった藁は地域の暖房計画に売っています。そして、風力発電施設を設備できる土地も余っています。
風力タービンは、トラクターや自動車と同じように継続していくべき技術であり、電気を売るにしても買うにしても、全く問題なく農業と両立しています。
『前向きに考えよう』サムゼーでは、それはスローガンに終わることなく、成し遂げられています。
「技術はすでにそこにあります。
あとは行動するだけなのです。」







 

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