【 日本のためでなく国民のためでなく、自分たちの政治的地位を強化するため、沖縄を犠牲として差し出した安倍政権 】《前篇》

辺野古基地建設 – 沖縄県民の心情を思えば「GO!」の結論を出せなかった歴代政権、安倍政権はためらうことなく「推進!」
自分の権力基盤を強化するため、『取引材料』として沖縄を犠牲にしようと考えている安倍首相

マーティン・ファクラー / ニューヨークタイムズ 7月3日

安部沖縄式典02
沖縄本島の沿岸に沿って青く澄んだ海が広がる中に、オレンジ色のブイが浮き沈みしているのが見えます。
ブイは米国海兵隊がこの20年間建設を構想してきた、新しい滑走路の場所を区切る目印です。
しかしその建設計画は沖縄県民の激しい反対に直面し、決定権を持つ東京にいる日本政府の政治家たちは、歴代この問題に結論を出せずに来ました。

しかし安倍政権が誕生したことにより、基地の建設計画は前進を始めました。
準備が整っていようがいまいが、安倍首相は一にも二にも日本がアメリカの最も重要な同盟国であることを証明し、その立場を確立することを目指しています。
安倍首相が掲げる日本を『普通の国』にするというビジョン、すなわちもはや平和主義に基づく制約に縛られることもなく、日本が第二次世界大戦(太平洋戦争)中に犯した数々の非人道行為を振り返ることもしない、その方針の一環です。

基地の正面ゲート近くで続けられる抗議行動、そして6月の沖縄戦終了70周年のため訪れた安倍首相に浴びせられた『戦争屋!』という罵声こそは、安倍首相が今直面している現実に光を当てるものです。

沖縄02
日本を第二次世界大戦(太平洋戦争)の惨禍に引きずり込んだ軍国主義につながるものについては、一般市民は何十年もの間それを受け付けようとしませんでした。

沖縄県民の中にくすぶる反基地感情は多数のアメリカ軍兵士の駐留に伴う犯罪事件の多発というこれまでの問題に加え、豊かなサンゴ礁を始めとする手つかずの自然が残る場所に新たな基地を建設することによる環境破壊につい手の新たな懸念が加わり、一層強いものになりました。
これに加えて、安倍首相が沖縄県民を犠牲にして基地建設の推進をアメリカ政府に『贈る』ことにより、自分自身の政治的立場を強化するという姿勢が、沖縄県民の怒りの火に油を注ぐ結果となりました。

安倍首相はタカ派右翼の指導者としていくつかの大きな政治的挑戦を自らに課していますが、そのひとつが日本を国家権力主義社会に変えること=『国体』を復活再生させることであり、その動きを活発化させています。
しかし今回の基地問題は、その姿勢との国内対立を大きくしました。

沖縄キャンプシュワブ
2年半前の首相就任以来、安倍氏は日本のめざましい景気回復に力点を置いた公約を掲げたことに加え、最大野党が自壊を繰り返した事にも助けられ、高い政権支持率を謳歌し、思い通りの政権運営を行ってきました。
しかし安倍首相が経済問題ではなく、長年の政治的宿願に集中し始めるとともに、安倍政権への抵抗は沖縄県内だけではなく、日本中で頭をもたげ始めました。

自民党・公明党の連立政権は衆参両院の議席の多数をしっかりと押さえていますが、世論調査の結果は現政権を支持するという人々に代わり、現政権が進めようとしている集団的自衛権の行使を可能にする『重要法案』には反対するという人々が多数派になりました。
並行する形で安倍政権の支持率も下がり続けています。

日本の軍事力の行使を厳しく制限する日本国憲法の制約の大部分を知りはらってしまおうとしている安倍政権に対し、6月には東京都内で3万人規模の抗議行動が行なわれましたが、市民による抵抗運動は日に日に強くなり続けています。

政治評論家は法案が議会で可決されることはほぼ確かであると語っていますが、安倍首相は世論を説き伏せ、最終的に今回の議決が『強行された』という印象を避けるため、9月まで3ヵ月以上という、戦後最長となる会期延長を行いました。

cartoon Abe
基地建設に積極姿勢で臨む安倍首相の計画の中心にあるのは、沖縄県内に12カ所以上ある米軍基地のうち、本島南部の宜野湾市の中心部の人口稠密地帯にありながら、航空機の離着陸頻度が極めて高い普天間基地を、北部の人口の少ない辺野古沖に移転させるという20年来のアメリカ政府、日本政府間の合意を実現させることです。

この数か月、安倍首相はこれまでの政権が進めることが出来なかった基地建設を推進するという無言の意思表示を、辺野古沖の海底調査を行うとして、滑走路建設予定海域をオレンジ色のブイで区切る作業という形で行いました。
その動きは沖縄県民の怒りを一層かきたて、彼らをより急進的にしてしまうという現実を安倍首相に突きつける結果となりました。

「安倍首相は自身の宿願を実現させるため、アメリカ政府との取引材料として沖縄を利用したいと考えています。」
国際関係論を専門にする琉球大学の我部政明教授がこう語り、日本を戦後の平和主義体制から脱却させる取り組みをアメリカ政府が支持する姿勢を明らかにすることで、安倍首相が国民一般の支持を取り付けやすい環境を構築するつもりであることを指摘しました。
「問題は沖縄自身は、そうした取引の場の切り札になろうとは考えていない点にあります。」
我部政明教授がこう語りました。
「そして沖縄は今、日本の他の都道府県が経験したことの無いやり方でその意思を表明しているのです。」

沖縄04
日本の他の場所における安倍政権に対する反対運動が組織力に欠けるがゆえに政治的に効果を発揮できずにいるのに対し、沖縄における反安倍の立場の人々は一人の政治家の下に結集することが出来ました。
翁長雄志、新しい沖縄県知事です。
翁長知事は安倍首相が率いる自民党の沖縄県連の最高責任者でしたが、基地問題をきっかけに古巣と決別することになりました。

昨年12月、安倍政権が後押しする基地建設容認派の前知事を破って当選した翁長知事は、法的であれ倫理的であれ知事として集め得るいかなる力を結集してでも、基地建設を阻止すると誓いました。

〈 後篇に続く 〉

http://www.nytimes.com/2015/07/05/world/asia/shinzo-abe-faces-growing-wrath-of-okinawans-over-us-base.html?ref=topics&_r=0
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【 考えていたより大きく、そして冷たい? : 冥王星の真の姿は?】

アラン・ボイル / アメリカNBCニュース 7月13日

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冥王星への観測宇宙船『ニューホライズン』の最接近まであと一日の時点で、科学者はこの準惑星がこれまで考えられていたほど小さくは無いとの報告を行いました。
冥王星は、海王星(ネプチューン)を超える太陽系で最も大きな星であることがすでに解っています。

『ニューホライズン』の観測結果は冥王星の直径は約2,370㎞(誤差20㎞)です。
その大きさは2003年に発見され、2006年に冥王星とともに準惑星に分類されたエリスは、当時冥王星よりも大きいと考えられていましたが、冥王星の方が約48㎞大きいことが解りました。
観測結果により現在エリスの直径は、2,326キロメートルとされています。

海王星の周囲には氷状の薄いリングの存在が確認されているものの「今回の観測結果により、太陽系外縁天体の中でどの星が一番大きいかという問題が決着したことになりました。」
主任研究員アラン・スターン氏がこう語りました。

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スターン研究員は冥王星の極地には氷状の存在が確認され、北極と南極ではその組成が異なっていると語りました。
そして冥王星の南半球の黒くなっている部分や赤道付近と比べ、極地のメタンの含有量が多いことも確認されたと語りました。
そして『ニューホライズン』は、冥王星の大気から窒素が宇宙に放出されているのを確認しました。

7月11日以降に収集されたデータを基に作成された冒頭の写真は、冥王星とその衛星のカロンはその明るさと色合いにおいて対照的なことを明かにしています。

『ニューホライズン』の観測により、冥王星最大のこの惑星の大きさが、直径1,208キロメートルであることが確認されました。
そしてもっと小さな衛星のニックスとハイドラは、直径がそれぞれ35㎞、45㎞であり、氷の星であることも解りました。

月曜日に明らかになったこの意外な事実も、翌日に予定されている最接近の序章に過ぎません。

New Horizons Probe Finds Out Pluto's Bigger (and Icier) Than We Thought
The scientists behind NASA's New Horizons mission report that dwarf planet Pluto isn't quite as dwarvish as they thought
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