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【 開始された核燃料アセンブリの取り出し作業、東京電力は危険性を否定 】

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所要時間 約 10分

何か起きれば、周辺住民には携帯電話その他で緊急警報
1~3号機の核燃料取り出し、できるかどうかはその時にならなければ解らない

ジャスティン・マッカリー(東京)、サイモン・ティズダル(福島)/ ザ・ガーディアン 2013年11月18日

4号機核燃取出 1
いかなる事故・トラブルが発生しても、放射性物質が環境中に放出されることになる、という指摘に対し、東京電力は1年以上を要する核燃料取り出し作業は安全であると主張しています。

巨大地震と巨大津波に襲われ、3基の原子炉がメルトダウンしてから2年半有余、福島第一原子力発電所の使用済み核燃料プールから燃料棒を除去する難しい仕事が開始されました。

1,331体の使用済みの、そして202体の未使用の核燃料アセンブリを取り出す作業が18日月曜日に開始されましたが、廃炉全体にかかる時間が最低でも30年と見られる中、18日月曜日に着手されたこの作業は1年以上かかる見通しです。

2011年3月、東北太平洋岸を襲った地震と津波により複数の原子炉が爆発、そしてメルトダウンを起こした福島第一原発の事故収束・廃炉作業を進めている東京電力は、今回の核燃料除去作業は廃炉の全工程の中でも特に重要な作業のひとつだと語っています。
そして4号機の原子炉建屋の最上層階から核燃料を取り出す作業によって、2011年3月以上の大事故が発生するという懸念を一蹴しました。

これに対し複数の専門家が核燃料アセンブリを含む物体同士の衝突、プール内あるいは密閉装置からの冷却水の喪失、あるいは作業中に大地震が襲うことなどにより、核燃料棒の再加熱の連鎖反応を引き起こし、大量の放射性物質する放出の危険性は解消されてはいないと警告しています。

第一大破壊
原子炉4号機は東日本大震災の発生時、定期点検のため停止しており、メルトダウンの事態は免れました。
しかし、2011年3月15日の水素爆発は原子炉建屋の壁と屋根を吹き飛ばしてしまい、さらに大きな地震が発生すれば原子炉建屋ごと倒壊してしまう危険が生まれました。
このため東京電力は原子炉建屋の側面と上部に巨大な鋼鉄製のフレームを建造して原子炉建屋の補強を行い、現在では東北太平洋沖地震と同程度の巨大地震が襲っても、倒壊することは無いと主張しています。

しかし核燃料をできるだけ早く、安全な貯蔵施設に移動させる必要性については認めました。

「爆発の後、取り組まなければならなくなった大きな課題の一つが、4号機の使用済み核燃料プールでした。もし核燃料プール内の水が蒸発して無くなってしまえば、大量の放射性物質があらゆる経路を伝って東京にまで飛散してしまいます。そのような事態は何としても避けなければなりません。」
東京電力で汚染水問題を担当する岡村課長代理は18日月曜日、ガーディアンの取材にこう語りました。

「今回の作業は大きな挑戦であり、その意味で今日は事故収束にあたっているチームは大きな成功を手にしました。」
こう語ったのは東京電力の広報を担当する一杉氏です。
「これは重要な瞬間です。原子炉の廃炉に向けて、大きな前進がありました。」

4号機核燃取出 2
一方で一杉氏は、津波が襲った際、あるいはそれに対処するための対策を取った際に損傷を受けたと見られる核燃料アセンブリが3体、使用済み核燃料プール内で確認されたと語りました。

一杉氏はさらに、爆発の際に核燃プール内に散乱したがれきについては、作業担当者はあらゆるケースに対応可能であり、がれきによって取り出し作業が危険に陥ることは無いとつけ加えました。
広瀬直己東京電力社長はね核燃料の取り出し作業が順調に滑り出しを見せたことに対し、
「私たちの作業の中で、重要な新たな段階の始まりを意味する」と語り、福島第一原発の作業担当者に対し、「独創性、努力と今回の作業を可能にした勇気」について感謝を表明しました。

東京電力は地上40メートルの高さにある核燃料プールから核燃料アセンブリを取り出し、水中で専用の密閉容器に収納する作業を行うため、特別に36名の技術者を選抜しましたが、取り出しを完了するのは2014年度の終わりになるものとみています。
取りだされた密閉容器は地上に降ろされ、離れた場所にある貯蔵施設(共用プール)にトレーラーで移送されることになります。

4号機核燃取出 4
今回用意された密閉容器は、それぞれ60~80本の燃料棒を挿入した核燃料アセンブリ22体を収納することが出来ます。
今回の作業では、使用済み核燃と比較して取り扱いが簡単な、未使用の核燃料アセンブリの取り出しに最初に着手しました。

「取り出し作業は午後3時18分から開始され、専用ラックから取り出した最初の核燃料アセンブリは午後3時57分、予定通りプール内に置かれた密閉容器に収納されました。
これも数多くの協力会社とそれぞれの作業担当者に入念な準備をしていただいたおかげです。」
東京電力は声明でこのように述べました。

しかし反原発運動に参加している人々は、毎日300トンもの汚染水が海洋中に流れ込んでいるにも関わらず、直ちに対応する事が出来ない東京電力が、事故・トラブルを起こす事無く、非常に難しい核燃料取り出し作業を完全にやりとげる能力を有するのか、疑問の声を上げています。
東京電力は高濃度汚染水を貯蔵するのに、欠陥のあるタンクを建造していた事についても、批判を浴びています。

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「危険な核燃料取り出し作業を安全に進める能力が東京電力には無い、その疑いがあり、したがって今回の核燃料取り出し作業には著しい危険がある、そういう事になります。」
反原発運動を展開するグリーンピースジャパンの、鈴木かずえさんがこう語りました。
「東京電力は貯蔵タンクからの汚染水漏れの問題も、福島第一原発から海洋中に汚染水が流れ込み続けている状況も、改善できずにいます。その東京電力が、核燃料の取り出し作業に限っては安全に作業を遂行できる、そのような見解には懸念を持たざるを得ません。」
「この作業でも東京電力が間違いを犯せば、現場の作業員は大量被ばくをしてしまい、膨大な量の放射性物質が環境中に放出されてしまいます。」

原子力規制委員会の田中俊一委員長はつい最近、今回の取り出し作業には大きなリスクがあると警告しました。特に取り出し作業中に核燃料アセンブリががれきなどが妨げになって、取り出し不能になった場合について懸念を表明しました。
「きわめて大きな危険が内在する作業です。」
田中委員長はこう語り、次のように続けました。
「ある意味、汚染水問題以上の危険がそこにはあります。」

4号機核燃取出 3
しかし東京電力は今回特別に製作された装置には、核燃料アセンブリの落下を防ぐための装置が内蔵されていると語りました。
また、少量の核燃料アセンブリが落下するような事態になっても、福島第一原発周囲の環境中に放射性物質が放出される事態にはならないと
付け加えました。

もし事故が発生した場合には、地元の行政機関が携帯電話や他の手段により、地元住民に緊急警報を送る事になっています。

4号機の核燃料プールからの燃料取り出し作業を問題を起こさず完了したとしても、東京電力の前にはさらに困難な作業が待ち受けています。
メルトダウンした3基の原子炉の溶け出した核燃料の位置と状況を特定し、それを取り出す作業です。

これらの燃料がある原子炉の中の放射線量は極めて高く、人間が入っていけるような状況にはありません。
さらにはこれほど放射線量が高い場所で、核燃料の取り出し作業を行う技術は現在のところありません。

福島第一原発上空
これらの理由から、1〜3号機の核燃料取り出し作業の着手は、早くても2020年までには始める事が出来ない。
東京電力はこのように語っています。

http://www.theguardian.com/environment/2013/nov/18/fukushima-nuclear-power-workers-spent-fuel-rod-removal
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私事で恐縮ですが、4月に母親が亡くなったのに続き、11月21日に父親が病没致しました。
病没といっても84歳の高齢で、病室でお世話していただいていた看護士さんと和やかに会話しているうち、いつの間にか事切れていたというほど穏やかな死を迎える事が出来ました。
【星の金貨】の掲載には出来るだけ影響が出ないようにしたいと考えていますが、突然の休載などの可能性があります。
その際はご容赦くださいますよう、お願い致します。

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ほんとうの「今」を知りたくて、アメリカCNN、NBC、ABC、CBS、英国BBC、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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