【 自由主義報道・中立報道機関への威嚇と攻撃、危地に立つ日本のジャーナリズム 】《前篇》

報道機関に対し個人的に介入を行い、番組内容改変の強硬な要求を行っていた安倍首相
NHKの新会長、国民の立場から行政の在り方を検証する姿勢を放棄する編集方針を宣言

マイケル・ペン / アルジャジーラ 2014年9月25日

籾井
自由主義・中立の立場を取る日本の主要な報道機関を威嚇するキャンペーンが開始されました。
日本の国政の舞台では安倍政権を支える連立与党が衆議院では全議席の3分の2、参議院では過半数の議席を抑え、立法のプロセスをほぼ完全に掌握しています。

そして日本政府の有力官僚たちは短命な政権が続いた民主党政権時代よりも、安倍政権下にいる方が、自分たちの地位と身分を始めさまざまな不安を持つ必要がありません。

さらには経団連に代表される日本の実業界の経済団体は安倍首相の盟友たちの指揮の下、与党自民党に対する多額の政治献金を復活させると宣言しました。

こうした状況を背景に、日本の自由主義並びに中立的立場を代表する報道機関を威嚇するキャンペーンが開始されたのです。

対象者リストの最上位にあったのが日本の国営放送局であるNHKでした。
安倍首相は国際的にも論争の的となっている問題のNHKの取り上げ方に、長い間不満を募らせてきました。
2001年、報道に携わる者の心を暗澹とさせる事件が起きました。
NHKは大日本帝国の軍隊が、従軍慰安婦にされた女性たちをどのように虐待したか、その歴史的事実の解明に取り組むNGOが企画したイベントを題材としたドキュメンタリー番組を制作しました。
アジア地区を中心に日本が強制的に、または事実を偽る、あるいは勧誘されるなどして、各国各地にあった売春施設に連れてこられ、日本軍兵士を相手に売春を行っていた女性たちが従軍慰安婦です。

ヒットラー安倍
この問題に直接かかわりがある国々を含め各国の学界の中心にいる歴史学者のほぼ一致した見解は、韓国、中国、フィリピンを中心に第二次世界大戦中に日本軍が占領していた各国から約200,000人もの女性が日本兵を相手に売春行為を強いられたとしています。

このドキュメンタリー番組が放送される直前、めったにないことですがNHKの上層部が番組内容の大幅な削除を要求しました。

数年後、法廷でこの時の経緯が争われ、当時自民党の官房副長官を務めていた安倍晋三氏が個人的に介入し、NHKの役員に対し番組内容を改変するよう要求していたことが明らかになりました。

▽『従軍慰安婦』問題

こうした経緯を見る限り、安倍氏が日本の首相に就任した後、NHKの会長人事に直接関与して戦争中の日本の歴史について認識を共有する人間を任命したことは、当然の結果であると考えられます。

安倍首相にとって残念だったのは、彼がNHKの会長に任命した籾井勝人氏がこうした価値観について公の場で口にしてはいけないという常識と判断力に欠ける人物であった事でした。
今年1月に行われた就任の記者会見を、籾井氏は従軍慰安婦問題に関する日本の右翼的見解を擁護する場として利用したのです。
籾井氏は従軍慰安婦について、今日の道徳に照らせば問題なのであって、第二次世界大戦中は世界中の至る場所で多くの国がこうした施設の設置と運営に関わっていたと述べました。
従って戦争中の性的暴力の問題について、日本だけがやり玉に挙げられるのは間違っていると主張しました。

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さらに籾井氏は日本の外交と領土問題に関する見解を質されると
「政府が『右』だと言っているのに、NHKが『左』だという訳にはいかない」
と答え、日本を代表する報道機関の責任者として独特の編集哲学を披露したのです。

そして籾井氏は自分の方針をNHKの組織全体に徹底させるため就任直後NHKの理事全員に辞表を書かせ、籾井氏の判断でいつでも彼らの首を切れる態勢を作ろうとしました。

これら籾井氏の一連の行動はNHK内部に留まらず、広く日本の各界の人々を憤慨させ、批判の嵐が巻き起こりました。
ここまで問題が大きくなれば、通常は辞任を迫られて当然ですが、安倍首相の『盟友』であったおかげで、籾井氏は未だにNHKの会長の座に就いています。

〈 後篇に続く 〉

http://www.aljazeera.com/indepth/features/2014/09/japanese-right-targets-liberal-media-shinzo-abe-2014924105723376178.html
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この記事の副題となっている一文、
A campaign of intimidation has been launched against Japan’s major liberal and moderate media outlets.
の中のintimidationという言葉について、SPACEARC( http://eow.alc.co.jp/ )には次のように解説しています。
Intimidation[脅し、脅迫、威嚇]脅かしによって人の意思を無視してある行為を強要したり、させなかったりする違法な行動。必ずしも暴力的な行為そのものによって脅かす必要はなく、暴力をほのめかすだけでも犯罪は成立する。

まさに現在の日本の状況を言い当てている単語だと、その選択に感心しました。
しかしこの言葉に象徴される日本の状況には暗然たる思いです。

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【 イスラム国 – トルコ-シリア国境で高まる緊張 】《1》

アメリカNBCニュース 10月21日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)

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トルコとの国境沿いにあるシリアのコバーニでは、9月中旬からイスラム国による攻撃が激化する中、クルド人たちが町の防衛に苦しんでいます。

10月21日、イスラム国との戦闘で死亡したクルド人戦闘員3人の葬儀で嘆き悲しむ人々。(写真上)

10月20日、自分たちが住んでいたシリア、コバーニで上がる爆発の噴煙をトルコ南東部のムルシットピナル村から眺めるクルド人避難民。(写真下・以下同じ)
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10月20日の戦闘で死亡したクルド人戦闘員の葬儀。
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10月20日、郊外のスルクから見たコバーニ市内の爆発。
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10月19日、スルクの南東部にある避難民キャンプの中を歩く母子。
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10月21日、たき火にあたる避難民キャンプの子供たち。
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http://www.nbcnews.com/storyline/isis-terror/tension-mounts-along-turkey-syria-border-n230796

 

カテゴリー: エッセイ | 3件のコメント
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