【 原子力発電所の全面再稼働、日本にとって本当に必要なのか 】〈前篇〉
思うようにならない地方財政、しかし再稼働には複雑な思い
故郷も自宅も奪われ避難を強いられた福島の人々、その悪夢の再来を恐れる
安倍政権の再稼働推進、市町村長や地元に対しては強力な政治的圧力
マーティン・ファクラー / ニューヨークタイムズ 3月20日
原子力発電の実施が公約した日本経済の復興の原動力と信じる日本の安倍首相は、3年前に発生した福島第一原発の事故以来すべて停止している国内の原子力発電所について、今すぐにでも再稼働させるつもりでいます。
しかしそのためには、東京から遠く離れた原子力発電所が立地する、市町村の首長の同意をとりつけなければなりません。
すべての事実は、安倍首相が各自治体の首長の同意を簡単に取り付けることが出来るだろうことを指し示しています。
日本の政治においては、地方の同意を取り付けるという事は、原発が立地する市町村長の同意を取り付けるという意味です。
これら遠隔地の市町村長のほとんどが、原発の停止により税収の途が絶たれた上に仕事の場も失われ、一度は原発関連の収入によって潤った町や村が、再び貧しい状態に追い込まれてしまったと不満を露わにしています。
1977年、瀬戸内海に面した細長い半島に建設された伊方原子力発電所が立地する伊方町長は、なにより地元の商店主たちが原子力発電所の再稼働を求めているのだと語りました。
伊方町の山下和彦町長は、原子力規制委員会が伊方原発の安全性を確認できた時点で、再稼働に同意するつもりだと、インタビューに答えました。
政治評論家はこうした地元自治体の協力的な姿勢が、現在停止中の48基の原子炉をできるだけ多く再稼働させるという安倍政権の方針を実行に移す際、最初に再稼働させる原子力発電所の中に伊方原発を含めた理由だと語っています。
伊方原発は早ければ今年の夏にも、再稼働する可能性があります。
しかしそれは伊方町住民10,700人全員が、日本全国の原子力発電所の再び本格的稼働に、もろ手を挙げて賛成しているという事を意味している訳ではありません。
多くの人々が町の中心部から北に数キロしか離れていない場所の、この町のもう一つの主要な収入源であるミカンの木が立ち並ぶ山の連なりの向こうにある伊方原発について、複雑な思いを抱いていることを認めています。
ほとんどの人はそうした思いについて公にはしませんが、原子力発電所の稼働を受け入れざるを得ないという気持ちと恐怖とが心の中でないまぜになっていることを暗に認めています。
町が原発に経済的に依存していることを認める一方、福島第一原子力発電所周辺の住民が故郷も自宅も奪われ避難を強いられたのと同じ悪夢に、自分たちも襲われる可能性がある事を恐れる気持ちも強いと語りました。
「再稼働の問題について、私たちは複雑な思いを抱いています。」
町役場に努める坂本明人氏がこう語りました。
「私たちの生活が原子力発電所の存在によって脅かされる一方、町の経済にとっては必要なのだとの認識も持っています。」
この町に存在する原子力発電所に対する複雑な思いは、日本全国の縮図といえるかもしれません。
福島第一原発の事故以降、すべての原発が停止していますが、一方ではエネルギー資源に恵まれない国土における重要な発電手段の一つが機能できないことについての懸念もあります。
安倍首相とその与党自由民主党は強い政治力を持つ日本の原子力産業界と緊密な関係を維持していますが、安価な電力を提供することにより日本の企業の採算性と雇用を守るため、数か所の原子力発電所を再稼働させることにより、日本の原子力発電の行き詰まり状態を解消すると誓っています。
この再稼働の方針に基づき、新たに組織された原子力規制委員会には、伊方原発の3基を含む国内最新の原子炉17基について、新たに設けられた安全基準に基づく審査を急ぐようにとの政治的圧力が増々強まることになったのです。
原子力発電問題に詳しい政治経済のアナリストや原子力発電関連企業の役員は、この夏の電力の最需要期に間に合うよう、今年5月か6月には最初の認可がおりるだろうと見ています。
最終的に安倍政権が再稼働を行うためには、地元の自治体の承認を得る必要があります。
政治家やアナリストは、このため地方住民がいかなる不安を抱こうとも自治体として再稼働を承認するよう、市町村長や地元に対しては強力な政治的圧力がかけられることになるだろうと語っています。
「原子力発電に関する国民的コンセンサスの欠落は、そのまま原子力発電所が立地する市町村に対し、決定に関する負担を強いることになります。」
安倍政権以前の民主党政権で経済・エネルギー戦略担当大臣を務めた古川元久氏がこう語りました。
「町は国益に関する問題をそのまま押しつけられたと感じるに違いありません。」
〈 後篇につづく 〉
http://www.nytimes.com/2014/03/21/world/asia/warily-leading-japans-nuclear-reawakening.html?_r=2
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先週末、私が勤める会社の屋上に350枚近くの太陽光パネルが運び上げられ、私の現実面での原子力発電との戦いが始まりました。
情報面での戦いであるこの【星の金貨】を始めてからすでに3年が過ぎていました。
私が考える現実面における原子力発電との戦いは、原子力発電を不要とする社会システムの構築です。
電気は必要とする場所で再生可能エネルギーで作り出す社会システムが出来上がれば、あんな莫大な金をかけて原発を建設・維持する必要は無くなるはずであり、現実的には処理不能の核廃棄物が増え続ける事もなくなります。
しかも太陽光発電システムを設備すれば、私たちが3.11で体験したようにライフラインが途絶しても、身の回りの必要な電気が無くなる事はありません。
この後大型蓄電池を設備するなどしてシステムは完成、2ヵ月後には電気を自前で作り出す会社になります。
しかし私の戦いはそこでは終わらせないつもりです。
点を面として広げていかなければなりません。
そのための準備はすでに始まっています。
これから先その成果をここでご紹介できるよう、現実面における戦いも着実に進めていきたいと考えています。