世界の経済、そして生産活動に打撃を与え続ける気候変動[ガーディアン]
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フィオーナ・ハーヴェイ ザ・ガーディアン(英国) 9月26日
地球温暖化による経済的影響は、世界で1年につき1兆2000億ドル(96兆円)以上の金額に上っています。
そして、世界的のGDPから毎年1.6%を奪い去っています。
気候変動は世界中で、すでに1年につきほぼ400,000の人々の死亡原因となっており、世界のGDPから1.6%を奪い、1兆2000億ドル以上にのぼる損害を与えていることを、新たな研究結果が明らかにしました。
気候変動による異常気象は農業生産に大きなダメージを与え、その結果発展途上国では栄養失調、貧困とそれに伴う困窮死などが蔓延している、とこの研究は伝えています。
そして化石燃料の使用による大気汚染が原因で、地球上で毎年450万人が死亡している、としています。
『気候変動に傷つく地球に関する調査 : 熱い地球の冷たい現実』と題する、331ページのこの研究は26日水曜日、公表されました。
ヨーロッパに拠点を置く非政府組織であるDARAグループと、気候変動被害フォーラムによって発表されました。
この研究は20か国の政府の依頼を受け、50人の科学者、経済学者、そして政治問題の専門家により行われました。
2030年までに気候変動によるGDPの損害は3.2%にまで拡大しますが、数少ない先進国の被害が最も大きくなる可能性があり、被害は最大11%にまで拡大する恐れがあります。
バングラデシュ首相のシェイク・ハシナが以下のように述べました。
「地球の平均気温は19世紀と比較してすでに0.7度上昇していますが、1度上昇するごとに農業生産に10%の損失が生じると言われています。
バングラデシュにとってそれは、年間約400万トンの農産物が失われることを意味します。金額に直すと約25億ドル(約2,000億円)になり、この国のGDPの2%になります。
農業生産以外の異常気象による損害も加算すると、その被害額はGDPの3.4%にまで拡大します。
このような損害が無ければ、この国の経済はもっと順調な成長をとげることができるはずなのです。」
しかし規模の大きな経済もまた、気候変動がもたらす異常気象により損害を被ることになるでしょうか?
干ばつ、洪水、あるいはさらに深刻な災害によって。
2030年にはアメリカはこうした被害により、GDPの2%の損害を被る可能性があります。
中国でも同じ時期、1兆2,000億ドル(約96兆円)の損害が発生する可能性があるのです。
これまで各国政府は気候変動は長期的な課題だと考えていましたが、ここにきてその影響はすでに現実のものになっているという認識に変わってきています。
科学者たちは北極の氷の溶解の早さに驚いていますが、今年は凍結面積が最小を記録し、このまま溶解が続けは2020年までは、夏場北極には氷が無くなる可能性がある、と予測しています。
この氷の溶解がこの夏、ヨーロッパの一部で見られた低温と曇天が続き、雨量の多かった天候に関係している、とする研究結果も発表されています。
英国ではこの6年間、このような天候不順が続いているのです。
アメリカでは今年発生した大干ばつにより食料品価格が高騰し、インドではモンスーンが引き起こした様々な被害が広範囲にわたり、農民に被害を与えました。
欧州連合の気候問題の責任者であるコニー・ヘデガーは、気候が変動してしまったことにより、異常気象が常態化していると、警告しています。
「気候変動とそれによる異常気象の多発は、遠い将来の話ではありません。」
彼女はガーディアンの取材に対し、こう回答しました。
「これまでは一回だ発生した異常気象が、現在は常態化しつつあるように見受けられます。」
かつて国連の気候変動対策協議会の事務局長を務めた、ミカエル・ザミット・クタハー
が、以下のように語りました。
「気候変動ははるか遠くにある脅威でなく、現在の危険なのか、ですって?その経済的な打撃は、すでに現実のものになっているのではありませんか。」
http://www.guardian.co.uk/environment/2012/sep/26/climate-change-damaging-global-economy
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【星の金貨】で時々気候変動に関する記事を掲載するのは、一時代前とは異なり、地球規模での「危機」が発生しやすい時代に入ってしまっているようだ、という事について皆さんと一緒に考えたいからです。
温暖化により異常気象の極端化が懸念され始めて少し経ちますが、今年はなんと言ってもアメリカの大干ばつが世界的話題になりました。
日本でも竜巻などの被害が目立ち始めていますが、幸い広範囲に農作物などが被害を受ける事はありませんでした。
これからは大規模自然災害の発生を念頭に置き、国はリスクを減らす政策を進めなければならないはずです。
ところが日本の状況はどうでしょうか?
福島第一原発の事故により、日本には耕作できない市町村が出来てしまいました。
福島第一原発の事故は終息の見通しが立たず、影響は徐々に拡大しつつあります。
その上、『地震の巣』の上の原発群が復活しようとしています。
他の先進各国は気候変動のリスクだけで済むかもしれませんが、日本だけは『地震の巣』の上、あるいは活断層の上の原発群によるリスクを抱え込む事になります。
これすべて日本の『政治』と『経済』のせいなのですが、私が声を大にして問いたいのは、日本の『政治』と『経済』は一般国民の所有物ではないのか?!ということです。
そして経世済民、経済とは文字通りには「世を經(おさ)め、民を濟(すく)う」の意味なのです。
経済は財界や世襲国会議員(例外的に河野太郎さんのような立派な方もいらっしゃいますが)たちの持ち物ではありません。
一般国民が額に汗して働けば、家族共々安心して暮らせるシステムの事なのです。
そうでない日本の方が異常だという事を、私たちは肝に銘じなければなりません。
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【アフガニスタン、山の上で暮らす人々】
アメリカNBCニュース 9月27日
AFP通信の報道によれば、人口約500万人のアフガニスタンの首都カブールでは、約2割の人々が都市部を取り囲む急峻な山の上で暮らしています。
最近やっと水道が設備されましたが、下水の方はそのまま山を流れ落ちていきます。
世界銀行によれば、アフガニスタンでは全人口の3割以上が、貧困層に属します。そして半数以上が明日にも貧困層に転落しそうな状況の中で暮らしています。