【 完全に行き詰ったアベノミクス・輸出不振に加え日本のデフレスパイラルも悪化! 】
2016年7月消費者物価は0.5%下落し、2013年2月以来最悪の下落率を記録
7月は輸出の7年間で最悪の下落に加え個人消費支出にも悪材料、アベノミクスの下不振を極める日本経済
ジャスティン・マッカリー / ガーディアン 2016年8月26日
8月26日金曜日に公表された統計数値により日本の消費者物価が7月まで5カ月連続で下落したことが明らかになり、デフレーションを終息させ世界で3番目の規模を持つ日本経済を復活させるという安部首相にさらなる一撃を加えました。
26日に公表された数値は7月に消費者物価が0.5%低下したこと告げ、6月の0.4%の減少より一層悪化し、ここ3年以上の間で消費者物価の年率換算の下落幅としては最悪の結果を記録しました。
この期待を大きく裏切る日本のデータは、アメリカ連邦準備制度理事会のジャネット・イエレン議長がアメリカ経済の好調さを受け、公定歩合の引き上げの検討に入ったことを受け日本もこれに追随するかどうかというタイミングで明らかになりました。
今回の消費者物価の月次データの下落幅は、安倍政権が2%のインフレ達成という根拠と実現の可能性の薄い目標を掲げ、本銀行が大規模な金融緩和策を打ち出した1か月前の2013年2月以来最大の下げ幅となりました。
アメリカ連邦準備制度理事会が公定歩合の引き上げに踏み切るという兆候がわずかでも見られれば、日本円の対ドルレートが下落し、ここのところの円高で海外での収益を悪化させていた日本の輸出企業に有利に働くという状況にありました。
しかし26日の朝の時点で日本円の対ドルレートは100円台半ばのまま動かず、2012年12月に自民党が選挙に勝利して安倍政権が誕生し、円安による輸出促進が一気に進んだときと比べれば、円の強さが際立つ状況となりました。
同じ26日イエレン議長はワイオミング州ジャクソンホールの世界中央銀行会議で演説しましたが、副議長のスタンレー・フィッシャー氏を始めとする複数の関係者は、同議長が近い将来アメリカの公定歩合を徐々に引き上げる準備を始めたことを示唆したものだと語りました。
しかし一部のアナリストによればイエレン議長はなおも慎重に状況を見極めようとしており、現在は公定歩合を引き上げることは可能だという程度の判断だと指摘しました。
「予想は少々過熱気味だと思います。イエレン氏はもっと実際的でバランスのよい議長のひとりだと思います。」
オレゴン州ポートランドのUSバンク・ウェルス・マネジメントの債券調査部部長のジェニファー・ヴェイル氏がこう語りました。
「私の考えではイエレン議長は今年中に公定歩合の引き上げに向けて動き出すはずですが、それは早くとも12月中になると思います。」
今日本の消費者と各企業は、安倍政権の経済政策アベノミクスに対する不満と批判を強めています。
金融緩和、財政出動(大規模な公共投資)と構造改革の『3本の矢』によるアベノミクスは安倍政権の誕生と同時に大々的な宣伝とともに開始されましたが、4年近くが過ぎた今、約束された日本経済の復活は実現されないままです。
日本の輸出は今年7月にこの7年間で最大の下落を記録しましたが、これに加えて26日に公表された個人消費支出に関する悪材料は、日本経済が不振を極めている状況にいやでも注目が集まることになるでしょう。
今年6月の英国の欧州連合離脱の決定に端を発した国際経済界の混乱の影響は日本にも及び、安倍政権は日本経済の成長を促すとして、28兆円の景気刺激策の実施を公表することになりました。
英国のEU離脱決定は、国際経済の先行きへの不安を助長し、世界中の投資家が安全な資産とされる円買いに走った結果、大幅な円高が進みました。
は、もののそばの国際金融市場で誘発される混乱は、6月に欧州連合を去ることがエイブに成長に拍車をかける28兆円の出費計画を明らかにすることを促すと提案しました。
しかし円高は、日本の輸出業者によっては、海外で得た利益を大きく目減りさせることになります。
日本銀行はアベノミクスの政策の柱のひとつである毎年80兆円に上る日本国債の買い入れを取りやめることを決定したばかりですが、26日に明らかになった個人消費支出の下落を受け、新たな金融政策の導入を図る必要が出てきました。
日銀の次回の2日間の政策委員会は、9月21日に開始される予定です。
https://www.theguardian.com/world/2016/aug/26/japans-deflationary-spiral-worsens-as-abenomics-falters
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私が暮らす仙台市は、人口減少と高齢化が進み、さらには福島第一原子力発電所の事故の影響も色濃く残る東北地方で、微増ながら人口が増え続ける場所です。
そんな中、長年仙台で商売を続けてきたものの、後継者もなくこの度廃業することになったという会社の人と話をする機会がありました。
「自民党の地方議員はよく『中央との太いパイプ』と言うことを自慢するでしょう。でも政府から地方に補助金が降りてその入札が始まると、それまでその地方では聞いたこともなかった名前の会社が次々と落札するんです。おかしいな?と思って調べると、そういう会社のほとんどが頭に『三』の字がついた旧財閥系企業か東京の大手私鉄につながっているんです。つまり『中央との太いパイプ』は、いったん降りた補助金を首都圏の大企業が吸い上げるためのものでもあったんです…」
「気がついたときにはもう手遅れでした。地方に補助金が交付されても、地元にはその半分も残らないのです。おかげで次々と地元の会社が廃業し、とうとう自分たちの番が回ってきたのです。」
アベノミクスのV2ロケットとも言うべき『28兆円の景気刺激策』も、国民に多額の借金を背負わせて調達したカネを、いったいどこに向かわせるつもりなのでしょうか?
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【 8月28日の報道写真から 】
アメリカNBCニュース 2016年8月28日
8月28日スペイン、マドリードのプールに浮かぶ女性。(写真上)
イタリア、アマトリーチェ近くの小さな町リオの倒壊した教会のがれきの中から十字架像を回収する消防士。
巨大地震によって大きな被害を受けたアマトリーチェでは、半壊などで危険な状態にある建物をブルドーザなどの重機を使って取り除く作業を行いました。
その際、調査員が立ち会って犠牲者が拡大した原因として建築基準の違反等が無かったかどうかを検証しました。(写真下・以下同じ)
イタリアを目指し、地中海対岸のリビア、サブラタを簡易ヨットで出発し、海上で救助されたナイジェリアからの難民。
この日7隻のヨットに分乗してやってきた700人がイタリアのNGOプロアクティバ・オープンアームズのメンバーによって救助され、沿岸警備隊に引き渡されされました。
スペイン、カスティーリャ=ラ・マンチャ州、シウダ・レアル県のピエドラブエナを襲う山林火災。
アメリカ、ワイオミング州グランド・テトン国立公園にあるジャクソン湖ロッジから、山々に射し染める朝日を眺める家族。麓は数週間続いている山林火災の煙に覆われていました。
巨大地震に見舞われたイタリア、アマトリーチェの避難民キャンプの外で遊ぶ少年。
http://www.nbcnews.com/slideshow/today-pictures-august-28-n639071