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パキスタン領内での米軍無人攻撃機への、イギリスの関与【 『殺人ほう助、または戦争犯罪』との主張、英国の法廷が受け入れ 】

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イアン・コバン / ザ・ガーディアン(英国) 10月23日


父親をアメリカ軍の無人攻撃機により殺害されたパキスタンの男性の弁護団は、攻撃に英国の諜報機関が関わっていることは違法であるとの告発を行いました。

イギリスの高等裁判所は、23日火曜日、パキスタン領内におけるアメリカ軍の無人攻撃機による殺害行為に、英国政府が関わっていることについて、殺人ほう助、または戦争犯罪にあたる、との見解を受け入れました。

無人攻撃機の問題については、パキスタン領内でアメリカ軍の無人攻撃機に父親を殺害された男性が、この攻撃に英国の諜報部門が関わっているのは違法だとして、英国の裁判所に対する最初の告発が行われました。

27歳のノール・ハーンは、昨年の3月、パキスタン北部のワジリスタンで、鉱山の採掘に関するトラブルについて話し合うため、地元の有力者が集まったところを、米軍の無人航空機に攻撃され、40人以上の死者が出たことについて話し、以来パキスタンの人々がびくびくしながら暮らさざるを得なくなったと語りました。


米軍の無人航空機による攻撃は、CIAが収集した情報を基に行われます。
英国政府はCIAの活動にイギリスの諜報機関であるGCHQが関わっていることを否定していますが、英国の法廷は報道機関による報道はGCHQの関与を疑わせるものである、と判断しています。

今回の訴訟は、アフガニスタン上空における英国空軍の無人攻撃機による攻撃作戦と偵察が、これまでの倍の数に増えていることを英国空軍が認めたため、開廷しました。
増派されるのは、米軍ではなく、英軍の無人航空機になる予定です。
英国空軍は自国領土内から現地に空輸する手段を持たないため、5機からなる英国にとっては初となるリーパー無人攻撃機は、アメリカ・ネバダ州にあるクリーチ空軍基地から空輸され、アフガニスタンのヘルマンド州で作成を行うことになっています。


ハーンの顧問弁護士であるマーティン・チェンバレンは、2010年の新聞記事が、GCHQが現地の諜報機関と協力し、アフガニスタンとパキスタンで軍関係者の盗聴を行い、アメリカの諜報機関に位置についての情報提供を行っていることを伝えている、と語りました。
チェルトナムに本部を置くこの情報機関は、「法を順守しながら」行われているこの活動を誇りにしている、と語りました。

こうした見解に対してチェンバレン弁護士は、CIAに情報を提供する際、GHCQはその情報が無人航空機による攻撃に使われる可能性があることを認識しており、この点においてGHCQの担当者は犯罪に深く関わっていた可能性がある、と指摘しました。
「情報提供を行うことによる、英国諜報機関の米軍無人航空機攻撃への関与は、殺人教唆、あるいは殺人ほう助にあたる可能性があります。」
同弁護士がこう語りました。
さらにはこの行為が戦争犯罪、あるいは人道に対する罪にあたる可能性すらある、と付け加えました。

チェンバレン弁護士は、GHCQの担当者は防衛に専念するか、あるいは戦闘行為の回避ができたはずにも関わらず、この事件の場合、犯罪行為に関わるべきでないという意思は感じられない、と語りました。
ハーンはペキスタン国内の法廷でも、こうした諜報活動は違法であるとの判決を求めていました。


英国調査報道事務局によれば、2004年6月から今年9月までの間、無人飛行機による攻撃で死亡したのは2,562~3,325人、この中には474~881人の一般市民が含まれ、内176人は子どもたちでした。
オバマ政権下、無人飛行機による攻撃の頻度が目立って増えています。
ロンドンにおける今回の告発は、世界自由の人権活動家による、無人航空機による攻撃に、法的に疑問を呈するための試みの一つです。

パキスタン国内では、弁護士たちと人権保護活動家たちが、それぞれ別の告訴を行っています。
訴訟の一つは、2名のCIAの元諜報員の違法な諜報活動を白日の下にさらすため、もう一つはパキスタン空軍に対し、自国領土内での米軍無人攻撃機の活動を違法とみなした上で、撃墜の措置を採るよう求めるためです。

2日間の審理において、ハーンの弁護士は、米国の無人攻撃への英国諜報部の関与について、徹底した法的な調査を行うよう求めました。

国外の弁護士であるウィリアム・ハーグは、英国の諜報機関が活動の合法性に関する検証も、また情報提供を拒否することも行わなかった、と指摘しただけでなく、法的根拠が希薄なことを承知の上でこうした活動を行ったことは『英国の国益に反する行為である』との見解を示しました。


ハーンと彼の弁護団は英国の法廷における勝訴を確信しています。
それというのも現在パキスタン領内ではいかなる国際紛争も認められず、したがって他国が自国の領土内で無人航空機による攻撃を行うことを黙認するという、パキスタン政府からの了解を得ていなかったからです。
この点について英国政府は否定も肯定もしないものと見られています。

英国の法廷は、アメリカ政府の法的立場への配慮を求められ、判決を出すことを拒む可能性もあります。
この際、無人攻撃は必要な自衛措置だと判断する可能性があります。
しかしそのためには、英国諜報部が戦闘行為に関与するための正当性、情報提供行為の正当性を立証する必要性が生じます。

英国性はハーン側の主張が「大いに議論の余地があり、配慮が必要な上に、重要な」地域において、米国とパキスタンの関係に英国がどう関与すべきか「重要な」影響を及すことになり、ひいては「著しい打撃を被る」可能性もあることを、英国政府もみとめています。

http://www.guardian.co.uk/world/2012/oct/23/uk-support-us-drones-pakistan-war-crime
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この記事をお読みになって、「やっぱり…」と思われた方も多いのではないでしょうか?
私もそうなのです。
ウサマ・ビン・ラディンを殺害後、次にアルカイダのNo.2と言われる人物が米軍の無人攻撃機によって殺害されました。
そのときに思ったのは、なぜ逮捕・拘禁の上で裁判、という手続きをとらず、アメリカだけは標的とする人間たちを直ちに殺害する権利を持っているのだろう、という事でした。

9.11を見て、多数の乗客が乗っている旅客機をミサイル代わりに使うなど、なんと卑劣な犯罪だろう!と思いました。
その飛行機に乗り合わせた人々の恐怖を思うと、憎んでもあまりある犯罪だと思います。
しかしその容疑者に頭上からミサイルを食らわせ、関係者もろとも爆殺するというのは、それはそれで大いに問題あり、です。
裁判の行方を注目したいと思います。

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【 終わらない殺戮の応酬 - シリア 】

アメリカNBCニュース 10月29日

自動車爆弾が爆発したダマスカス南部のジャラマナのアルラウダ地区。


パン・ギムン国連事務総長による和平調停が不調に終わった29日月曜日、シリア政府軍のジェット戦闘機が、ダマスカス郊外の住宅地に空爆を行い、10人が死亡しました。

先にはラハダル・ブラヒミ特使による犠牲祭の休戦が合意されましたが、政府側、反乱軍側がともに相手側が協定を破ったとして非難の応酬を行い、休戦は実質的には実現されませんでした。

一方、ダマスカス南部のジャラマナ地区では「テロリストが仕掛けた」自動車爆弾が爆発しました。
地元居住者によると、この地区はアサド体制を支持する住民が多く暮らしています。


応急手当の後、病院に運ばれる少女



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