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【 ソーシャル・ネットワーク上の暴言が証明する、日本の政治家・政府高官たちの見識、品性、思いやりの欠如 】《後篇》

読了までの目安時間:約 6分

先進国の中で唯一、極右の暴圧的言動を否定しない日本の首相
人種差別を容認するかのような政治家を支持する日本に、嫌悪感を持ち始めた世界

AP通信 / ワシントン・ポスト 6月20日

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上智大学の政治学専攻の中野孝一教授は、政治家やその他の人々が失言を繰り返していることについて、彼らの中には問題の多様性を見極めるだけの見識、そして反対の立場をとる人々に対する理解が欠けていることを証拠立てるものだと語りました。

「こうした問題を放置する社会というものは、もはや常識が機能しない社会と言って良いと思います。」
中野教授が語りました。
「人々は徐々に正常な感覚を失っていき、本来問題とされることについても何も感じなくなってしまうのです。」

注意すべき使われ方をしている言葉のひとつが「左翼」です。

少数派の権利を守ること、平和を志向し、時に保守的価値観と対立するリベラリズム全般に対し、この言葉が乱用されるようになりました。

一部メディアと政治的に対立する立場の存在について、安倍首相は度々不適切な発言を繰り返しています。
安倍首相は民主党政権時代の菅前首相について、市民運動の出身であることを理由に『左翼』と呼び、北朝鮮に対する姿勢が甘すぎると批判しました。

安倍首相は(国際的には)国家主義者として知られ、タカ派的言動が目立ちますが、最近のフェイスブックへの書き込みで、公開の集会で野次を飛ばす人々に対し不満を露わにしました。
「聴衆の中に左翼の人達が入って来ていて、マイクと太鼓で憎しみ込めて(笑)がなって一生懸命演説妨害してました…」

「安倍首相、あなたは『左翼』という言葉を、どんな意味でお使いですか?」

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自由主義的立場に立つことが多い日本の朝日新聞の論説委員の松下秀雄氏が、6月16日の朝刊でこう尋ねました。
安倍首相のフェイスブックの書き込みに対しては、左翼、在日朝鮮人、在日中国人に対する嫌悪感を露わにしながら数百もの安倍首相を支持するコメントの書き込みがありました。
しかし同様に多くの人々が、安倍首相が推進しようとしているアメリカが主導する環太平洋パートナーシップ(TPP)交渉への参加に反対しているという理由で、『左翼』と決めつける、その姿勢に疑問を呈しています。

松下氏は安倍首相には反対意見を尊重するという見識が不足しており、日本の隣国と少数派である在日韓国・朝鮮・中国人に対する差別感情を煽っていると指摘しました。

「右派と左派を明確に区別することに、いったいどんな意味があるのですか?」
松下氏はこう疑問を呈しています。

昨年12月に政権の座について以来、安倍首相は経済政策に重点を置いてきました。

しかし彼のより大きな課題は、日本が強力な軍隊を持てるよう平和憲法を改定すること。そして彼が『美しい国』と呼ぶ、愛国教育が行われ、伝統的な家族主義的価値観と天皇制を尊重する国家をつくりあげることです。

一部の評論家などは、安倍首相のこうした姿勢について、第二次世界大戦以前、そして戦争中の軍国主義的体制の復活を思わせるものだと語っています。

橋下氏が率いる維新の会の党勢の拡大と昨年12月の自民党の勝利は、多くの日本人の目に日本が右傾化していると映っています。
インターネット上で、そして路上で、在日外国人の中では比較的多数を占めながらも、少数派には変わりない在日韓国人に対する攻撃が激化しています。
極右の人間たちが「韓国人を殺せ!」「在日韓国人は韓国に帰れ!」という、人種差別スローガンを公然と叫んでいます。

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日本の少数派の中、在日韓国人は数十万人いて、在日外国人の中では最大の人口を占めています。
彼らは日本が韓国・朝鮮を植民地化していた1910年~1945年に強制連行などによって日本に連れて来られました。
数十年を経た現在でも、彼らは日本社会の中で教育、ビジネスと結婚など、広範囲にわたる差別に直面しています。

反韓国感情が煽られた結果、日本では、憲法が保障する表現の自由から『差別演説』だけは除外するよう国会議員や専門家が提案する事態になっています。

日本のヒューマンライツ・ナウ( http://hrn.or.jp/ )の副理事長を務める伊藤和子弁護士がこう語りました。

「これらのすべての問題は、基本的人権に対する日本人の認識の欠如に原因があります。そしてそのことに対し、世界は今、厳しい目を向けています。」

〈 完 〉

http://www.washingtonpost.com/world/asia_pacific/gaffes-on-social-networks-by-top-japanese-officials-spark-concern-about-lack-of-sensitivity/2013/06/19/02f5d206-d949-11e2-b418-9dfa095e125d_story.html

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