感染症の中で完全に根絶されたのは世界でたった1種類、確認から根絶まで200年
通常、ワクチン開発の成功率は約10%だけ
ロシア・中国の『ワクチン開発成功』の拙速・WHOのフェーズ3をクリアせず
ドミニク・ベイリー / BBCニュース 2020年9月11日
科学者が新型コロナウイルス・ワクチンの製造に成功しても、十分な成果は期待できません。
研究機関や製薬会社は、新型コロナウイルスに効果のあるワクチンの開発、試験、製造にかかる時間について、ルールブックを書き直しています。
ワクチンの開発成功は地球的課題であるとの立場から、前例のないステップがとられています。
しかし最貧国などの犠牲の上に最も裕福な国々だけが恩恵を受ける結果になるという懸念があります。
では、誰が最初にそれを手に入れ、どれだけの開発費用が必要なのでしょうか?
そして世界的な危機の中、誰も取り残されないようにするにはどうすればよいでしょうか?
感染症と戦うためのワクチンは通常、開発、検査、および製品供給が行われるまで何年もかかります。
それでも尚、開発されたワクチンの効果の保証はありません。
人類史上今日まで、感染症の中で完全に根絶されたのはたった1種類です。
天然痘だけです。
そして確認から根絶まで200年の時間がかかりました。
それ以外の感染症 - ポリオ、破傷風、はしか、おたふく風邪、結核など - についても盛んにワクチン接種が行われていますが、ワクチンを受けた人も受けなかった人も、結局は生存率が違ったわけではありませんでした。
▽ 新型コロナウイルス・ワクチンの開発はいつごろ期待できますか?
新型コロナウイルスCovid-19によって引き起こされる呼吸器疾患について、どのワクチンが効果があるかを調べるために、すでに何千人もの人々が関る試験が進行中です。
通常のワクチン開発なら調査から製品供給まで5~10年かかるプロセスが、今回に限り数か月に短縮され程ます。
その間製造部門の業務は拡大し、株主やメーカーは効果的なワクチンを製造する準備が整うまで何千億円のリスクを負うことになります。
ロシア政府は開発中のスプートニク5型ワクチンの試験で臨床試験の患者に免疫反応の兆候が見られ、10月にはワクチンの大量接種が開始できると主張しています。
中国はワクチン開発に成功し、いつでも自国の軍人向けに接種できる体制が整ったと主張しています。
しかし、両方ともワクチン生産までのスピードが拙速に過ぎるとの懸念が高まっています。
どちらのワクチンも、世界保健機関(WHO)が規定しているフェーズ3の臨床試験をクリアしたワクチンのリストに含まれていません。
フェーズ3は多数の人間に接種して安全性と有効性を確認する段階です。
成功が有力視されているワクチンの一部は、年末までに新型コロナウイルス・ワクチンとしての承認を得ることを望んでいますが、WHOは、2021年の半ばを過ぎるまで、新型コロナウイルスCOVID-19に有効なワクチン接種が可能になるとは考えていません。
オックスフォード大学で開発中のワクチンの権利を有する英国の製薬会社アストラゼネカは、グローバルな製造能力を増強しており、成功すれば、英国内だけで1億回分、場合によっては世界で20億回分を供給することに合意しています。
ファイザーとバイオNテックは開発プログラムに1,000億円以上を投資してmRNAワクチンを開発したと語り、今年の10月には何らかの形で規制当局の承認申請を行う準備ができるだろうと期待しています。
承認されれば、2020年末までに最大1億回、最終的には2021年末までに13億回以上の摂取量を製造することになります。
現在臨床試験を進めている製薬会社の数は約20社に上ります。
しかしそのすべてが成功するわけではありません - 通常、ワクチン試験の成功率は約10%だけだとされています。
世界的な視点からは、新しい協力関係の構築と共通の目的により、新型コロナウイルスCOVID-19のワクチン開発の成功率が上がることが期待されています。
しかし、これらのワクチン開発の幾つかが成功したとしても、差し迫った不足は明らかです。
▽ ワクチンナショナリズムの防止
各国政府は開発に成功する可能性のあるワクチン確保に動いており、公式に認証または承認されていない段階で様々な候補者との間で何百万回分もの供給契約を結んでいます。
たとえば英国政府は、成功するかどうかわからない6種類の開発途上の新型コロナウイルス・ワクチンの供給契約に署名しましたが、金額は非公開にされています。
米国政府は開発に成功したワクチンをいち早く手に入れるため、来年1月までに3億回のワクチン投与を可能にするための投資計画を作り上げました。
米国疾病対策予防センター(CDC)は、早ければ11月1日にもワクチン接種を開始できるよう、各州政府に勧告すら行いました。
しかし世界中の国々が公平にワクチンを手に入れられるわけではありません。
国境なき医師団をはじめとする幾つかの組織はしばしばワクチン接種の最前線に立っていますが、製薬会社がこれから生産するワクチンが先進富裕国によって独占されてしまうと、富裕国による『ワクチン・ナショナリズムの危険な傾向』が生じると語っています。
これにより、貧困国のとりわけ弱い立場にいる人々へのワクチン提供が困難になります。
過去の例としては、ワクチン価格の高騰により多くの貧困国が髄膜炎などの疾患に対し、子供たちの命を守ることが困難な状況に陥ってしまいました。
WHOの事務局長補佐を務め医薬品と健康製品供給を担当するマリエンゲラ・シメオ博士は、ワクチン・ナショナリズムが広がないよう監視する必要があると語っています。。
「課題は、公平な供給を担保することです。より多くの対価を支払うことができる国だけでなく、すべての国が供給を受ける体制を整備しなければなりません。」
▽ 世界規模のワクチン・タスクフォースは存在するか?
WHOはGEPIの名で知られる流行性疾患対応グループと各国政府および組織のワクチン共同開発事業GAVIと連携し、競争条件を平準化しようとしています。
これまで少なくとも80カ国の富裕な国々と経済圏が世界的なワクチン計画COVAXに賛同・署名しました。
ただしWHOからの脱退を表明している米国は含まれません。
COVAXに技術資源をプールすることにより、参加各国は、アフリカ、アジア、ラテンアメリカの92の貧困国にもCovid-19ワクチンの「迅速、公正、公平な供給」を保証することを望んでいます。
COVAXは、さまざまなワクチンの研究開発事業への資金提供を行い、必要と判断されればメーカーの生産拡大をも支援します。
COVAXには広汎なワクチン開発試験プログラムが登録され、2021年末までに20億回分の安全で効果的なワクチンが提供できるよう、少なくとも1つは成功するよう希望が託されています。
「新型コロナウイルスCOVID-19のワクチンについては、状況を変えたいと思っています。」
GAVIのCEOであるセス・バークレイ博士ガこう語りました。
「世界で最も裕福な国民だけが守られるようなことになれば、世界全体で猛威を振るうパンデミックにより国際貿易、国際的商取引、さらには社会全体が大打撃を受け続けることになるでしょうでしょう。」
後編に続く
https://www.bbc.com/news/health-54027269
この夏は第二波を防ぐための「重要な段階」、万全の対策を実施すべきだ
たとえワクチンや優れた治療法が開発されても、これから何十年も人類は新型コロナウイルスの感染が続く世界で生きていく
英国BBC 2020年7月21日
人類は今後何年もの間新型コロナウイルスが感染拡大する空間で生活することになり、たとえワクチンが開発されても完全に排除することはできそうにもないと英国の専門家が警告しています。
ウェルカム・トラストのディレクターであるジェレミー・ファラー教授は英国下院の健康委員会の席上「クリスマスまでの収束はあり得ない」と語りました。
そしてさらに次のようにつけ加えました。
これから「数十年」もの間、人類は新型コロナウイルスが感染を広げる空間の中で生きていくことになるだろう…。
それは英国のジョンソン首相が先週、社会生活がクリスマスまでに正常に戻ることを望むと語った後のことでした。
ボリス・ジョンソン英国首相は、7月後半に主なレジャー施設と屋内スイミングプールの営業を開始し、さらに秋には大規模集会を許可するなど、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて行なわれている各種の制限を一層緩和する計画を立てているとコメントしました。
しかし超党派の国会議員グループに検証結果報告書を提出した専門家は、新型コロナウイルスが感染を広げている現実を理解することが重要であると述べました。
政府の諮問機関であるSAGEのメンバーであるサー・ジェレミー教授は、世界は「これから何年も何年も」新型コロナウイルスCovid-19とともに生きていくことになるだろうと語りました。
「クリスマスまでに収束することはありません。新型コロナウイルスは今や人類規模の感染症なのです。」
「現実問題としてワクチンや非常に優れた治療法が開発されても、これから何年も何年も、何十年もの間、人類は新型コロナウイルスの感染が続く世界で生きていくことになるでしょう。」
ジェレミー教授はこの夏の間は決して油断すべきではなく、この期間は第二波を防ぐための「重要な段階」として備えを行うべきだと語りました。
「『感染拡大のピークは去った』などという誤った安心感にとらわれてしまったら、間違いなく第2波の感染拡大を招き、あっという間に再び悲惨な状況に陥ることになるでしょう。」
彼は検査体制をさらに拡充すること、そして治療方法ならびにワクチン開発に十分な投資を行うことが重要であると述べました。
▽ ワクチンに「持続的効果を期待できる可能性は低い」
オックスフォード大学のジョン・ベル教授は、7月20日月曜日に発表されたオックスフォード大学による臨床試験において、ワクチン開発の重要なステップである抗体反応を確認したという肯定的なニュースにもかかわらず、新型コロナウイルスCovid-19が駆逐される可能性は極めて低いと考えています。
「現実問題としてこの病原体は永遠に人類社会にとどまり、消え去る可能性は無いと言わなければなりません。」
ベル教授は議員のグループにこう報告しました。
「たとえば、ポリオ・ウィルスを撲滅するのに人類がどれほどの困難を抱えているかを考えてみてください。その撲滅プログラムは15年間続いていますが、それでもまだ結果は得られていません。」
「それを考えれば、新型コロナウイルスも増えたり減ったりしながら、その多くが冬場に再び活発に活動することになるでしょう。」
「ワクチンの多くは長期間持続する効果を持つことはありません。そのため私たちは継続的にワクチン接種を繰り返していくことになるでしょう。病気の種類が増えれば増えるほど接種するワクチンの種類も増え、さらにまた別の病気が現れるということが
繰り返されることになるでしょう。
「ですから人類社会から新型コロナウイルスを駆逐するという考え方は現実的ではありません。」
▽ 首席顧問は政府の対応を擁護
政府の主任医療アドバイザーであるクリス・ウィッティー教授は、新型コロナウイルスに対するこれまでの英国が行ってきた対策の成果について国会議員から詳細な質問を受けました。
教授は3月にウイルスを封じ込めようとするそれまでの取り組みを終わらせた英国政府の対応を擁護し、担当大臣がロックダウンを発動したタイミングは遅すぎたとの非難に対し大臣の行動を擁護しました。
3月16日の時点で大規模感染の規模とそれがいかに急速に拡大するかをモデリングした重要証拠がジョンソン政権の閣僚に提出されましたが、完全な封鎖が発表されたのは丸々一週間が過ぎてからのことでした。
ウィッティー教授は、決定の『影響力の大きさ』を考えると『大きな遅れ』という指摘はあたらないと述べました。
教授はさらに適切なタイミングで学校の閉鎖を含む他の措置がとられていたと指摘しました。
一方、マットハンコック保健長官は、感染検査に関する政府のこれまでの対応、そして4月末までに1日あたり10万件の検査を可能にする目標を設定した自身の判断が正しかったとしています。
しかしその対応については、恣意的であるとして批判する人々もいます。
これに対しハンコック長官は、健康委員会の後継機関として設置された科学技術委員会のメンバーに対し、これまでにないスピードで検査体制を「スケールアップ」する必要性を認識することが重要であると語りました。
「すべての資源を活用し、政府機関は最大限の、そして国民一人一人は少し努力をして、遠大で大胆で思い切った、そして私たちが目指すべき体制を実現させるべきです。」
英国コロナウイルス統計(7月21日午後5時時点):
45,422人が病院、介護施設等で死亡、感染者数は前日から110人増加しました。
英国の統計機関は異なった数字を公表、新型コロナウイルスCovid-19が主な死亡原因だと証明書に記載されている死者は56,100人であるとしています。
20日午前9時から21日午前9時までの24時間に、新たに445のラボで確認された症例がありました。
全体的に、発生が始まって以来、合計295,817例が確認されています
https://www.bbc.com/news/uk-53488142
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このところどのニュースサイトを見ても、新型コロナウイルスに関する報道が多くを占め、読んでいても正直面白くありません。
当然ながら翻訳する意欲も減退するばかりです。
しかし根拠のない楽観論も一部に根強く、それらが大規模イベント開催要求等につながっているのを見ると、要所要所での確認は必要かもしれません。
私が大きな問題だと思うのは、何と言っても生活困窮者の急増です。
ただでさえ新型コロナの感染拡大と一向に梅雨明けしそうにない気候によって閉塞感ばかりが増していく中、「暮らしていけいない!」と悲鳴を上げている人々が急増している。
これほど気が滅入る問題はありません。
新型コロナ感染拡大以前から日本の社会では格差の拡大が問題になっていました。
新たな危機発生によって最も追い詰められることになったのが、結局は弱者であったことに暗然とならざるを得ません。
こうした事態に日本の権力機構はまたまた機能停止も同然の有様です。
その構成員は公務員であり、彼らは目下のところ生活苦とは無縁であるはず。
だから - 危機感を肌で感じられない - 対応が後手後手だというのなら、本当に許せない話です。
私たちはもっともっと怒りを形にしていくべきではないでしょうか?
この冬新型コロナウイルスのパンデミックがどのような展開を見せるか?それは見通せない問題
新型コロナは寒い条件の下でより長く生き残り、屋内で過ごす時間が多くなると感染拡大の可能性が高くなる
ミシェル・ロバーツ / BBCニュースオンライン 2020年7月14日
コロナウイルスパンデミック
科学者の専門家によると、英国では今冬、新型コロナウイルス感染の第2波で約12万人のが新たに死亡する可能性があります。
「あり得る」最悪のシナリオをモデル化するように求められた科学者たちは、新型コロナウイルスに感染して病院で死亡する人だけで24,500人から251,000人までの範囲を示唆しました。
死亡者数は1月と2月にピークに達する見込みです。
現在まで英国での死亡者数の公式発表は44,830人ですが、傾向としては7月に入って1,100人と死者数の増加は鈍化しています。
この見通しについて、都市のロックダウン、治療方法の進化、ワクチン開発などの要素は考慮されていません。
今回の調査に携わった科学者たちは「そのリスクは…今すぐに行動を起こせば減らすことが可能かもしれない。」と語っています。
英国の科学顧問の主席を務めるパトリックヴァランス卿の要請によって作成されたこの報告書は、新型コロナウイルスのパンデミックが今度の冬場、どのような展開を見せるかについては、依然としてかなりの不確実性があると強調しています。
しかし今回の調査では、新型コロナウイルスは寒い条件の下でより長く生き残ることができ、人々が屋内で過ごす時間が多くなると感染が広がる可能性が高くなります。
さらに専門家は、新型コロナウイルスの感染第二波の襲来だけでなく、季節性インフルエンザとコロナウイルス以外の日常的な診療活動の負荷が重なり合うことにより、国の医療体制が極度の圧力にさらされる可能性があることを懸念しています。
医療体制は、第1波の世界的大流行の後、すでに深刻な混乱に陥っており、今年末までに待機者のリストが1,000万人に達する可能性があると報告書は述べています。
この報告書の監修責任者を務めたサウサンプトン大学病院健康保険制度トラストの呼吸器専門医であるスティーヴン・ホルゲート教授は、
「今回まとめたのは予測ではありませんが、現実になる可能性があります。」
「様々な条件を組み合わせて検証した結果では、この冬のCovid-19の第二波の襲来により、現在よりも死亡率が高くなる可能性があることを示唆しています。
「しかし今すぐに適切な対応を採ることができれば、こうした事態のリスクは軽減されるでしょう。」
現在、新型コロナウイルスの症例数は何か結論を導き出すには少なすぎるため、
「今回の報告書は、冬の到来とともに最悪の事態が襲ってくる可能性に備えるための、重要なきっかけとなるはずです。」
ホルゲート教授がこう付け加えました。
今度の冬にもっと悲観的な状況に陥る可能性もあり、その場合新型コロナウイルスによる死者は数万人から数十万人に達する可能性があります。
この報告書は、この冬の死亡数の予測を行うことが極めて困難な作業であることをに明らかにしています。
その予測もどのような可能性があるかを探るものでもなく、何が起きるかを特定するものでもありません。
研究者は可能性のあるシナリオに基づき、どのような事態が想定されるかをモデル化することはできます。
しかしこうしたシミュレーションも、現段階では今度の冬がどのようなコンディションになるのか不明である以上、予想した範囲内に事態が収まるかどうかわかりません。
諸条件の下で少し数字を変えてみただけで、結果が大きく異なってくるのです。
しかし採らなければならない総合的な対応は明らかです。
最悪の事態に備え、最大限できることをしてください。
幸いにも現在英国内の新型コロナウイルスによる死亡者数・感染者数はともに減少しているため、国として第2波の襲来に備えるための計画を作成する機会を与えられています。
感染率を低く保ちこの国がロックダウンから解放されて日常の生活を取り戻すことは、新型コロナウイルスを抑え込むために重要な要素です。
新型コロナウイルスは消えていません。
ワクチンはまだありません。
しかし発症した場合に自分を隔離して検査を受けることを含め、私たち全員ができることがいくつかあります。
アカデミー・オブ・メディカルサイエンスの共同執筆者であるデイム・アン・ジョンソン教授は、次のように述べています。
「これら可能性のある課題に抱えながら、すでに厳しい年に入っている現在、ともすれば絶望と無力感を感じることと思います。」
「しかし今回のこの報告書は、事態を好転させるために今できることがあるということを教えてくれています。」
この報告書が提唱しているのは、下記の事柄です。
新型コロナウイルス、インフルエンザ、その他の冬場の感染症の流行が重複して発生した場合に対処するための感染検査と感染経路特定プログラム能力の向上。
インフルエンザ予防接種を受ける。
病院や介護施設に、医療スタッフのための十分な防護用品(PPE)が備わっていることを確認する。
感染を止めるために、病院や介護施設に新型コロナウイルスが存在しないエリアを作る。
英国保険省のマット・ハンコック長官は、この冬に予想される健康保険制度適用需要に対処するための計画がすでに進行中であると述べました。
そして英国政府は「歴史上最大のインフルエンザ・ワクチンプログラム」を展開するのに十分なインフルエンザワクチンを確保しており、新型コロナウイルスに効果のあるワクチンが見つかれば直ちにコロナウイルス・ワクチンプログラムも発動されることになると付け加えました。
英国政府は次のような声明を発しました。
「私たちは警戒を緩めることなく、医療体制を崩壊に追い込む第2波の感染爆発を回避するため、必要な資源資材の確保に全力で取り組みます。」
https://www.bbc.com/news/health-53392148
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この記事に書かれているのは英国の状況ですが、7月半ばに入って新型コロナウイルス感染者数が急増している状況を見ると、日本も同様の危機的状況に陥る危険性を感じないわけにはいきません。
ところが…
今日この状況の中 Go to キャンペーンを始めようという安倍政権の迷走は国に対して『破壊的』とも言えるレベルになってきました。
振り返ってみれば、安倍政権ほど『破壊的』な政治体制は他に例がありません。
福島第一原発事故の事実の隠蔽により、原発難民の人々の未来を破壊したことが始まりでした。
そして特定秘密保護法を強行成立させて
健全な民主主義の破壊
を行い
森友学園・加計学園・桜を見る会などのスキャンダルを繰り返して
公明正大な政治の破壊
を行い
集団的自衛権行使を可能にして
平和主義の破壊
を行いました。
そして現在、安倍政権は新型コロナウイルスの感染が再び拡大することによって国民の生活が次々破壊されていく中、かえって状況を悪化させかねない愚劣な『政策』を実行しようとしています。
Stop the アベ政治!
今やそのことは私たち国民の生死にかかわる問題になっているのではないでしょうか?
発症と進行のメカニズムを理解し、最良の予防法について考えよう
発症により重症化する理由、死亡に至る理由
ジェームズ・ギャラガー / 英国BBC 2020年3月14日
新型コロナウイルスは昨年12月に出現したばかりですが、世界はすでにウイルスの感染拡大とそれが引き起こす病気との戦いに奔走することになりました。
ほとんどの場合、症状は軽度ですが、一部の人々にとっては死に至る病になっています。
適切な予防措置を講じるためにも、ウイルスが体をどのように攻撃するのか、なぜ死に至る人々がいるのか、理解しましょう。
□ 潜伏期間
潜伏期間とは、言い換えると新型コロナウイルスが感染した人の体内で自分の存在を確立する期間です。
ウイルスはあなたの体を構成している細胞の中に入り込み、そこを乗っ取ることで感染を完成させます。
正式にCovid-19と名付けられた新型コロナウイルスは、誰かが近くで咳をした直後あなたが吸い込んでしまう、あるいはウイルスに汚染された表面をあなたが手で触り、その手で自分の顔に触れることによって体内に侵入します。
新型コロナウイルスは最初に喉、気道、肺の内側の細胞に感染し、その場所を「コロナウイルス生産工場」に変えてしまいます。
そこで増殖し、さらに多くの細胞に感染を続ける膨大な数の新しいウイルスを吐き出すことになるのです。
しかしこの初期段階ではあなたはまだ本格的に症状を発症しません。
中にはそのまま罹患せずに終わる人もいます。
潜伏期間、感染してから最初の症状が現れるまでの時間は大きく異なりますが、平均で5日間です。
□ 症状が軽い場合
新型コロナウイルスCovid-19は10人中8人にとっては軽度の感染症であり、主な症状は発熱と咳です。
体の痛み、のどの痛み、頭痛はすべて可能性がありますが、必ずというわけではありません。
発熱、および吐き気などの症状が出るのは、あなたの免疫系が感染に反応した結果です。
ウイルスを敵対的な侵入者として認識し、サイトカインと呼ばれる化学物質を放出することで、体内で問題が発生したことをあなたに認識させようとしているのです。
こうした働きによって免疫系を活動させますが、同時に身体の痛み、痛み、発熱も引き起こすことになります。
コロナウイルスの咳は最初は乾いたものであり(むせかえるような感じはありません)、その原因はウイルスに感染した細胞の刺激によるものです。
もっとも症状が進んだ段階で咳き込み、吐いてしまう人がいますが、これはウイルスによって死んだ肺細胞を含んだベトベトした粘液が出てきます。
こうした症状を治療するには安静、大量の水分、パラセタモール(英国の鎮痛薬)を使いますが、特に専門病院で治療を受ける必要はありません。
この段階は約1週間続きますが、その過程で免疫系がウイルスを撃退するため、ほとんどの人が回復に向かいます。
ただしCovid-19によってもっと深刻な症状を引き起こす人々もいます。
現時点で症状が進んだ段階で鼻水が止まらなくなるという、風邪とよく似た症状を発症する人々がいることが確認されました。
□ 症状が重い場合
病気が重篤化するのは免疫系がウイルスに過剰反応するケースです。
生体内の他の部分への免疫系の過剰反応は炎症を引き起こしますが、免疫がどの程度の反応を起こすかというのは極めて微妙なバランスの上に成り立っています。
炎症反応が強すぎると、身体全体に二次的な損傷を引き起こす可能性があります。
「新型コロナウイルスは免疫反応のバランスを壊してしまいます。炎症反応が強すぎるのですが、新型コロナウイルスがどのようにしてこうした反応を引き起こすのかはまだ未解明です。」
ロンドンのキングス・カレッジのナタリー・マクダーモット博士がこう語りました。
この炎症が肺で起きると肺炎になります。
口や鼻から侵入した新型コロナウイルスが気管を通り、さらに肺の中の細い細気管支を通り抜けることができた場合、最終的には小さな小さな肺胞に入り込みます。
これは、酸素を血液中に送り込み、二酸化炭素を肺の外に排出する場所ですが、肺炎では小さな嚢が水で満たされ始め、最終的に息切れと呼吸困難を引き起こす可能性があります。
症状の重い患者は呼吸するために人工呼吸器の装着が必要になります。
これまで中国で収集されたデータに基づくと、感染者中約14%の確率でこうした症状を発症することになります。
□ 重症
症例の約6%が重態になると推定されます。
この段階に至ると身体の多くの部分が正常な機能を失い、死に至る危険性が高くなります。
もっとも問題なのは、免疫システムが制御不能に陥り、全身に損傷を引き起こすことです。
血圧が危険なレベルまで低下し、臓器が正常に機能しなくなるか、完全に機能しなくなると、敗血(症)性ショックにつながる可能性があります。
肺ガ広範囲にわたり炎症を起こすことによって引き起こされる急性呼吸促迫[窮迫]症候群は、生き残るために必要十分な酸素を取り入れることを不可能にします。
腎臓は血液を洗浄するのを止め、腸の内膜が損傷する可能性も出てきます。
「このウイルスは非常に広範囲に炎症を引き起こすため、患者は文字通り倒れることになります…そしてそのまま多臓器不全を引き起こす可能性があります。」とバラト・パンカニア博士がこう語りました。
そして、免疫システムがウイルスを抑え込むことができない場合、最終的には体の隅々まで広がってさらに多くの損傷を引き起こす可能性があるのです。
この段階での治療は非常に侵襲的(侵襲とは、「病気」「怪我」だけでなく「手術」「医療処置」のような「生体を傷つけること」のすべてを指す言葉)であり、ECMO(体外式膜型人工肺)が使われる場合もあります。
体外生命維持とも呼ばれる体外膜酸素化は、心臓と肺が生命を維持するのに十分な量のガス交換または灌流を提供できない人に長期の心臓と呼吸の支援を提供する体外技術です。太いチューブを介して体から血液を取り出し、酸素を供給して送り込む人工肺装置を使います。
しかし最終的には体内組織の損傷は致死的レベルに達する可能性があり、そのレベルでは臓器が体を生かし続けることができなくなります。
□ 最初の死亡例
最大限の努力をしたにもかかわらず、一部の患者がどのように死亡したかを医師が説明しています。
中国湖北省武漢市のジンインタン病院で死亡した最初の2人の患者は、ランセット・メディカルジャーナルに掲載された詳しい説明によると、長期の喫煙者であり、肺の機能が低下していたと考えられます。
最初に死亡した61歳の男性は、病院に到着する以前に重度の肺炎を発症していました。
彼は急性呼吸困難であり、人工呼吸器を装着していたにもかかわらず、肺が機能しなくなりその結果心停止に至りました。
この患者は入院してから11日後に死亡しました。
2例目の死亡患者である69歳の男性も、急性呼吸促迫[窮迫]症候群を患っていました。
ECMO(体外式膜型人工肺)に接続されていましたが、これでは十分ではありませんでした。
この患者は血圧が急激に低下した段階で重度の肺炎と敗血症性ショックにより死亡しました。
https://www.bbc.com/news/health-51214864
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医療現場の態勢整備よりオリンピック開催を優先した安倍政権 : 挙句の結果は
ウイルスの蔓延速度の低下と急激な感染者の増加を食い止めることができていない安倍政権の緊急事態宣言
英国BBC 2020年4月24日
(ページ下のリンクをクリックし、BBCのオリジナルサイトで動画をご覧ください)
最近まで、日本は新型コロナウイルスの蔓延の抑制に成功した事例の1つのはずでした。
2月から3月の初期の段階では、日本は集団発生を抑制し、感染者数を数百人に抑えることに成功しました。
しかし現在、首都東京では3,500件以上の感染例が確認され、深刻な感染拡大が進行しています。
日本全体では12,000件以上の感染事例が報告されています。
安倍首相による2週間前の緊急事態宣言について東京の医師たちは、ウイルスの蔓延速度の抑制に効果がなく、医療体制を崩壊に追い込むほど急激な感染者の増加を食い止めることができていないと述べています。
神奈川県川崎市にある聖マリアンナ大学医学部病院では患者の急増に備え、10日前に急遽新型コロナ医療チームを編成しました。ルパート・ウィングフィールド・ヘイズとBBCの東京チームが内部取材を行いました。
※以下は動画内のコメント
『今や東京都内では新型コロナウイルスへの感染が急増しています。
「こうした患者さんたちを私たちが受け入れなければ、死亡してしまう恐れもあります。」
「この場所は2週間前まで壁の向こう側に集中治療室がある普通のナース・ステーションでした。
しかし現在はご覧の通りすっかり様変わりしています。大型モニターとコンピュータ用モニターが運びこまれ、患者一人ひとりの状態がそのモニターに映し出されています。
これは新型コロナウイルス専従チームのメンバーが実際に患者と接することがなくても、患者の状態をこの場所に止まったまま確認するためのアイディアです。
医療チームメンバーはこの場所に止まったまま、患者とコミュニケーションをとることができます。
患者は可能な限り少人数の医療スタッフと接することになります。
こうした態勢をとらざるをえない背景には医療機器の不足があります。
ここでは防護服も防護用品も不足しています。
そのためこの壁の向こう側の集中治療室にいる患者と医療スタッフが直接接する機会をできるだけ減らそうとしているのです。
新型コロナウイルス感染患者専用ベッドは15床用意されていますが、すでに11床が使われています。
入院患者の多くは40代から50代の人々です。
彼らは新型コロナウイルスCovid-19によって深刻な状態にあります。
聖マリアンナ大学医学部病院の藤田医師がこう語りました。
「Covid-19によって深刻な状態になってしまうと、患者は2〜3週間は管につながれたまま入院しなければなりません。それが現実です。」
日本には150万床分の入院施設があります。
しかしそのうち新型コロナウイルスCovid-19患者専用に使えるのはごくわずかしかありません。
病院の壁にはすべての診療科目が掲示されています。
内科、循環器科、腎臓病その他があります。
これらは日本の病院にとって馴染みのある診療科目です。
しかし伝染病専門の部門はありません。
日本では伝染病はその専門の病院で扱うことになっています。
そのためこの聖マリアンナ大学医学部病院では、臨時に設置された新型コロナウイルス専門治療エリアにいて、臨時に陰圧式人工呼吸器の専門家として働いています。
私が今いるのはグリーンゾーン、すなわち安全地帯です。
このイエローゾーンは気圧調節されています。
右奥に見えるのは2人目の医師です。
ここが専門の集中治療室への入り口です。
これらは全て文字通り2〜3週間で急造されたものです。
藤田医師がこう語りました。
「集中治療室にいるメンバーにかかる精神的重圧は並大抵のものではありません。」
「なぜなら彼らは直接患者と接しなければならないからです。たとえ完全な防護装置を身につけていても、新型コロナウイルスに感染する危険は無くなりません。ですから本当に、ものすごくストレスがかかる仕事なのです。」
「私たちから皆さんにお願いしたいことがあります。このような状況のもとで働いている医療従事者には国民の皆さんの助けが必要です。他人との接触機会をできる限り減らしてください。」』
https://www.bbc.com/news/av/world-asia-52400084/coronavirus-tokyo-hospitals-trying-to-stay-ahead
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3月、ダイヤモンドプリンセス船内の危機がどんどん深刻になっていった頃、新型コロナウイルスの危険性について徹底的に啓蒙活動を行なっていれば、今日これほどの危機には発展していなかっただろうと思うと何ともやりきれません。
その頃、日本政府すなわち安倍政権が一番強調していたのは『東京2020オリンピックは予定通り開催する。大丈夫!』ということでした。
真っ先にまず何に取り組まなければならないか、そのことに一国の首相と閣僚が蒙昧であることのツケを払うのは本人たちではなく、私たち国民なのです。