【 安倍首相を押し包んだ怒りの声 : 沖縄戦70周年の日 】《後篇》
集団的自衛権の行使を可能にする法制定の方針を飽くまで曲げない安倍政権に、募る国民の反発
世論調査 : 集団的自衛権の行使を支持しているのは29%、53%は集団的自衛権の行使のための新たな法律制定に反対
ほんとうに世界各地でアメリカ軍が関わっている武力紛争に、「日本が巻き込まれる恐れはない」のか?
ジャスティン・マッカリー / ガーディアン 6月23日
沖縄戦終戦70周年の式典会場で、沖縄が1972年に日本に返還されて以降も多数の米軍基地負担に耐え続ければならなかったこと、この点において他の県と比べ著しい不公平があると多くの県民、そして自身も感じていることに言及した翁長知事は、会場から温かい拍手を受けました。
翁長知事は沖縄県辺野古の沖合に新たに滑走路を建設するという、アメリカ政府と日本政府の20年来の計画の再考を促しました。
そして、昨年の選挙で翁長氏が沖縄県知事に選ばれた結果は、辺野古沖における基地建設について、県民の反対がどれほど強いものであるかを証明したものだと語りました。
「我々は、政府が建設を中止するよう、強く要求します … そして、沖縄の基地負担を減らすために、政策を見直してください。」
中国が南シナ海、東シナ海において軍事的存在感を一方的に強めている現在、アメリカに軍事基地を提供するという沖縄の役割の重要性は増しています。
沖縄には、戦後日本を占領していたアメリカ軍当局により起草された日本国憲法、いわゆる平和憲法について安倍政権が解釈の変更を行い、集団的自衛権が行使できるように、あるいは同盟国軍の援軍として軍事力を行使できるように現在法整備を進めていることについて、日本や沖縄が再び戦争に引きずり込まれる危険性があとして懸念を深めている人々がいます。
日本国憲法第9条は日本が国際紛争を解決する手段として、武力による威嚇を行うこと、実際に武力を行使することを禁じています。
これまでの歴代の政権は、憲法第9条の下での日本の主権たる自衛権の発動について、日本の領土が直接攻撃を受けた場合にのみ発動が可能であると解釈してきました。
日本の軍事力についての厳しい制限を取り払おうとする取り組みは、学識について世評の高い3人の憲法学者が集団的自衛権の行使は憲法に違反するという解釈を公表した後、一層苦しい立場に追い込まれることになりました。
安部首相は集団的自衛権についての法改定が行なわれても、世界各地でアメリカ軍が関わっている武力紛争に日本が巻き込まれる恐れはないと保証していますが、日本の有権者はこの点についても疑問を持っているようです。
日本のリベラル派を代表する6月23日付の朝日新聞は、世論調査の結果安倍政権への支持率が39%であることを伝えましたが、これは2012年に政権の座に返り咲いて以来最低の数値になりました。
朝日新聞はこの結果について、集団的自衛権の関連法案に対する一般国民の反対がこの結果につながったものと見ています。
この世論調査によれば、集団的自衛権の行使を29%が支持する一方、回答者の53%はそのために新しく法律を制定することに反対しています。
沖縄戦の終了から70周年を迎えたこの日、戦前戦中に日本軍兵士のために売春を強要されたとして、韓国の元従軍慰安婦の女性たちが日本政府に対し2000万ドル(約24億6,000万円)の賠償を求める訴訟を、7月に米国で起こすと発表しました。
原告団の弁護士によれば、89歳のキム・ボク・ドンさんが代表を務める10名の元従軍慰安婦の生き残りの女性たちは、7月1日にカリフォルニア地方裁判所に訴状を提出すると発表しました。
「日本政府はかつての大日本帝国が犯した非人道的行為について真摯に公式の謝罪を行い、私たちの名誉を回復しなければならないはずです。」
キムさんはソウル市内の日本大使館の前で、記者団にこう語りました、
世界の主だった歴史研究者は、主に韓国の最高で200,000人の女性たちが、太平洋戦争の戦前戦中に日本軍により従軍慰安婦として売春行為を強制されたという見解を示しています。
一方日本は日韓両国が1965年に正式の国交関係を樹立した際、すべての賠償請求が解決されたということについて、両国政府がすでに合意済みであると主張しています。
〈 完 〉
http://www.theguardian.com/world/2015/jun/23/japan-pm-shinzo-abe-heckled-okinawa-battle-anniversary