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【 福島第一原発で今も続く事故、そして危険、その真実 】《第9回》

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所要時間 約 12分

金や権力に媚び、あらゆる状況を検証もせず安易な安全論を口にする科学者、彼らは原子力発電の推進者よりも悪質
使用済み核燃料を最終的にどう処分するのか、原子力業界の幹部たちは、この問題に決して触れようとしない
原子力産業界が主張する廃棄物の再処理、再処理が成功した事など無い
[対談 : アーニー・ガンダーセン氏&ヘレン・カルディコット博士]

フェアウィンズ 9月20日


カルディコット : そしてこれは氷山の一角に過ぎません。

この手の、金や権力に媚び、あらゆる状況を検証もせず安易な安全論を口にする科学者は、原子力発電の推進者よりも悪質です。

あなたがおっしゃるように科学者がごまかしを言ってはなりませんし、まして医療の分野においてはごまかしなどは論外です。
医療の分野でごまかしを行えば、患者の様態を悪化させるか、死に至らしめるか、そのどちらかになってしまいます。
そのようなごまかしを行えば、私たちは医師免許を剥奪される事になります。
医療にごまかしは許されないのです。
自分自身が何を言っているのか、それすら理解できない人々にコメントする権利はありません。

それでもあえて口を出そうとするなら、彼らは犯罪者と呼ばれるべきです。

なぜならこうした科学者たちが口を出す事で、人々は真実がわからなくなり、その結果自分の身を守れなくなってしまうからです。
その行き着く先は…
身を守れなくなった人々はやがて病気を発症し、場合によっては死に至る事があります。
この良心の無い科学者の問題は、きわめて、きわめて深刻な問題なのです、アーニー。


ガンダーセン : 私が日本政府、そして日本社会の仕組みに対して平静ではいられない点も、まさにそのことです。
世界中の医師は、医師になるときヒポクリティック(hypocritic - 偽りを語る者、という意味)の誓いを立てているはずです。

カルディコット : あら、アーニー、ヒポクリティックでは無く、正しくはヒポクラテスですよ。似ていますけど、でも確かに…
ガンダーセン : そうそう、あなたのおっしゃる通りでした。ヒポクラテスの誓いを立てた医師の事ではなく、日本のごまかしばかりを言っている人間についての話になってしまいました。

カルディコット : 本当にそうですね(笑)。

ガンダーセン : そう、私が心配しているのは、医師たちが被災してしまった人々を助ける事より、国家の利益を優先してしまっている、という事なのです。

カルディコット : もう一つ、これまで議論してきた事と、また別の疑問があるのですが。
使用済み核燃料を格納している、プールの冷却に使った水についてです。
この水もまた、高い放射性を帯びているのでしょうか?
そして今どうなっているのでしょうか?
24時間循環し続けているのですか?
この水は最初に原子炉そのものを、冷却するために使用された水なのでしょうか?
この水こそが主要な冷却手段なのですか?
使用済み核燃料プールの中にある水と、原子炉を直接冷却している水の放射性濃度は同じなのでしょうか?

ガンダーセン : 原子炉4号機の汚染は、4号機の使用済み核燃料プールと比較すれば、低くなっています。
しかし原子炉そのものを冷却し、浄化装置を経由しながら循環している冷却水の汚染濃度は、どの使用済み核燃料プールの水よりも高く、普通では考えられないほどひどく汚染されています。
使用済み核燃料は損傷している事が考えられ、プール内が汚染されている事は明らかですが、しかし格納容器内の、原形をとどめていない核燃料に接している冷却水の汚染とは比較になりません。
核燃料プールと原子炉は、それぞれ別の冷却システムを使っています。

カルディコット : そうですか。


ガンダーセン : しかし、これらの水はまだきれいな方なのです。そもそもの始まり、他のどこでも無く、最初から原子炉内にあった水、その汚染は極めて深刻です。

カルディコット : そしてこれが本当に最後の質問になります、アーニー・ガンダーセン。
日本はこの使用済み核燃料を、どうするつもりなのでしょうか?

ガンダーセン : これこそが大きな難題なのです。
あなたにはお話ししましたが、私は来週、8月27日から9月7日まで、福島の問題を検証するために日本に行ってきますが、この問題が最も大きなテーマの一つになるでしょう。

使用済み核燃料を最終的にどう処分するのか、原子力業界の高い地位にいる人々は、この問題に決して触れようとしません。

一体どこに持っていくつもりなのでしょうか?
原子力産業界は、あたかも再処理が存在するかのような説明をしています。

六ヶ所村の再処理施設群。稼働できる可能性は極めて低いが、稼働すればしたで、原発が排出する汚染水一年間分を一日で、「毎日」海に放出することになる。


しかしもちろん、再処理が成功した事など無いのです。
〈つづく〉

http://www.fairewinds.org/ja/content/ongoing-damage-and-danger-fukushima
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いよいよこの連載も、残すところ明日の最終回のみとなりました。
訳し終えてみれば、A4版でちょうど30枚という長さでした。

しかし、いま原子力の問題について最も信頼できる少数の科学者である、カルディコット博士とガンダーセン氏が明らかにしてくださった、福島第一原発の現状については、一人の日本人として大きな失望感、いや敗北感を持たざるを得ません。

この連載をご覧いただいた上で、(すでに多くの方がお読みになっていらっしゃるとは思いますが)小出裕章氏の著作『原発のウソ』をお読みいただくと、無責任以外の何物でもない原子力発電の運営により、日本という国が、いかに危険な状況にあるのか、ひとつひとつを肌を刺すように、心に突き刺さるように、理解することができます。

これらを読んだ後で、日本が今後も原子力発電を続けてもよい、と思う人はいないと思います。
ではなぜ日本の財界、そして自民・民主は原子力発電の継続を声高に叫んでいるのでしょうか。

既得権、利権という事もあるでしょう。
しかしもっと見過ごせないことがあります。
それは彼らは国民のため何かしようとしているのではなく、国民を利用して自分たちの価値観を守ろうとしていることです。

少し近代日本を振り返ってみましょう。
江戸時代は、徳川家という家族の安泰を守るための体制が260年続きました。
続く明治期は太政官制による有司専制、つまり官僚が国家の方針を『専断』する時代が続きました。
井上馨のような私利私欲の権化もいましたが、大久保利通のような私欲の少ない官僚も多かったため、権力の横暴も目立ちましたが後年の発展の基礎を築くことができました。

しかし明治が終わると、肥大化した官僚と軍部により、日本はとんでもない方向に走り出し、昭和10年代、国民の命は信じられない程安いものになり、『南方』や中国大陸で日本人兵士は無意味な死を繰り返し強いられ、ソ連の参戦により満州地区にいた官民が大量に虐殺され、挙句2発の原爆投下によって日本帝国は無残な結末を迎えました。
この10年間を一言で表現するとすれば、到底実現不可能な『帝国建設』の妄想を抱いた軍部・官僚が、国民を徹底的に利用した時代だと言えるのではないでしょうか。

そして現在、太平洋戦争 = 第二次世界大戦が終わって70年近くが経つにも関わらず、また同じことが繰り返されようとしているように感じます。
福島第一原発の事故後の、福島の人々に対する『扱い』を見れば、そのことを感じ取ることができます。

被災者の方々の人権に対する政治の配慮を、あなたは感じますか?
被災者の方々の苦しみを和らげたいという願い、今の政治家に感じますか?
一日も早く被災者の方々の未来を再建したい、その熱意が日本の『二大政党』にはありますか?

このままの政治が続けば、福島の被災者の方々の姿は、明日の私たちの姿です。
『いつか来た道』に迷い込まないために、福島の人々の真実の姿を常に心に置いて行動する、それが『今の日本人』に課せられた使命だと思います。

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【 危険の過小評価、事故対策の手抜きを認めた東京電力 】

アメリカCNNニュース 10月12日

完全に破壊された福島第一原発4号機の原子炉建屋。2012年5月。


12日金曜日、昨年の巨大地震と津波により大惨事となった事故を引き起こし、壊滅した福島第一原発の運営企業が、原子力発電所が操業を停止しなければならなくなることへの恐れから、事故のリスクを過少評価していたことを認めました。

福島第一原発を運営する東京電力は、2002年に採用された『格納容器のベント作業及び原子炉間の複数電源確保対策』などを含めた『シビアアクシデント規制対策』を採用したものの、それ以降は何ら具体的対策をとっていなかったとしています。

さらに東京電力は具体的対策を講じれば、地元の『原発への懸念に火をつけ、ひいては反原発運動が一気に過熱してしまう事になる』ことへの恐れがあった、と付け加えました。

金曜日に公表された報告書には、東京電力が福島第一原発の安全を守るための対策を怠っていた、という決定的表現が盛り込まれていました。
これらの対策が取られなかったために、福島第一原発は莫大な量の放射性物質を環境中にまき散らし、発電所の周囲で暮らしていた何万人もの人々が自宅、そして故郷を捨てることを強いられました。
その結果、1986年にウクライナのチェルノブイリで発生して以来、最悪の原発事故が発生してしまったのです。

「シビアアクシデント対策の厳格な実施を求められれば、福島第一原発を一時休止させなければならなくなる、そのことに対する恐れの方が優先されてしまいました。」
報告書にはこう書かれていました。
「諸外国で採用されていたシビアアクシデント対策をもし実施していれば、多様な安全対策を施すことは可能でした。」

この1年間、東京電力は福島第一原発事故の根本原因の究明に積極的に取り組まず、世間の厳しい目にさらされてきました。
先に公表された政府の事故調査・検証委員会の最終報告書の中では、東京電力や原子力規制機関の災害対策は『不充分』であり、事故後の対応は『不適切』なものだったと指摘されていました。


http://edition.cnn.com/2012/10/12/world/asia/japan-tepco-report/index.html?hpt=ias_c2





 

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