私たちABCは、トヨタ・カムリ、フォード・エスケープ、そのどちらの車がアメリカ人のための雇用を、より多く作り出しているか明らかにするため3つの質問を行いました。
ABCテレビ「車はここで完成するのですか?」
トヨタ「そうです、6,000人以上がカムリの生産のため働いています。」
フォード「そうです、2,250人がエスケープの生産に従事しています。」
ABCテレビ「何パーセントの部品がアメリカ製ですか?」
トヨタ「80パーセント。」
フォード「65パーセント。」
ABCテレビ「一年間で売れた台数は?」
トヨタ「328,000台です。」
フォード「200,000台をほんのちょっと下回ります。」
「どちらの車がアメリカ人のための雇用を、より多く作り出しているか?」
これらの数値が明らかにしたその答えは?!
お察しの通り「カムリ」。
フォード・エスケープは100台作るごとに、13人分のライン作業の雇用を生み出します。
トヨタ・カムリは100台ごとに20人分の雇用を創出します。
そして、その結果を受けて.....
スチュアート家は結局、古き良きアメリカを代表する車、部品の85パーセントがアメリカ国内で生産されているフォード・エクスプローラーの新車を購入したのです。
確かにエクスプローラーは生産台数が少ないため、カムリやエスケープ程の規模の雇用は生み出しません。でもスチュアート家の面々は自分たちの買い物によって、アメリカ人労働者の雇用が守られた事に大満足です。
さあ、「メイド・イン・アメリカ」の大きなステッカーを貼って、
「出発!!」
どうでしたか?!
番組が良くできていて、ニュース番組なのに「楽しく」笑わせて、いや微笑ませてくれました。
でもアメリカ3大ネットワークのひとつ、ABCがこうした「メイド・イン・アメリカ」のようなキャンペーンを行う事は、アメリカ人にとって意義のある事だとはお思いになりませんか?
単なる外国製品排斥キャンペーンでない事は、アメリカ人の雇用創出にいちばん貢献している車が「トヨタ・カムリ」である、と結論づけている事でもわかります。
ABCはこの番組を通し、アメリカ人に自分たちの雇用を守るための「消費の質」について考えさせようとしています。
どちらかと言えば「濫費傾向」のあるアメリカ人に、「考える」消費を求め、そして「行動する」事を求めています。
では日本のメディアはどうでしょうか?
東日本大震災の被災地のひとつ、宮城県石巻市では、働いていた人の実に40パーセントが震災のため職を失ってしまいました。
津波で家や家族を流された上、仕事まで失った人はどうやって再び立ち上がればいいのでしょうか?
かつて私はこのブログで皆さんにこう訴えました。
私たちが被災した市や町が生産したものを、ひとつでも多く消費する事により、被災地の人々の雇用をひとつでも多く創り出せるのではないでしょうか?、と。
そしてそのために日本のメディアは今、購入可能な被災地の生産物を日本全国に発信すべきではないか?、と( http://kobajun.chips.jp/?p=526)。
しかし日本のテレビも新聞も、国民の多くが「どうでもいい」という思いで見ている「政局」については熱心に報道しても、ABCテレビが行ったような「働く一人一人のための」キャンペーンを、被災地のためにしてくれてはいません。
日本の新聞やテレビは、いったい誰のために「報道」を行っているのでしょうか?
昨日はアメリカNBCの特派員報告を全文翻訳しましたが、今日はアメリカABCニュースのコラムをご紹介します。
ABCのワールドニュース・ウィズ・ダイアン・ソイヤーでは半年程前から「メイド・イン・アメリカ」キャンペーンを行ってきました。
最初はコマーシャル程度だったのですが、回を追うごとに内容が充実してきました。
その名の通り「できるだけ made in America 製品を使って、アメリカ人の雇用機会を増やそう!」というキャンペーンですが、実に面白く、考えさせられる内容となっています。
今回取り上げるシリーズは6月8日水曜日から10日金曜日まで、3回にわたり放送されたものですが、掲載された記事の全文を2回に分けて翻訳し、ご紹介します。
- Made in America! シリーズ -
【 どの自動車がアメリカ人の雇用を、いちばん多く創り出しているか?! 】
ご覧いただいている『メイド・イン・アメリカ』は、アメリカの家庭の中をちょっと変えてみようという試みです。
今回のテーマは新車の購入。
水曜日に始った今回の『メイド・イン・アメリカ』は、どの自動車メーカーが一番アメリカ人の雇用を創出しているかを明らかにするものです。
アメリカ合衆国では698,700人が自動車の組み立てに従事し、他の9つの産業を支える結果となっています。
自動車産業は昨年に比べ、4万人にのぼる新たな雇用を生み出した産業なのです。
アメリカ市場で売られているどの車を購入すれば、私たちは最も多いアメリカ人の雇用を創出する事ができるのでしょうか?
それは伝統的アメリカ企業でしょうか?
それともアメリカで車を生産している外国資本の企業でしょうか?
答えを見つけるため、私たちはとあるアメリカ人一家の協力を得る事にしました、スチュアートさん一家です。
スチュアートさん一家が彼らの古いワゴン車を買い替えるため販売店をあたっている間、私たちはどの車が一番多くアメリカ製部品を使っているか分解して調べるため、製造ラインにあたる事にしました。
あなたはどの自動車が一番アメリカ人の雇用を創出していると思いますか?
ワールドニュース・ウィズ・ダイアン・ソイヤーが、今週正しい答えを明らかにします。
私たちは1970年型のフォード・マスタングを「新車を購入する」という次なるチャレンジを行う、とあるアメリカのお宅の前に止めました。
スチュアート家のフォート・エクスプローラーは走行距離が180,000kmを超え、壊れかけているように見受けられます。エンジンの異常を知らせる警告ランプは点灯しっ放し、そしてトランスミッションは今にも壊れそうで、ボンネットから煙を噴いています。
そんな状態と私たちの心配にも関わらず、そのエクスプローラーはスチュアート家の新車探しのためにまずトヨタの販売店にやってきました。
一家はファミリーセダン車としては国内販売No.1のトヨタ・カムリに試乗しました。
ブライアン・スチュアート氏の感想は
「とっても快適な乗り心地だ、とってもいいよ、内装もすごく良くできてる。」
という高評価。
次にスチュアート家が訪れる予定にしていたのは、アメリカでもっとも人気のあるコンパクトSUVのエスケープを販売するフォードの販売店です。
アメリカではSUVは昨年度、売り上げを21%も伸ばしています。スチュアート家の面々は燃費や子供たちにとっての居住性について質問していましたが、それは私たちも知りたいと思っていた事です。
一方、ABCニュースチームは車のそれぞれの部品がどこで生産されたものかを確認するため、カンザスシティにあるフォード工場まで旅しました。
エスケープの部品は
ガラス : テネシー州、ドア : シカゴ、タイヤ : アメリカ国内、カーペット : オハイオ州、シート : ミズーリ州、後部ウインドウ : メキシコ製となっています。
同チームはケンタッキー州のジョージタウンにあるトヨタの工場にも行きました。
カムリの部品は
シート : ケンタッキー州、タイヤ : 南カリフォルニア、シートベルト : カナダ、電子機器 : メキシコ製でした。
さあ、どちらの車がより多くの、アメリカ人労働者のための雇用を生み出しているのでしょうか?
明日、答えがわかりますよ!
【 放射能がどの程度の期間影響を与え続けるかは、誰にもわかりません。】
- アメリカNBC放送・科学担当特派員が見たフクシマ -
3月の大地震と津波、そして引き続き起きた福島第一原発の事故は日本を打ちのめしました。
私は福島に関して毎日東京からレポートしていました。
そして事故から3ヶ月が経とうとしている今、私は福島第一原発そのものまでは行けませんでしたが、福島県内の破壊された原子炉から12マイル(約20km)までの地点までは確かに行く事ができました。
その場所に立ったとき、私が始めに感じたのは景色の美しさでした。
起伏に沿って整然と並ぶ水田、そして小川や滝が流れる丘のそばに立つ日本の伝統家屋。
それらは自然景観としてはアメリカのカリフォルニア州の Big Sur に勝るとも劣らぬ美しさです。
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今朝は久しぶりに自転車での通勤となりました。
3月11日金曜日の震災以来、壊れ続けていた通勤路のサイクリングロードも、少しずつではありますが補修が進んでいるようです。
仙台の6月初旬といえば、梅雨入り前の晴天が続く一年で最も美しい季節。
仙台市東郊を流れる梅田川の堤防の上に作られたサイクリングロードを、風にのって鳥のさえずりを聞きながら走るのは、いつもなら生きている事の素晴らしさを感じる瞬間のはずでした。
でも今日は6月10日金曜日、あの日からちょうど3ヶ月です。
もう3ヶ月、まだ3ヶ月、亡くなられた方、被害を受けられた方々の数はあまりにも膨大で、未だにその全容はつかめていません。
福島第一原発の事故も含めれば、災害は尚終息の見通しは立っておらず、人々は苦しみ続けています。
私自身はこれほどの災害ともなれば、当たり前のように地形・地勢そのものを変えてしまっていることに、驚く事がしばしばあります。
たとえば、私が住んでいる近くの「与兵衛沼」という小さくはない周囲500mほどの沼は、底に亀裂が走ったのかもはや干上がろうとしています。
仙台市ホームページの「与兵衛沼」の項には、『仙台藩士鈴木与兵衛が私財を投じて造った灌漑用水用の沼です。与兵衛沼や近くの大堤公園一帯は、小高い丘となっており、戦前は豊かな樹林に覆われていました。
戦後、周囲が市街化していく中で、与兵衛沼周辺は開発から免れ往時の面影を今に伝えています。冬はハクチョウが訪れ、羽を休めている光景にも出会うことができます。与兵衛沼の豊かな緑と水は、地域の人たちに親しまれ、休日には散策を楽しむ人や野鳥を観察する人、釣り人などで賑わいます。』とあります。
それほどに歴史があり、多くの人々と関わって来た沼がひとつ、このままでは消え去ろうとしています。
さらに宮城県沿岸南部の山元町から沿岸北部の石巻市にかけては、大規模な地盤沈下が発生し、満潮時に水没する地区や未だ『陸地』として復元できていない場所すらあります。
今回の東日本大震災、『天変地異』という言葉がありますが、まさにその言葉通りの結果をもたらしました。
圧倒的な自然の破壊力に対し、人間という存在がいかに小さく無力か、という事も思い知らせました。
今日は何よりもその事で犠牲になった方に、美しい旋律を捧げ、その魂に慰めが訪れることを祈ります。
できればこの稿をお読みいただいているみなさんにも、慰めのために祈っていただけたら、と......
イギリス在住の少年合唱団LIBELA(リベラ - ラテン語で自由・解放、救済などの意味 )の Sanctus をお聴きください。
原曲はあの『パッヘルベルのカノン』ですが、主宰者のロバート・プライズマン氏がLIBERAのため編曲したものです。
私は『パッヘルベルのカノン(とジーグ)』はこの世の中で最も美しい旋律のひとつだと思います。
いつか別の機会にオリジナルをご紹介させてください。
今年は、アメリカでミシシッピ川が1927年以来という大氾濫を起こしました。この冬の豪雪の雪解け水に加え、4月中旬から続いた大雨が原因のようです。米最長のミシシッピ川沿いの広い地域が浸水し、大水はさらに下流のミシシッピ州、ルイジアナ州の穀倉地帯を襲う見通しで、被害はさらに拡大すると予測されています。全長が6,000キロ以上と、稚内から鹿児島まで日本列島を3回行ったり来たりできる長さを持つミシシッピ川は、水源地から河口まで水が到達するのに約90日かかるそうです。
さらに今度は全長4,000キロを超えるミズーリ川で氾濫の危険が迫っており、ミズーリ川は前述のミシシッピ川の「支流」ですから、この後ミシシッピ川での氾濫の危険の緊迫度が増すかもしれません。
そして6月にはいり、今度はアリゾナとニューメキシコの州境では山火事が猛威を振るっています。
アメリカの3大ネットワークの看板ニュース番組は日本での東日本大震災以来、竜巻の異常発生、ミシシッピ川大氾濫、ミズーリ州ジョプラン市の竜巻被害と大きなニュースが続き、次々 Special Edition を制作・放映する事態となっています。
今回はこうした災害に関する用語を特集します。
◇massive earthquake(まっシヴ アースクエイク - ひらがな部分にアクセント)
巨大地震
massive には単に大きい、というだけでなく、強力でスケールが大きい、という語感もあります。今回の津波、4月末にテキサス州など全米の3分の1の州を襲った竜巻(tornado - トーねイドー)トルネイドなども massive でした。earthquakeは文字通り地球が震える、地震です。
◇disaster(ディざスター)
大災害
今回の東日本大震災は米国3大ネットワークのABCニュースでは
The disaster in the Pacific Oceanと表現、もうひとつのNBCニュースでは
Japan's devastating earthquake and tsunami
と表現しています。
◇devastating(でヴァスてぃティング)は破壊的な、圧倒的な、という意味ですが、それほど使われる単語ではないのですが、ここのところ頻出する結果となっています。disaster とあわせてを覚えてください。
5月11日のNBCニュースHPからの例文です
The neediest victims of Japan's devastating earthquake and tsunami have yet to receive much of the record $2.2 billion aid two months later.
困窮しきっている日本の巨大地震・巨大津波の被害者たちは2ヶ月たった今でも、220億ドルという記録的な援助金を、まだほとんど受け取っていません。
6月7日時点でも、宮城県の被災者のほとんどが世界各国・日本各地からの義援金を受け取っていない事が明らかとなっています。
◇evacuation(エゔぁキュエイション)
避難,疎開,退避
〈3〉でご紹介した evacuate 避難する の名詞形です。
evacuation orders
避難命令
この単語はアメリカの報道では頻出単語になってしまいました。
◇emergency(イまージェンシー)
緊急[非常]事態,突発事件に関するもっともスタンダードな表現です。
an emergency hospital
救急病院(▼救急車はan ambulance)
during a national emergency
国家有事の際
rise to [=deal with] an emergency
緊急[非常]事態に対処する
declare a state of emergency
非常事態を宣言する
この場合の state は「状態」という意味で、国家という意味ではありません。
何だか福島第一原発の事をいろいろ思い出してしまうので、今日はこの辺りで切り上げましょうか?
では [Out of Control - 手がつけられない]という題の山火事に関するNBCのニュースをご覧ください。
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